カールベームは、モーツアルトの歌劇を何曲か録音しています。それらの中から今回紹介するのは「魔笛」です。

「魔笛」は多くのオペラ作品の中でも親しみやすく、HIROちゃんの最も好きな作品の一つです。そのため、いつの間にかLPや、CD、DVDなど20数種類の全曲録音盤が手元にライブラリーとしてあります。

 カール・ベームは、この「魔笛」全曲を1955年にDECCAに、そして2回目として1964年にドイツ・グラモフォンに録音しています。どちらの録音ともLPとCDで架蔵していますが、今回はLPレコードを紹介します。

 

モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲

 
 レオポルド・シモノー(T:タミーノ)

 ヒルデ・ギューデン(S:パミーナ)

 ヴィルマ・リップ(S:夜の女王)

 クルト・ベーメ(Bs:ザラストロ)

 ワルター・ベリー(Br:パパゲーノ)
 エミー・ローゼ(S:パパゲーナ)
 アウグスト・ヤレシュ(T:モノスタトス)
 パウル・シェフラー(Bs:弁者)
 ジュディス・ヘルヴィヒ(S:第1の侍女)

 クリスタ・ルートヴィッヒ(Ms:第2の侍女)
 ヒルデ・レッスル=マイダン(A:第3の侍女)
 ドロテア・ジーベルト(S:第1の童子)
 ルースヒルデ・ボエシュ(Ms:第2の童子)
 エヴァ・ボエルナー(Ms:第3の童子)、他
 ウィーン国立歌劇場合唱団

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1955年録音

 

 

ザラストロ/フランツ・クラス(バス)
夜の女王/ロバータ・ピータース(ソプラノ)
パミーナ/イヴリン・リアー(ソプラノ)
タミーノ/フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール)
パパゲーノ/ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
パパゲーナ/リーザ・オットー(ソプラノ)
弁者/ハンス・ホッター(バス)
モノスタトス/フリードリヒ・レンツ(テノール)
第一の侍女/ヒルデガルト・ヒレブレヒト(ソプラノ)
第二の侍女/ツヴェトゥカ・アーリン(ソプラノ)
第三の侍女/ジークリンデ・ヴァーグナー(メゾ・ソプラノ)、他
RIAS室内合唱団(合唱指揮:ギュンター・アルント)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団  1964年録音

 

 

 

 1955年の録音ですが、ステレオ最初期の録音で音は良いです。「魔笛」はレチタティーヴォで曲が進むのではなく、台詞によるジングシュピールですが、この録音では台詞がカットされています。台詞がカットされていても曲の魅力を損なうような感じはしませんが、個人的には台詞があったほうが良いというのがHIROちゃんの考えなので少し残念です。このウィーン・フィル盤では、ベームの引き締まった表現を聴かせている名盤で、当時ベームは60歳でした。歌手陣では当時の名歌手を集めていますが、中でもザラストロ役のベーメの歌唱が素晴らしく格調が高い。

 

 一方、1964年録音のDG盤ですが、こちらはベルリン・フィル、こちらは1955年盤と異なり台詞付きの演奏で、数ある「魔笛」の中でもベスト1に掲げたい名演奏です。

この演奏ではテノール歌手である、タミーノ役のフリッツ・ヴンダーリッヒの素晴らしい声を聴くことが出来ます。特に彼の歌うアリア「何と美しい絵姿」の抒情的な歌声は、なんとも素晴らしい。36歳という若さで事故死した彼ですが、ヴンダーリッヒの「魔笛」は、このベーム盤以外でも、カイルベルト/VPOとの1960年のザルツブルグでのライブ録音や、1958年のハイティングとのライブ録音の全曲盤でも聴くことが出来ます。しかし、これらはモノラルの海賊盤的なCDで音も良くありません。やはり、このベーム盤が最高でしょう。ヴンダーリッヒは、この「何と美しい絵姿」のアリアがよほど好きだったのでしょうか、カール・シューリヒトやアルトゥール・ローター、その他の指揮者とも共演した録音が多く残されています。

 また、このベーム盤ではフィッシャー・デュースカウがパパゲーノ役で歌っています。少し真面目過ぎるというか、彼のパパゲーノ役の歌は、堅苦しさを感じないわけではありませんが、もう少しおどけた歌い方だと、もっとパパゲーノらしく面白かったかもしれません。

1955年盤でのザラストロ役のベーメの歌唱が素晴らしかったのですが、この録音でのザラストロ役のフランツ・クラスの深い声質と格調の高い歌い方には魅了されてしまいます。

 

「魔笛」が大好きなHIROちゃんにとっては、ベームの「魔笛」は正に「お宝」的な音盤ですネ。

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。