今回紹介する、ベームの曲はモーツアルトの最後の作品となった、「レクイエム(死者のためのミサ曲)」です。未完成で終わった曲ですが、ヴェルディ、フォーレの作品と並び3大レクイエムと呼ばれている傑作の一つです。

 ベームが残した演奏としては、グンドゥラ・ヤノヴィッツ、クリスタ・ルートヴィヒ、ペーター・シュライアー、ヴァルター・ベリーの独唱者と、ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン交響楽団との1971年12月にウィーン、ピアリスト教会で収録した映像がDVDで発売されていますが、この演奏は残念ながら未聴です。

 手許にあるHIROちゃんのライブラリーとしては下記の2枚です。CDでも持っていますが、ここではLPレコードを紹介します。

 

モーツァルト: レクイエム 二短調 K.626
テレサ・シュテッヒ=ランダル(S)、イーラ・マラニウク(A)
ヴァルデマール・クメント(T)、クルト・ベーメ(B)

ウィーン交響楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
カール・ベーム(指揮) 録音:1956年11月 

 

 

 このレコードは1970年に発売されたフォンタナ盤のグロリア・シリーズの中の1枚で価格は1枚900円という、当時では破格の値段でした。1956年のモノラル録音ですが、電気的にステレオ化した「疑似ステレオ盤」です。1970年というと大学1年の時でした。アルバイトをしていたレコード店で、給料日に購入したなつかしい廉価盤です。(記事には関係ありませんが、当時の東京でのアルバイト代は1時間140円、3畳1間のアパートの家賃は、月4,500円、実家からの仕送りは月2万円でした)

 

モーツァルト: レクイエム 二短調 K.626
エディット・マティス(S)、ユリア・ハマリ(A)

ヴィエスワフ・オフマン(T)、カール・リッダーブッシュ(B)
ウィーン国立歌劇場合唱連盟

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1971年4月

 

 

 この2枚の演奏ですが、基本的にはどちらも同じ演奏スタイルで、重心が重く遅いテンポです。大雑把で1時間くらいの演奏時間ですが、71年盤のほうが数分長くなっています。1956年盤は、ベームの壮年期の説得力のある、且つ、荘厳な佇まいを感じる代表的な演奏と言えるでしょう。モノラル原盤ですが、鑑賞には十分で1971年盤よりテンポが速く、こちらのほうが優れた演奏かも・・

 

 1971年盤ですが、こちらも重厚な演奏。聞く人によっては「重くてテンポが遅すぎてモーツアルトではない・・」との評価もあるようですが、全体的に悠然たるテンポで、極端な感情表現を排した格調高い演奏でしょう。堂々とした「キリエ」でのフーガ、激しさの「ディエス・イレ」、優しい祈りに満ちた「ラクイモサ」など、ソリスト陣、合唱団、オーケストラともに素晴らしく、悲痛な表現の中にも音楽の美しさを感じる名演奏だと思います。

 

次回からは、ベームのベートーヴェン・・・う~~ん・・結構たくさんの音源があるな~~

訂正:まだまだ、モーツアルトがありました。次回はセレナード集など管弦楽についてです。

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。