この名指揮者の名盤・名演奏ですが、大体生年順に書いているので、今回からは、いよいよ1894年生まれのカール・ベームの登場と思っていたのですが、その前に1893年生まれのパウル・ファン・ケンペン(1893-1955)がいました。
ケンペンは、オランダ生まれの指揮者。17歳でコンセルトヘボウ管弦楽団のコンサート・マスターとなり、ドイツ各地のオーケストラで活躍後、1933年に指揮者に転身します。
1942年ヘルベルト・フォン・カラヤンの後任として、アーヘン市立歌劇場の音楽監督に就任。 第二次大戦後は、戦時中にナチスドイツの慰問演奏などが問題視され、1955年63歳で逝去。
ケンペンというと、フィリップスにコンセルトヘボウ管弦楽団と録音した、「チャイコフスキー交響曲第5番」が代表盤と呼ばれることが多いのですが、残念ながら、この音盤は架蔵しておらず未聴です。HIROちゃんの手元にあるケンペンの音源は、下記のベートーヴェンだけです。CDでも持っていますが、ここではLPレコードを紹介します。
■交響曲第8番ヘ長調Op.93(録音:1953年)
ケンペン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 【フィリップス】
■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集(録音:1953年)
ピアノ:ヴィルヘルム・ケンプ
ケンペン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 【グラモフォン】
ベートーヴェンの交響曲ですが、これら3曲の中では第3番「英雄」が何と言っても素晴らしい。非常にエネルギッシュな推進力のある演奏で、スケール感が凄い。ベルリン・フィルの熱演で、白熱的な気迫が感じられる演奏で、数ある「英雄」の中でも、演奏精度が高く、これは「名盤・名演奏」でしょう。
ピアノ協奏曲全集ですが、この録音は、オーケストラの指揮をしたケンペンの名盤というより、ピアノのヴィルヘルム・ケンプの名盤と言えるものでしょう。機会を見て「名ピアニストの名盤・名演奏」としてあらためて、どこかで紹介できればと思っています。ケンプの協奏曲は多くの録音があり、フェルディナント・ライナー指揮/ベルリン・フィルによるステレオ録音が正統的な演奏として名盤とされています。(このCDも全曲架蔵しています)しかし、このケンペン指揮/ベルリン・フィルによるモノラル録音も素晴らしい。生命力のある瑞々しいケンプのピアノがとても魅力ですが、フルトヴェングラー時代末期のベルリン・フィルを指揮したケンペンの力強いオーケストラの重厚さも見逃せないですね。
次回の「名指揮者の名盤・名演奏」は、カール・ベーム・・
これは架蔵している音盤も相当数あり、名盤・名演奏が多いことからどのように紹介していくか迷うところです。おそらく20回近い?投稿になるのかな・・と今から思っていますが、ベームの音源をあらためて聴きなおす良い機会になるため、楽しみです・・
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。