今回のカール・ベームの名盤・名演奏は、モーツアルトの「レクイエム」の追加編です。
以前、ベームの名盤・名演奏⑬の2月11日の投稿では、ウィーン交響楽団、テレサ・シュテッヒ=ランダル(S)他による、1956年のモノラル録音盤と、ウィーン・フィルハーモニー、エディット・マティス(S)他による1971年録音盤について紹介しました。
今回追加して紹介する演奏は、ウィーン・フィル盤と同じ1971年に映像で収録したもので、最近そのDVDを購入しました。
■モーツァルト「レクイエム」 K.626
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)、クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
ペーター・シュライヤー(T)、ヴァルター・ベリー(B)
ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン交響楽団
カール・ベーム(指揮)
収録:1971年12月、ピアリステン教会、ウィーン
フーゴー・ケッヒ(映像監督)
ウィーン・フィル盤は4月に録音されていますが、上記のこのウィーン交響楽団盤は同年12月の収録で、ウィーン・フィル盤とはまったく異なる独唱陣で収録しています。ヤノヴィッツ、ルートヴィヒ、シュライヤー、ベリーの独唱者は当時の豪華歌手達ばかりです。ヤノヴィッツの美しい高域音、深みのあるルートヴィヒ、表現力のあるシュライヤー、そして迫力ある低音のベリーとソリストたちは文句なしです。独唱陣や、合唱団の声も良く捉えられていて、全体的に若々しく力強い生命力を感じます。
また、聞く人によってはオーケストラがウィーン・フィルでないのが残念と言われそうですが、ここでのウィーン交響楽団の音は臨場感のある重厚な音と、豊かな表現力をベームの指揮で聞かせてくれます。悠然たるテンポで進んでいく格調高いこの演奏は、名演奏と言って良いでしょう。
個人的には劇的な「ディエス・イレ」と、悲痛な表現の中にも音楽の美しさが見られる壮大な「ラクイモサ」が印象に残ります。そして円熟期のベームの指揮姿が映像で鑑賞できることに感謝したい。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。