今回も「名指揮者の名盤・名演奏」の番外編として、「もう少し長生きしてほしかった名指揮者と名盤」の5回目としてHIROちゃんの架蔵している音盤ライブラリーから今回はカール・リヒターについて紹介してみます。
■カール・リヒター 1926-1981年
プロフィール ※下記はタワーレコードの通販サイトからコピベしました。
鍵盤奏者、指揮者。1926年ドイツプラウエン生まれ。81年没。11歳の時、ドレスデン聖十字架教会の音楽学校で学ぶ。46年ライプツィヒでシュトラウベ、ラミンらに師事。その後、聖トマス教会、ミュンヘンの聖マルコ教会のオルガニストを経て、53年ミュンヘン・バッハ合唱団を組織(管弦楽団は55年設立)、指揮活動に入る。『マタイ受難曲』の演奏で注目を集め、オルガン、チェンバロ奏者、指揮者として活躍。バッハ演奏家として名声を博す。
2012/08/30 (2015/01/16更新) (CDジャーナル)
「リヒターと言えば、バッハ、バッハと言えばリヒター」と言っても過言ではないくらいのバッハ演奏家でしょう。1981年に55歳で死去したとの新聞の記事を見た時には、非常に驚いたことを覚えています。
リヒターの残したバッハ作品の録音ですが、管弦楽組曲などの名盤も手元にありますが、やはりリヒターの名盤と言えば、ミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団との「カンタータ集」や、「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「クリスマス・オラトリオ」などの宗教曲でしょう。カンタータでも名盤が多いのですが、ここでは下記の3曲の宗教曲を選んでみました。
・マタイ受難曲
エルンスト・ヘフリガー、キート・エンゲン
アントニー・ファーベルク、イルムガルト・ゼーフリート
ヘルタ・テッパー、マックス・プレープストル
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
ミュンヘン少年合唱団/ミュンヘン・バッハ合唱団・管弦楽団
【録音】 1958年
・ヨハネ受難曲
エルンスト・ヘフリガー、ヘルマン・プライ
イヴリン・リアー、ヘルタ・テッパー、キート・エンゲン
ミュンヘン・バッハ合唱団・管弦楽団
【録音】 1964年2月
・クリスマス・オラトリオ
グンドゥラ・ヤノヴィッツ、クリスタ・ルートヴィヒ
フリッツ・ヴンダーリヒ、フランツ・クラス
ミュンヘン・バッハ合唱団・管弦楽団
【録音】1965年
マタイ受難曲ですが、アルヒーフの1958年のスタジオ録音をはじめ、1969年5月5日の来日公演、東京文化会館でのNHK録音によるライブ盤、そして亡くなる2年前の1979年録音のほか、1971年に収録されたDVDの映像作品があります。HIROちゃんの手元には前記の1958年録音のアルヒーフ盤のCDと、1971年のDVDがライブラリーとしてあります。
この1958年盤ですが、福音史家(エヴァンゲリスト)のエルンスト・ヘフリガーをはじめ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウらのソリストも好演です。
重厚で、崇高さや緊張感があり、劇的、そして圧倒的に迫ってくる演奏で、まさに名演奏だと思います。
ヨハネ受難曲もマタイ受難曲と同様、圧倒的な迫力、そして説得性を感じる名演でしょう。
また、キリストの降誕の物語であるクリスマス・オラトリオですが、マタイ受難曲などとは対照的にクリスマスの明るい気分が良く表れています。 HIROちゃんの手元には1958年のモノラル録音盤のCDと、1965年ステレオ録音のアルヒーフ盤のCDの2種類がありますが、やはり鑑賞するならば1965年のステレオ盤でしょう。 この録音では何と言っても独唱陣が凄い。中でも若くして亡くなったテノールのフリッツ・ヴンダーリッヒのエヴァンゲリストは聴きごたえがあります。
その他、宗教曲ではバッハの「ミサ曲ロ短調」も名盤でしょう。
それから、HIROちゃんが選んだバッハ以外の名盤をもう1枚・・
バッハ以外ではモーツアルトの「レクイエム」も名盤ですが、あまり知られていないベートーヴェンの「ミサ曲ハ長調作品86」の名盤があります。
・ベートーヴェン/ミサ曲ハ長調作品86
ソプラノ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ
アルト:ユリア・ハマリ
テノール:ホルスト・ラウベンタール
バス:エルンスト・ゲロルト・シュラム
ミュンヘン・バッハ合唱団・管弦楽団
【録音】 1965年
この「ハ長調ミサ」は曲の演奏時間も「ミサ・ソレムニス ニ長調」の約半分、通常の教会でのミサ曲の構成で作曲されているミサ曲の中でも、名曲のひとつで、アマチュアの合唱団の演奏会ではメイン・ステージ用として、ピアノやエレクトーンによる伴奏ですが、しばしば演奏されます。
リヒターというと、どうしてもバッハの曲の演奏家というイメージですが、リヒターは、モーツアルトのレクイエムなどでも素晴らしい演奏を残しています。このべートーヴェンもヤノヴィッツなどソロも素晴らしく、合唱では特に2曲目の「グローリア」と3曲目「クレド」では、ベートーヴェンらしい重厚さも見られる演奏です。もともとハ長調なので、どちらかというと重みのある感じではありませんが、2曲目の「グローリア」の終わり頃のフーガでは、ベートーヴェン的な響きを感じる名演だと思います。なぜか「ミサ・ソレムニス」ばかり有名で、この「ハ長調ミサ」の人気はあまりないのか、発売されている音盤も少ないのですが、機会があれば、ぜひ聞いてみてください。
(※このベートーヴェンのミサ曲ハ長調については、Yahooブログ時代の2014年11月15日の投稿記事から一部転記しました)
バッハの演奏家として有名だったカール・リヒターですが、バッハ以外の曲についても、もっと録音を残してほしかった指揮者の一人ですね。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。