先日、完成したばかりの2A3シングル・アンプですが、今日は回路の説明や、音の感想などについて投稿します。
あらためてアンプの写真を紹介します。2A3は今回、中国製(曙光電子)の2A3Cを使いました。
回路図は下記のとおりです。CR結合の2段アンプで無帰還のシンプルな回路です。
このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
ドライブ管は12AX7を採用しました。製作記事などを見るとSRPP回路での使用が多いのですが、今回はパラ接続にしました。パラ接続だと出力インピーダンスも低くなり、強力にドライブできます。今回の回路定数では2A3のバイアスが47.5Vですので、その約7割(47.5V×0.7)の約33Vあれば大体ドライブできるので、12AX7のパラで十分だと思います。(使用した12AX7は松下製の12AX7でTマークの付いた中古ものです)
なお、この電源トランスの6.3V2.5Aの巻き線から12AX7を2本だけだと少し電圧が高くなってしまうので0.5Ωのセメント抵抗をシリーズに入れて電圧を6.0Vとしました。
整流管は5U4Gですが、今回は5U4Gと規格が同等の5U3Cを使用しました。5U4Gを使用したコンデンサー・インプットの場合は、整流直後のチョーク・トランス前のコンデンサーの容量の規格が10μFですので、ここでは500V10μFとしました。22μFくらいまでなら問題なく、またコンデンサー前に突入電流防止の抵抗を入れれば、もう少し容量は増やせるようですが、整流管の長寿命化のため10μFとし、チョーク・トランス後は330μFの大容量としました。
2A3用のフィラメント点火にはCT(センタータップ)付きのヒーター・トランスを使用し、ハム・バランサーは省略、CTから直接バイアス抵抗とケミコンをつなぎましたが、ハムは全く出ません。スピーカーに耳を押し当てても、まったく無音です。(2A3のDC点火は必要なしだと思います)
なお、バイアス・コンデンサーですが、作る方によっては数百μFの大容量を使用する方が結構多いのですが、何となく容量が多すぎると音が少しボケるように個人的には感じるので、ここは47~100μもあれば十分だと思うので、今回は手持ちにあった150V47μFを使用しました。
2A3の規格表での動作例をみると・・
Ip(プレート電流):60mA
-Eg(グリッド電圧):-45V (自己バイアスでのRk:750Ω)
RL:2.5KΩ Po(出力):3.5W
となっていて、この動作でのプレート損失は・・
250V×60mA=15Wと、2A3の規格とおりです。
この規格表による動作例で回路定数を決めたいところですが、今回使用した電源トランスのB電源の容量は120mAと上記の動作では出力管の電流だけでいっぱいになってしまい電流が不足します。今回使用した電源トランスは370V120mAなので290Vタップからの整流だと120mAより、もう少しだけ多くとれそうです。また、2A3のフィラメント電源は別のヒーター・トランスを使い別電源になっていますので、電源トランス全体から見れば余裕があると思いますが、今回は安全のため、2A3のプレート電流を若干少なめにして回路定数を決めました。
単純に自己バイアスなのでカソード抵抗(Rk)の抵抗値を少し大きくすれば、プレート電圧は少し高くなりますが、電流は抑えることができます。これで2A3のプレート損失(15W)以下にして、Ep―Ip特性曲線から見た動作点の-Egが適正であれば問題はありません。
今回はカソード抵抗値を750Ωより少し高い抵抗値にするために、10W位の抵抗で探したのですが、手元になかったため、1.6KΩ(5W)と、1.8KΩ(5W)の抵抗を並列(パラ)につなぎ847Ω(10W)として使用しました。
これにより、今回完成したアンプの動作は・・
Ep(プレート電圧):252.5V(300V-47.5V)
Ip(プレート電流):56mA(47.5V÷847Ω)
-Eg(グリッド電圧):-47.5V (自己バイアスでのRk:847Ω)
RL:3.5KΩ Po(出力):3.2W (入力800mVで最大出力)
となっていて、この動作でのプレート損失は・・
252.5V×56mA=14.1Wと、2A3の規格15Wに対し94%となっています。
各社2A3との比較など・・・
ソヴテック2A3
RCA 2A3
手許には5社の2A3があるのですが、2本揃っている3社の2A3を挿し替えてみましたが、回路上に表記した各部の電圧・電流は同じでした。音についてですが、今回使用した中国製(曙光電子)の2A3Cは、1枚プレートの構造で、同じ1枚プレートのソヴテック製と同じように聞こえます。2枚プレートや2段プレートの2A3よりクリヤーな音に感じます。また、プレートも構造が300Bにややちかく、少し大きいため力感があるように感じます。
RCAの旧タイプである1枚プレートの2A3の音は聞いたことがないのですが、普通の2A3と軍用のJAN球の2A3が手持ちであります。「2A3はRCAのものが良い・・」という先入観もあってか、RCAのものが臨場感にとんでいて、かつ、低域から高域までバランスがとれた音に感じます。
今回のシングル・アンプは中国製の2A3で、高級な出力トランスなどは使用していませんが、2A3の音は十分に楽しめるアンプだと思います。
----追記----
100円ショップ「ダイソー」で、300円で売られていた「ワイヤー・バスケット」を買ってきて逆さにアンプに被せてみたら・・なんとピッタリ!・・固定方法を工夫すれば真空管ガードとして使えそうです。
あまり格好は良くないかもしれませんが・・・
どうでしょう・・・
2A3のアンプは、手元に他にあるので、今回完成したシングル・アンプはメルカリなどに出品を考えています。アンプ作りは、今週から仕事が始まるので、しばらくお休みしますが、6080のプッシュプル・アンプ(球の6080は、全部メルカリに出品して無し)があるので、すべてリニュアルして6CA7/EL34のプッシュプル・アンプに近いうちに作り直す予定です。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。