今回は、オットー・クレンペラーの名盤・名演奏について9回目の投稿、ブルックナーの交響曲について少し書いてみます。
HIROちゃんの手元にある、クレンペラーのブルックナーのライブラリーとしての音源は下記のとおりです。
■交響曲第4番変ホ長調 『ロマンティック』
①ケルンWDR交響楽団
録音:1954年(モノラル・ライブ録音)
②フィルハーモニア管弦楽団
録音:1963年9月 ステレオ
■交響曲第5番変ロ長調
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
録音:1967年3月 ステレオ
■交響曲第6番イ長調
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
録音:1964年11月 ステレオ
■交響曲第7番ホ長調
①バイエルン放送交響楽団
録音:1956/04/12(モノラル・ライブ録音)
②ウィーン交響楽団
録音:1958年(モノラル・ライブ録音)
③フィルハーモニア管弦楽団
録音:1960年6月 ステレオ
■交響曲第8番ハ短調
①ケルン放送交響楽団
録音:1957年(モノラル・ライブ録音)
②ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
録音:1970年10月、11月 ステレオ
■交響曲第9番二短調
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
録音:1970年2月 ステレオ
こちらの第9番はLPレコードです。
<モノラルのライブ録音盤(第4・7・8番)について>
ライブ録音というと、コンセルトヘボウ管弦楽団との第6番や、ベルリン・フィルハーモニーとの第7番などの録音もあるようですが、手元にあるのは前記のとおりです。
いずれのライブ演奏もクレンペラーの演奏とは思えないほどテンポが速く、後に1960年から1970年にEMIにスタジオ録音したものと比べると、全く別人の演奏のように聞こえます。
1954年の第4番「ロマンティック」では、早いテンポで全体的にエキサイティングな迫力のある表現で、特に第3楽章や第4楽章で見せる熱気に驚きます。
第7番ですが、1956年のバイエルン放送交響楽団と、1958年のウィーン交響楽団の演奏は、どちらの各楽章とも演奏時間にほとんど差はなく、EMI盤と比較すると早目のテンポで、緊張感のある演奏。クレンペラーとしては感情の起伏が結構大きく情感のある演奏です。特に1958年のウィーン交響楽団盤では、演奏開始前からの会場のざわつきと拍手から録音されていて臨場感があります。録音もモノラルとはいえ、1956年のライブ録音としては、音質もまあまあ良く聞きやすく聴きごたえがあります。第2楽章のアダージョでみせる繊細で情感のある表現は、このウィーン交響楽団盤の方が素晴らしい。ステレオでないのが残念。
第8番ケルン放送交響楽団とライブですが、後のEMIのスタジオ録音と比較するとテンポが速く、全体で72分という速さです。EMIのスタジオ録音盤では第4楽章で大きなカットがありますが、このライブ盤ではカットがありません。それでもテンポが速く、個人的にはあまり好みの演奏ではありません。
<EMIのスタジオ録音盤(第4~9番について>
クレンペラーは1960年の第7番から1970年までの10年間で第4番から第9番までの6曲をステレオ録音しています。いずれも演奏のスタイルはクレンペラーらしい一貫した重めのテンポの遅い演奏です。
第4番、第5番では極端なテンポの動きや起伏は見られませんが、重厚な演奏と言えるでしょう。第4番はクレンペラーとしては、意外とまっとうな普通のテンポなのには興味を引きます。
第6番ですが、EMIのプロデューサーのウォルター・レッグ氏が、「この曲は売れない」として録音を渋ったともいわれている曲。地味な曲とよく言われるのですが、スケール感のある素晴らしい演奏。また第2楽章のアダージョはとても美しく、ブルックナー交響曲の中のアダージョのなかでも、とても魅力ある楽章のひとつ。最近は、このクレンペラーとカイルベルトの第6番の演奏がとても好きになっています。
第7番のクレンペラーのこのEMI盤の演奏は、あまり高く評価はされない方も結構おられるのですが、個人的には好きな演奏。深い表現の第1楽章から壮大なブルックナーが聴けます。また第2楽章のアダージョは崇高さを感じる素晴らしい演奏だと思います。
第8番ですが、このEMI盤は、起伏のあまり感じられない第1楽章や、落ち着き払ったテンポの遅い第2楽章など少し物足りなさを感じる中にも、ゆったりとしたスケールのある壮大さも感じます。しかし、この演奏の最大の欠点は、第4楽章での大きなカットでしょう。そのカットがあってもテンポが遅すぎですね。
第9番ですが、以前にこの演奏を聴いた時の大きな感動は、多少薄れたものの今でも好きな演奏です。少しぶっきらぼうで、テンポも遅めです。しかし雄大でスケールの大きな演奏で、特に第3楽章が素晴らしい。
今回、クレンペラーの手元にあるブルックナーは、すべて聴き直したのですが、とても疲れました。そんなクレンペラーのブルックナーですが、これらの中から名盤・名演奏を選ぶなら・・う~~ん・・困った・・
ライブ録音には素晴らしい演奏があるのですが、やはりブルックナーを聴くならステレオ盤で聴きたいものです。
と、なるとEMI盤ということになるのですが、個人的な好みから第6番、第7番、第9番が名盤・名演奏だろうか・・
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。