「名指揮者の名盤・名演奏」のこの企画で、次回はエードリアン・ボールトについて書こうと思い、たしかLPレコードで、ボールト指揮のヘンデルの「メサイア」全曲があるはずと探したらみつかったのですが、その「メサイア」と同じ「ロンドン宗教音楽名盤1300」シリーズでフリッツ・ライナー指揮によるヴェルディのレクイエムのLPもあったのです。 1回位は聴いたのだろうか・・? とにかく盤がきれいで埃やカビなどは全くない新品同様の状態で棚に眠っていました。
■ヴェルディ / レクイエム
レオンタイン・プライス(S)、ロザリンド・エリアス(A)
ユッシ・ビョルリンク(T)、ジョルジオ・トゥッツィ(B)
ウィーン楽友協会合唱団/ウィーン・フィルハーモニー
指揮/フリッツ・ライナー 録音:1960年6月
このヴェルディの「レクイエム」ですが、オーケストラはシカゴ交響楽団ではなく、ウィーン・フィルハーモニーとの演奏です。ライナーはシカゴ交響楽団就任後、RCAビクターの専属で、一方ウィーン・フィルハーモニーは、DECCA/ロンドンと専属契約なので、ライナー指揮/ウィーン・フィルの録音は珍しいと言えます。
これは、1950年代後半にRCAビクターがHMV(EMI)との提携を解消し、英デッカと提携したため、ライナー/ウィーン・フィルの録音が実現したものです。(録音はデッカ)
この1960年録音の「レクイエム」は当初、RCA発売でしたが、1970年代にデッカにマスターが変換されています。
ライナーは、交響曲や管弦楽、協奏曲を数多く録音していますが、宗教音楽の録音は珍しいと言って良いでしょう。 あらためてこの「レクイエム」を聴いてみました。
曲は遅いテンポで始まるのですが、緊迫感があります。“怒りの日” ではエネルギーを感じる演奏です。 また、独唱陣の中で特に全盛期のレオンタイン・プライスの歌唱は、オペラを思わせるドラマティックな歌唱ですし、ユッシ・ビョリンクの美声も素晴らしい。 しかし、曲全体的には起伏の大きなドラマティックな演奏ではありません。
個人的にはヴェルディのレクイエムは、それほど好きな曲ではないためか評価が難しいのですが、ドラマティックで壮大なレクイエムや、ライナーのダイナミックで強固な演奏を望むには少し不満があるかもしれません。どちらかと言うと精神性を重視した演奏でしょう。
次回はライブラリーとして多くの音源は持っていないのですが、エードリアン・ボールトについて投稿したいと思います。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。