今回の名指揮者の名盤・名演奏は、フルトヴェングラーと同じ年に生まれたフランスの指揮者、ポール・パレーについて書いてみます。
【ポール・パレーのプロフィール】
1886年5月24日、フランスのル・トレポール生まれの指揮者。1979年10月10日、モンテカルロにて没。1905年からパリ音楽院で作曲を学び、1911年にローマ大賞を受賞。第一次大戦でドイツ軍の捕虜となり、戦後に指揮活動を始めた。コンセール・ラムルー管を経て、1933年コンセール・コロンヌ管の指揮者を務め、フランス近代音楽を好んで演奏した。第二次大戦中はモンテカルロに拠点を移し、レジスタンスの地下活動も支援した。戦後の1952年、デトロイト交響楽団の常任指揮者に任命され、この楽団の黄金時代を築いた。1963年の離任後も自由な客演活動を続け、90歳を過ぎても若々しい音楽を指揮し続けた。
2012/08/30 (2013/01/11更新) (CDジャーナル)
※タワー・レコード通販サイトからコピーしました。
さて、パレーは、デトロイト交響楽団の常任指揮者時代にマーキュリーに数多くの録音をしていますが、HIROちゃんの架蔵しているパレーの音源のライブラリーは、下記のとおりで数多くはありません。
■ショーソン/交響曲
デトロイト交響楽団 オルガン:マルセル・デュプレ (LP)
このLPレコードは、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」と、ショーソンの交響曲が聴きたくて初めて購入した当時1,000円の廉価盤LPレコードです。
2曲ともパレーの代表的な録音といって良いでしょう。ショーソンが1956年、サン=サーンスは1957年録音と、ステレオ初期の録音としては聴きやすい音です。
サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」では、マルセル・デュプレがオルガンを担当しています。残響の少ない録音ですが生々しさがあり、全体的に明瞭で強靭、オルガンの音も当時の録音としては良くとらえられています。特に第2楽章第2部の壮麗な響きが素晴らしい。これは名盤でしょう。
ショーソンの交響曲は、44歳で事故で急逝したショーソンの唯一の交響曲ですが、第1楽章は鬱々した導入部からだんだんと明るい主部に移るのですが、軽やかなフレーズが印象的。また、力強い動機の第3楽章も魅力です。
下記のCDは、メンブランの10枚組廉価BOXでパレーのデトロイト交響楽団を指揮した録音をあつめたもの。面白い顔をしたユニークな箱写真ですね。
CD1
■ベルリオーズ:幻想交響曲
■フランク:交響曲ニ短調
録音:1959年(ステレオ)
CD2
■ドビュッシー:「海」
■同:「牧神の午後への前奏曲」
■同:「イベリア」
■同:「夜想曲」
録音:1959~1961年(ステレオ)
CD3
■ラヴェル:「ボレロ」
■同:「高雅にして感傷的なワルツ」
■同:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
■同:「ラ・ヴァルス」
■同:「道化師の朝の歌」
■同:「スペイン狂詩曲」
録音:1958~1962年(ステレオ)
CD4
■ラヴェル:「亡き王女のためのパヴァーヌ」
■同:組曲「マ・メール・ロワ」
■同:組曲「クープランの墓」
■ドビュッシー:小組曲
■マスネ:序曲「フェードル」
■アダン:歌劇「我もし王なりせば」~序曲
■エロール:歌劇「ザンパ」~序曲
■マイアベーア:歌劇「預言者」~戴冠式行進曲
録音:1959~1962年(ステレオ)
CD5
■サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
■同:歌劇「サムソンとデリラ」~バッカナール
■同:「死の舞踏」
■同:「英雄的行進曲」
■同:「フランス軍隊行進曲」
■オーベール:歌劇「王冠のダイヤモンド」~序曲
■オッフェンバック:喜歌劇「美しきエレーヌ」~序曲
■同:喜歌劇「天国と地獄」~カンカン
録音:1957~1961年(ステレオ)
CD6
■ビゼー:序曲「祖国」
■同:「カルメン」組曲
■同:「アルルの女」組曲
■グノー:歌劇「ファウスト」~バレエ音楽
録音:1956~1962年(ステレオ)
CD7
■シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
■同:「気まぐれなブーレ」
■同:「楽しい行進曲」
■同:喜歌劇「いやいやながらの王様」~ポーランドの祭り
■同:喜歌劇「いやいやながらの王様」~奴隷の踊り
■同:歌劇「グヴァンドリーヌ」~序曲
■同:「田園組曲」
■ボイエルデュー:歌劇「白衣の婦人」~序曲
■トマ:歌劇「レーモン」~序曲
■同:歌劇「ミニヨン」~序曲
■同:歌劇「ミニヨン」~ガヴォット
録音:1957~1962年(ステレオ)
CD8
■ショーソン:交響曲変ロ長調
■ラロ:歌劇「ナムーナ」第1組曲
■同:歌劇「イスの王様」~序曲
■オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」組曲(ポプリ)
■グノー:歌劇「ファウスト」第2幕~ワルツ
録音:1956~1962年(ステレオ)
CD9
■シューマン:交響曲第1番「春」
■同:交響曲第2番
録音:1955~1958年(ステレオ)
CD10
■シューマン:交響曲第3番「ライン」
■同:交響曲第4番
■同:劇音楽「マンフレッド」~序曲
録音:1953~1958年(ステレオ、シューマン4番のみモノラル)
マルセル・デュプレ(オルガン/サン=サーンス3番)
ポール・パレー(指揮) デトロイト交響楽団
シューマンの交響曲第4番だけがモノラル録音で、後はすべてステレオ録音です。
1955年から1962年までのステレオ最初期の録音ですが、音は聴きやすい音になっています。おそらくマーキュリー原盤の録音からのコピー盤だと思うのですが、鑑賞には問題ない音です。
前述のサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」と、ショーソンの交響曲もこのBOXに含まれています。フランス音楽を中心にまとめたこのBOXですが、パレーの代表的な録音を聴くことができるお買い得なBOXと言えます。
サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」と、ショーソンの交響曲以外では、個人的には、特にラヴェル、ドビュッシー、シャブリエが素晴らしいと思いました。
こちらはモーツアルトとベートーヴェンの交響曲を集めた2枚組CDです。
CD1
モーツァルト:
1. 交響曲第35番 ニ長調 K.385《ハフナー》*
ベートーヴェン:
2. 交響曲第1番 ハ長調 作品21*
3. 交響曲第2番 ニ長調 作品36*
CD2
4. 交響曲第6番 ヘ長調 作品68《田園》
5. 交響曲第7番 イ長調 作品92
【演奏】
ポール・パレー(指揮) デトロイト交響楽団
【録音】
1953年2月(5,MONO)、1954年11月(4,MONO)、
1956年10月(1)、1959年1月(2,3)
*初CD化
どの曲も早めのテンポですが、その中でも「田園」は快速な演奏。特に第1楽章は、これまで聴いたことのないような超快速で進んでいきます。超快速の「田園」ですが統率されたオーケストラは見事で引き締まった演奏、生き生きとした快演と言えます。 第7番も躍動感のある新鮮さを感じる演奏です。
このほか、コンサート・ホールのCDで、メンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」など、何人かの指揮者による曲集のCDがあります。
さて、数少ないHIROちゃんのパレーの音盤の中から「名盤・名演奏」を1枚選ぶなら、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」でしょうか・・・
次回からは、いよいよフルトヴェングラーの投稿になるのですが、架蔵音源は多く、ベートーヴェンの交響曲だけでも相当数が手元にあります。 さて、どのように紹介していけばよいのだろうか・・
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。