今回も「名指揮者の名盤・名演奏」の番外編として、「もう少し長生きしてほしかった名指揮者と名盤」の3回目としてHIROちゃんの架蔵している音盤ライブラリーから、今回はヨゼフ・カイルベルトについて紹介してみます。

 

ヨゼフ・カイルベルト 1908-1968年

 カラヤンと同年に生まれたドイツの指揮者です。ドイツ内の歌劇場で研鑽、戦後にバンベルク交響楽団の首席指揮者に就任し、伝統的なドイツ音楽が主要なレパートリー。中でもワーグナー、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスなどを得意としていましたが、バイエルン国立歌劇場で「トリスタンとイゾルデ」の上演中に心臓発作で急死しました。

 カラヤンとは異なり無骨な部分はあるものの重厚で、力感のある響きのある演奏が特徴でした。同年に生まれたカラヤンがデジタル録音時代まで活躍したことを考えると、60才での逝去は、まだまだ活躍できた年齢でした。

 

 HIROちゃんが初めてカイルベルトの演奏をレコードで聴き始めたのは、1970年代にキングレコードから発売されていたテレフンケン原盤の「世界の名曲1000シリーズ」の1,000円廉価盤LPレコードでした。このシリーズは他社の1,000円盤より収録曲数が多く、いわゆる詰込みが多かったのでステレオでも音質はあまり良くありませんでした。その後、1,300円盤となり、また、限定盤で「ヨゼフ・カイルベルトの芸術」として1,300円LPが多く発売され、これらのGT番号のシリーズが結構手元にあります。

(当時はグラモフォンのクラシックレコードは1枚2,400円位が多く、HIROちゃんのLPレコードの多くは1,000円~1,300円の廉価盤ばかりです)

 

 手元には、結構多くのカイルベルトの音源がLPやCDであります。その中から「名盤」を選ぶのは難しいのですが、お気に入りの名盤を少し上げてみましょう。

ワーグナーが得意なこともあって、正規盤や非正規盤も含め、結構多くの録音が残されています。バイロイト音楽祭での「ニーベルングの指環」の全曲盤や、オイロディスクにステレオ録音で残した「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲、また、「ローエングリン」全曲盤もライブラリーとして手元にあるのですが、HIROちゃんのお気に入りは、下の写真の歌劇「さまよえるオランダ人」全曲の3枚組LPレコード。この録音は1955年バイロイト音楽祭でのライヴ録音ですがステレオです。DECCAの録音で、1955年のステレオ録音とは思えないくらい音も良いです。臨場感があり、力強く重厚な演奏で歌手陣や合唱も素晴らしい。ワーグナーの作品としては演奏時間が短く、聴くことが結構あるので愛聴盤となっています。

 

 

そのほか、リヒャルト・シュトラウスや、モーツアルト「魔笛」などのオペラも手元にはあるのですが、ここではワーグナーから選んでみました。

 

 交響曲ではモーツアルト、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーの音盤が多くありますが、中でもベートーヴェンとブルックナーは名盤が多い。前述のキングレコードの廉価盤LPではベートーヴェン第9番「合唱」の録音がテレフンケン原盤では無く、しばらくは全集として揃っていなかったのですが、その後、1965年の来日演奏会でのNHK交響楽団との「合唱」のライヴ録音がキングレコードからCDとして発売されたため購入、全集が揃いました。その後、ケルン放送交響楽団との1963年録音のモノラル録音のCDが発売され、この「合唱」も購入しました。

 これらのベートーヴェン交響曲の録音の中から選んだ名盤が第7番の演奏です。バイエルン放送交響楽団との1967年のステレオ・ライヴ録音もあるようですが、これは残念ながら未聴です。下記の演奏は1959年?に録音したベルリン・フィルハーモニーとの演奏です。CDでも持っていますが、ここでは前記の廉価盤LPレコードのジャケットを紹介します。

 ハンブルク国立管弦楽団(ハンブルク州立歌劇場フィルハーモニー管弦楽団)や、バンベルク交響楽団とのベートーヴェンも素晴らしいのですが、この第7番はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との録音。見事なアンサンブルで力強く、重厚な響きの演奏です。数ある第7番の録音の中でも「名盤」の一つと言えるでしょう。

 

 

 ブルックナーの交響曲ですが、手元にはORFEO盤で1966年ケルン放送交響楽団とのステレオ・ライヴ盤の第8番のCDと、テレフンケンに録音した第6番、第9番があります。カイルベルトのブルックナーというと正規録音の第6番と第9番のほか、1966年の来日演奏会でのNHK交響楽団との第4番「ロマンティック」と、第7番のライブ録音が残されていて、CDがキングレコードから発売されましたが、残念ながら持っていないので未聴です。

 第6番はカイルベルトが好きな曲だったのでしょうか・・演奏会で取りあげたのが多かったようです。 非正規盤を含め何枚か発売されています。手元にあるのは正規録音のベルリン・フィルハーモニーとの録音と、1958年録音のケルン放送交響楽団とのCDです。やはり下記のベルリン・フィルハーモニーとの録音が素晴らしい。この曲はブルックナーの交響曲の中では人気のない曲のようです。HIROちゃんも、これまでは第6番はあまり聴くことはなかったのですが、最近は、この曲がとても好きになっています。 このカイルベルトとベルリン・フィルハーモニーとの演奏は端正でありながら力強い重厚な演奏です。第6番の代表的な「名盤」のひとつと言って良いのではないでしょうか・・

 

 今回は、この後、フェレンツ・フリッチャイなどの名盤も紹介する予定でしたが、カイルベルトの記事が少し長くなりましたので、今日は、ここまで・・次回に書くことにしました。

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。