先日、リサイクル・リユース店でゲオルグ・ショルティのモーツアルト:歌劇「魔笛」の全曲盤のLPレコード3枚組のセットを何と100円(税込み110円)で購入したと、このブログで紹介しました。驚くほど盤質の程度が良く全くの無傷、もしかしたら一度も針を落としていない感じもします。本当に信じられないくらいのお買い得のお宝発見でした。

 ショルティの「魔笛」というと、HIROちゃんの手元には安価で購入した1955年ヘッセン放送管弦楽団他とのモノラル盤のCDを持っていますが、ステレオ盤はありませんでした。

ショルティのステレオ録音というと、1990年のデジタル録音による全曲盤がありますが、この演奏は未聴です。今回のLPレコードの録音は1969年10月にセッションで録音されたもので、1971年レコード・アカデミー賞を受賞したものです。ショルティが得意だったと言われた「魔笛」の名盤のようです。

 

【収録情報】
・モ-ツァルト:歌劇『魔笛』全曲
 スチュアート・バロウズ(タミーノ)
 ピラール・ローレンガー(パミーナ)
 ヘルマン・プライ(パパゲーノ)
 
クリスティーナ・ドイテコム(夜の女王)
 マルッティ・タルヴェラ(ザラストロ)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(弁者)、他
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:サー・ゲオルク・ショルティ
 録音時期:1969年10月
 録音場所:ウィーン、ゾフィエンザール

 

 

 久々にLPレコードでの鑑賞です。カートリッジはシュアーの「V15TYPEⅢ」です。

今では50年以上も前の録音ですが、この録音は音が良いです。

 

 

 この「魔笛」はレチタティーヴォで曲が進むのではなく、台詞によるジングシュピールです。クレンペラーの「魔笛」では台詞がカットされてはいますが、曲の魅力を損なうような感じはしません。  しかし、個人的には台詞があったほうが良いというのがHIROちゃんの考えです。

 さて、このショルティの演奏ですが、全体的に起用した歌手もそれぞれの役にあっていて、まとまりのある堅実な演奏と言えると思います。

 特にこの演奏での特徴は、パパゲーノ役のヘルマン・プライと、夜の女王役のクリスティーナ・ドイテコムの歌唱です。明るい伸びやかな声のヘルマン・プライのパパゲーノは、ピッタリの役で愉快に歌う「私は鳥刺し」は、聴いていて楽しい。

 また、タミーノ役のスチュアート・バロウズも適役。第1幕での「なんと美しい絵姿」にはうっとりします。(個人的には、このアリアはフリッツ・ヴンダーリッヒの歌唱が最高でしょう。)

そして夜の女王役のクリスティーナ・ドイテコムですが、この録音では何といっても、ドイテコムの歌唱が印象に残ります。第1幕での「夜の女王のアリア」では技巧的なコロラトゥーラを聴きことができますが、ちょっと癖のある歌唱です。 このアリアより第2幕での有名なアリア「復讐の炎は地獄のようにわが心に燃え」では、狂ったような正に超技巧的な歌唱で、表現しにくいのですが、どぎつい癖のある歌唱が正にこの曲にピッタリという感じで恐ろしさも感じます。この声が好きか嫌いかは別として圧倒的なテクニックを聴かせてくれます。

 また、この録音では弁者役としてD・フィッシャー=ディースカウが歌っていて、これも敵役ですが、個人的にはハンス・ホッターのほうが声的に弁者役があっている気がします。(DGのベーム盤では弁者はハンス・ホッターで、D・フィッシャー=ディースカウはパパゲーノ役でした)

大好きな曲なので、20数種類の「魔笛」全曲音盤を持っているHIROちゃんですが、このショルティ盤は見逃していました。1990年のデジタル録音盤は聴いていませんが、この1969年盤は「魔笛」を語る上でも「名盤・名演奏」になると思いました。

 

<追記>

魔笛でパパゲーノが持つ魔法の鈴(グロッケンシュピール)ですが、この録音ではチェレスタが使用されていますね。チェレスタを使う指揮者が多いように思いますが・・ 個人的にはグロッケンシュピールのほうが好きかな~~~。モーツアルト時代にチェレスタってあったのかしら?・・多分なかったと思う・・

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。