ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」のベスト1は?どの演奏?

 これまで、フルトヴェングラーの残した録音についてHIROちゃんの手元にあるライブラリーから多くの音盤を15回にわたり紹介してきました。まだまだ手元には未紹介の音盤があります。1951年ライヴ録音のヴェルディの「オテロ」や、ストラヴィンスキーの「3楽章の交響曲」、その他にもヒンデミット、ウェーバー、ケルビーニ、シベリウスなど多くの録音があります。また、メニューインとの共演によるバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番や、D・フィッシャー・ディースカウとのマーラー「さすらう若人の歌」などなど、フルトヴェングラーの熱烈なマニアの方から見れば、「その他にもまだまだ多くの名盤があるよ・・」と、言う声も聞こえてきそうですが、・・  最後に番外編としてベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」の再投稿で、フルトヴェングラーを締めくくりたいと思います。

 

フルトヴェングラーのベスト3はどの曲の演奏か?

もし、「フルトヴェングラーの残した録音の中からお気に入りのベスト3を選んでください」・・と言われたら、このブログを読んだ方はどんな曲をえらぶのだろうか?

HIROちゃんとしては、フルトヴェングラーといえば、やはりベートーヴェンの交響曲をあげます。このブログでも多くのベートーヴェンの名盤を紹介しました。EMIのスタジオ録音によるウィーン・フィルハーモニーとの第3番「英雄」や、第5番「運命」、そして、「ウラニア盤の英雄」と呼ばれる1944年ライヴの第3番「英雄」、フルトヴェングラーのベルリン・フィル復帰演奏会での1947年ライヴの第5番「運命」、そして1951年バイロイトでの交響曲第9番「合唱」のライヴ、・・ これらがベストの候補曲です。どの演奏がベストか?と問われると返答に困ってしまう。ここでは曲目として第3番「英雄」、第5番「運命」、第9番「合唱」の3曲ということにしましょう。

 

「フルトヴェングラー/ベートーヴェン交響曲全集

 東芝EMI発売 LPレコード7枚 EAC47240-46

 

 

ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」のベスト1は?

「フルトヴェングラーの名盤・名演奏」を締めくくる第9番「合唱」についての印象は以前と変わっていないので、ここからは、これまでの投稿文に加筆・修正した文章になっています。

  フルトヴェングラーの第九の録音は、少なくても17種類?はあるといわれていますが、手元にあるのは下記の10種類の演奏です。

 

■交響曲第9番ニ短調「合唱」作品125

ベルリン・フィルハーモニーO&合唱団

(1937/5/19ライヴ)

 ベルガー(S)、ピッツィンガー(A)、

 ルードヴィヒ(T)、ヴァツケ(Bs) 

ベルリン・フィルハーモニーO

 ブルーノ・キッテル合唱団

 (1942/03/22ライヴ)
 ブリーム (S),ヘンゲン (A),

 アンデルス (T),ヴァツケ(Bs)

ベルリン・フィルハーモニーO、

 ブルーノ・キッテル合唱団

 (1942/4/19ライヴ)

 ※ヒトラー生誕前夜祭のライヴ録音

 ベルガー(S)、ピッツィンガー(A)、

 ロスヴェンゲ(T)、ワッケ(Bs)、
ストックホルム・フィルハーモニーO

 (1943/12/8ライヴ) 

  シンベルイ(S)、タネル(A)、

 ベッケリン(T)、ビョルリンク(B)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 (1951/01/07ライヴ)

  ゼーフリート(S)、アンダイ(A)、

  パツァーク(T)、エーデルマン(B)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 (1951/01/10ライヴ)

  ゼーフリート(S)、アンダイ(A)、

  パツァーク(T)、エーデルマン(B)

バイロイト祝祭管弦楽団、同合唱団
 エリーザベト・シュワルツコップ(ソプラノ)
 エリーザベト・ヘンゲン(アルト)
 ハンス・ホップ(テノール)
 オットー・エーデルマン(バス)
 (1951/07/29ライヴ)バイロイト

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、

 ウィーン国立歌劇場合唱団、

 ザルツブルク大聖堂合唱団員
 イルムガルト・ゼーフリート(S)、

 ジークリ アントン・デルモータ(T)、

 アントン・デルモータ(T)、

 ヨーゼフ・グラインドル(B)、

 (1951/08/31ライヴ)

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ウィーン・ジングアカデミー
 イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)
 ロゼッテ・アンダイ(アルト)
 アントン・デルモータ(テノール)
 パウル・シェフラー(バス)

 (1953/05/31ライヴ)

 ⑩フィルハーモニア管弦楽団、

 ルツェルン祝祭合唱団

 エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)
 エリザ・カヴェルティ(A)
 エルンスト・ヘフリガー(T)
 オットー・エーデルマン(Bs) 

 (1954/08/22ライヴ)

 

 いずれも壮大なスケール感、迫力、緊張感、感情のうねりと、いったものが顕著に表れています。この中では、の1951年のバイロイト祝祭管弦楽団の演奏が最高で、ベスト1だと思います。寄せ集めのオケとはいえ、これほど緊張感を持った巨大な、そして美しい演奏はないでしょう。特に第3楽章は、この世とは思えないほどの美しさで、このまま死んでもいいくらい安らぎを感じさせるアダージョ・・・これだけゆっくりとした演奏ながら、ダレたり引きずるような感じは全くありません。この曲は第3楽章が美しくなければ、名盤とは言えません。・・また、第1楽章のスケールの大きさも素晴らしいものがあります。モノラルですが、クラシック音楽ファンなら絶対に聴かなければならない名盤中の名盤でしょう。  この51年のバイロイト盤はLPレコードや、CDで多く持っていて、手元に10枚以上はダブリであります。

なお、スウェーデン放送局の中継録音によるBIS盤では開始前のアナウンスから最後のアナウンスまで全て収録されているのですが、フルトヴェングラーの足音や演奏前にオケのメンバーにひそひそと話しかける言葉も録音されていません。拍手も異なります。これを聴くとEMI盤の足音などはインチキなのでしょう・・・
 いずれにしても、リハーサル録音を修正したものであれ、本番の録音を修正したのであれ、演出として?足音を足したとしても、この日のバイロイト祝祭の演奏は名演奏であることには間違いありません。確かに多少のミスはあっても一発録りの無修正の方が「演奏の記録」としての感動は大きいのですが、セッションでの録音と思って聴いても感動する演奏です。なお、このスウェーデン放送局の中継録音によるBIS盤の音は良くありません。がっかりです。

 

 また、彼の死の年に残した1954年、ルツェルンでのフィルハーモニア管弦楽団とののライヴも素晴らしい演奏で、この演奏でも第3楽章は絶品。

  なお、1940年代のライヴ録音もいくつか残されています。当然、音も悪いですが、テンポのうねりと共にみられる緊張感や、スケール感などは充分に聴きとれます。40年代の録音の中ではのヒトラー生誕前夜祭のライヴ録音もすごいのですが、同じ1942年3月22日のの録音については、特に第1楽章のとてつもない激しい燃焼のスケールの大きさには、感動を覚えます。これは古い演奏ですが大好きな演奏の一つで名盤でしょう。

 今年は、フルトヴェングラー没後70年にあたりますが、これからも彼の残した録音は多くのクラシック・ファンを楽しませてくれるでしょう。

 

次回からの「名指揮者の名盤・名演奏」は、ハンス・クナッパーツブッシュについて投稿したいと思います。では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。