コンパチブル・シングル・トランス結合アンプの改造

 完成して間もない45/2A3/300Bのコンパチブル・アンプですが、実験用のテスト・アンプも兼ねているので、更に改造して挿し替え出来る出力管を増やしてみようという計画です。

 現在、45と2A3、300B用としてフィラメント電圧と、Rk(自己バイアス抵抗値)を切替えることにより使用可能ですが、さらにフィラメント電圧を6.3Vにすることで、6A3VT-52も挿し替え出来るようにしました。

6.3Vのフィラメント電圧は、フィラメントの規格が5V1.2Aの300Bを6.3Vの巻き線から1.1Ωを通して5Vとしていますので、1.1Ωをショートすれば6.3Ⅴが供給できます。

 

6.3V切り替え用のスイッチはアンプの背面(後ろ)に取り付けました。

 

 

 

なお、6A3のRk(バイアス抵抗)は750Ω、VT-52は1.5KΩとします。

 

各スイッチ類には誤操作を避けるために、紙でシールを作り暫定的に貼ってあります。後日、プリンターでシ-ルを作り、正式なものを貼る予定です。

 

 

■6A3を使用した時の出力管の動作 

(整流管に5U4Gを使用の場合)

Ep:255V

Ip:60.0mA

Pd:15.3W

Eg:-45V (Rk:750Ω)

RL:2.5KΩ

出力:約3.5W

※出力は真空管規格表の動作例からの推定値

 

 

6A3は、シルヴァニア製です。動作では6A3のプレート損失(Pd)規格15Wに対し15.3Wとごくわずかにオーバーしていますが、この程度なら全く心配はありません。気になるようなら整流管を5R4にすると各電圧は少し下がります。

音の傾向は2A3と同じですが、やや2A3より硬い気がします。しかし高音はしっかりしています。フィラメントはAC点火ですがハムは、ほとんど聞こえません。

 

 

■VT-52を使用した時 

(整流管に5Y3Gを使用の場合)

Ep:268.5V

Ip:34.3mA

Pd:9.2W

Eg:-51.5V (Rk:1.5KΩ)

RL:5KΩ

出力:約1.8W

※出力は真空管規格表の動作例からの推定値

 

 

VT-52は今回のようなB電圧で動作させると、45とほぼ同じ電圧配分になります。45よりプレートが大きいせいか45の音に力感が加わったような力強い音に感じます。

こちらも、フィラメントはAC点火ですがハムは、ほとんど聞こえません。

 

-----大事件発生!-------

ハイトロン製のVT-52ですが、2本ある中、1本を床に落としてしまい・・ガラスの接着面から割れてしまいました。アッと言う間にゲッターは真っ白・・お陀仏‥となりました。残念!・・そのため、上記のアンプのVT-52は予備球のユナイテッド・エレクトロン(商社名?)のVT-52を使用しました。

 

 

■その他の改造・・・

中間トランスのNC-15は、2次側はオープンで使用するような設計になっているようですが、音を聴いているとなんとなく高音部に鋭さを感じます。そのため2次側にシャント抵抗として100~240KΩ位のグリッドリーク抵抗をつけることにしました。今回は手持ちの関係で130KΩをつけたところ、高音のきつさが取れたように感じます。

 

とにかく、今回のアンプは出力管だけでも45/2A3/300B/VT-52/6A3の挿し替えが可能です。また、ドライブ管も多くの球が挿し替え出来、増幅率(μ)の違いを楽しんだり、音の違いも楽しめるでしょう。

さらに整流管についても基準管としては5U4Gですが、5R4でも電圧は若干下がりますが使用上問題はありません。また、300Bなどでは5AR4や、5Ⅴ4G、更には欧州管のCV-378なども使えます。

45や、VT-52を軽めに使いたければ整流管は5Y3Gに挿し替えると良いでしょう。

このアンプは、これらの出力管や電圧増幅管、整流管のテスト用としての活用もできるアンプだと思います。

 

あらためて、改造後のアンプの回路図を掲載します。

 

 

では、また、このアンプで新しい実験をしたら報告することにしましょう。

では、きょうは、このへんで・・・HIROちゃんでした。