昨夜、アンプの完成の報告をしましたが、今日はアンプの内容について少し詳細に書いてみます。

先日完成させた初段6AU612AU7によるムラード型による位相反転回路でのアンプでは、思いもよらないハムが発生しましたが、原因がわからず・・ついに初めから作り直しということでパーツを全て取り外していたら、作業の最後で入力付近のアース線が浮いていたという、お粗末な結果に・・よく見れば発見できた初歩的なミスでした。(作り直しの必要はなかった・・)

 しかたなく新たに作り直したのですが、半田ごてが古く、先に半田が乗らず落ちてしまう。そんなことで、こてを押し当てても半田は溶けず、結果として団子状態になったり、リード線のハンダメッキが不十分で天ぷら配線に・・これが最初に作り直したアンプのハム発生の原因になったのだと思います。

 そのため、一昨日、使いにくい半田ごてでの再度の作り直しが終わったので、昨日、ホームセンターに新しい半田ごての購入に出かけたのですが、純正品の「交換用こて先」があったのでこれを購入しました。もう少し早く交換すればよかった・・

 

 さて、前書きが長くなりましたが、再度の作り直しですが6AU6と、12AU7によるEL34の3極管接続と5極管接続のコンパチブルという、同じ回路での作り直しを考えたのですが、ムラード型の位相反転回路はHIROちゃんも好きで、これまでKT-88(友人からの依頼で製作したもの)、EL34で2台、その他6L6-GC(5881)のプッシュプル・アンプなどを製作してきました。

 

 そこで再度作り直すなら回路などを変えて作ってみよう・・と考え、どんな球でどのような回路(位相反転回路)が良いのか案を練ってみました。再度の改造にあたっての条件は、シャーシ加工は、これ以上やらない・・ということで、当初のドライブ回路に使用した真空管は6AU612AU7でしたので、「7ピンと、9ピンのMT管を使用したドライブ回路」というのを条件にいくつか考えてみたのが次に書いた回路案です。すべて手持ちにある真空管なので新たな球などの購入はしません。

 

①案

同じムラード型と呼ばれる前段直結型カソード結合型の場合、単純に位相反転に12AU7の代わりに6CG76FQ712BH7Aでの回路では定番で面白くありません。ここは、これまで使ったことのない球で考えてみます。

初段は9ピンの12AU7をパラ接続とします。そうなると7ピンMT管での位相反転はできないのではと思われますが、テレビ管に7ピンMTで、共通のカソードが1つの双3極管の6M-HH36J6が手元に新品や中古がジャラジャラあります。6M-HH3はテレビの発信混合用ですが、3極部のμは38、rpが5KΩ、プレート損失も1.5Wあるので十分利用できます。6J6も、ほぼ同じ球です。テレビ管はオーディオ管ではないのでノイズがどうちゃらこうちゃらとおっしゃる音マニアの方は使わないでください。

 

 

②案

プレート・カソード分割型(PK分割型)ならたくさん案が考えられます。ここではアルテック型の直結で考えてみます。

初段での6AU65極管接続(あまり感度の高いアンプは使いにくいので、ここではバイアス・コンデンサーは使用していません)、12AU7をパラにしてPK分割します。回路定数を変えれば12BH7Aや、12AT712AX7などでもOK。使える球は、その他にもたくさんありますね。初段管の代替え球もテレビ管を含めればわんさとあります。

 

 

③案 ④案

初段に9ピンMTのEF86(6267)を使い、6AU6の3極管接続でPK分割、あるいは6C46AV6でもできますし、前述した6M-HH3のパラ接続でも使用できるでしょう。

 

 

 

⑤案 ⑥案

ちょっとやってみたかったのが、初段に12AX7のSRPPで直結によるPK分割。この回路は以前、6L6-GCppで製作していますが、この時の位相反転は12AT7を使いましたが、ここは下図のように7ピンの6C46AU6の3極管接続、あるいは6M-HH3のパラや、6AV6などでもできます。

 

 

 

他にも9ピンMTと、7ピンMT管を使ったドライブ回路はたくさん考えられますが、PK分割なら5極管と3極管の複合管である6AN8や、6BL86U8などを使い5極部を初段、3極部でPK分割すれば9ピンMT管1本でできます。この場合や、12AX7を1本だけ使用した場合には7ピンのソケットは使用せずダミーになります。

 

⑦案

再改造での回路について

EL34は軽い動作なのでバイアスも比較的浅くなるので、7ピンのMT管は使用せずに高μ管の12AX7(ECC83)を1本だけ使用した回路でも行けそうです。なんとなく12AX7の1本だけだとドライブ電圧が少し不足するのではと思いますが、パイオニアから下図のような出力35Wのアンプが発売されていました。ご参考まで・・

 

 

今回の再改造は音も素直な12AX7を1本だけ使った回路を考えることにしました。

上記のようなPK分割あるいは直結のアルテック型で12AX7を1本だけでも十分ドライブが出来たことは、以前にもEL34の3極管接続のプッシュプル・アンプを作った経験があるので、再度、12AX7のPK分割で・・と思ったのですが、あまり採用したことのないオートバランス型の位相反転回路を採用して片チャンネル12AX7を1本だけでのドライブを考えました。

 

⑧案

12AX7を使ったオートバランス型の位相反転回路ですが、下記のような回路があります。

(A)の回路

 

(B)の回路

 

あまり変わらないように見えますが、動作は異なります。(A)は出力管のグリッド・リークを兼用した回路になっていて、歪率などを考えると(B)回路のほうが良いと思うのですが、あえてあまり採用されていない(A)回路でアンプ全体の回路を考えました。今回製作したアンプの全回路は、下記のとおりです。HIROちゃんの好みで3極管アンプなのでNFBはかけずに無帰還アンプになっています。改造にあたっては、B電源の容量などの問題があり、EL34を軽く使用しなければなりません。ならば大出力は必要としないので、今回の再改造はEL34の3極管接続だけとしました。3極管接続でも規格表の動作例で製作すると、電源トランスの関係でB電流が不足するので片チャンネルで約110mA、アンプの総電流として約220mA位になるよう回路を決定しました。

 

EL34三極管接続無帰還プッシュプル・アンプ回路図

 

 

 

シールド付きの7ピンMT管は使わないのでダミーです。

 

シャーシ裏ですが、前述のように半田ごての具合が悪く半田が乗らず、団子状態が多くなってしまい、綺麗な配線はできませんでした。

 

 

今日は、ここまで・・・

後日、試聴した音の結果や回路についての具体的な説明について書いてみたいと思っています。

また、今回の回路だと出力管にEL34の代わりに6L6-GC(5881)でもそのまま挿し替え出来そうですし、ドライブ回路は12AT7(6201)でも挿し替え出来るよう回路定数を考えましたので、ドライブ管も挿し替え実験をしたいと思っています。

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。