今回は1883年生まれのヴァーツラフ・ターリッヒについて簡単に紹介します。

 

ヴァーツラフ・ターリッヒのプロフィール

 1883年5月23日、チェコのクロメジーシュ生まれの指揮者。1961年3月16日、プラハにて没。1897年、プラハ音楽院に入学しオタカル・シュフチークにヴァイオリンを学ぶ。1903年、卒業後アルトゥール・ニキシュの招きでベルリン・フィルのコンサートマスターに就任。その後、指揮者に転じ、1908年、創設されたばかりのランバッハのスロヴェニア・フィルの常任指揮者に迎えられる。1917年にチェコ・フィルに客演して大成功を収め、1919年から首席指揮者に就任。1941年までこの地位に留まり、この楽団を名実ともに世界の名オーケストラに育てあげた歴史的な名指揮者。後輩のクーベリックにその地位は譲ったが、晩年まで古巣のチェコ・フィルには客演を続けた。

2012/08/30 (2013/01/11更新) (CDジャーナル)

 

 ターリッヒと言うと、スプラフォンにドヴォルザークや、スメタナをはじめ、モーツアルトの交響曲など多くの曲を録音しています。中でもドヴォルザークの交響曲やスメタナの作品では同じ曲を何回か録音しています。

 ターリッヒのHIROちゃんの持っているライブラリーは非常に少なく、1970年代に購入したLPの廉価盤6枚だけで、CDは1枚もありません。下記の6枚のレコードは日本コロンビアから発売されたものですが、ジャケットには録音年月のデーターが記載されていません。いずれも1950年代に録音されたモノラル盤で、いずれもチェコ・フィルによる演奏です。

 

 

 

 

 

 

 

 今回のターリッヒのレコードを聴くのは本当に久しぶりで、おそらく購入した頃に聴いてからは、その後はほとんど聴いていないと思います。

今回、聴き直しのためジャケットからレコード盤を取りだしたところ、ドヴォルザークの交響曲第8番と、第9番「新世界より」は結構、カビが発生していて音盤が汚れていました。そのため鑑賞前にカビの除去作業をしてからの鑑賞となりました。

 

 どの録音もモノラルですが、音そのものは聴きやすい音で、普通に鑑賞するには問題ありません。紹介した6枚ともターリッヒの歴史的名盤とされているものばかりですが、これらの中では特に、ドヴォルザークの交響曲第8番と、第9番「新世界」、それに「スターバト・マーテル」が名盤だろうか・・

 

 ドヴォルザークの交響曲第8番と、第9番「新世界」ですが、どちらかというと、まじめで落ち着いた演奏と言えると思います。どちらも風格のある情緒性が豊かな演奏ですが、芝居がかったようなオーバーな感情表現や、ドラマチックな激しさなどはあまり見られません。そのため壮大な「新世界」などは聴く人によってはものたりなさを感じる演奏かもしれません。

「新世界」でチェコ・フィルの演奏と言うと、1961年録音のカレル・アンチェル、1972年録音のヴァーツラフ・ノイマン、そして1991年のライブ録音でラファエル・クーベリックの名盤がありますが、このターリッヒ盤も古いモノラルとは言え、名盤と言える演奏でしょう。前記のように情緒性が豊かな演奏です。第1楽章はテンポが速いのですが、第2楽章のラルゴは、とても美しく心にしみわたる演奏です。イングリッシュホルンによる主部の主題が印象的。

 第8番では最も有名な3拍子のワルツ風の第3楽章が素晴らしく、幸福感みたいなものが感じられます。

 

 スターバト・マーテルですが、19世紀の作品の中ではロッシーニのスターバト・マーテルとともに有名な宗教曲です。ペルゴレージや、ロッシーニのスターバト・マーテルなどに比べると、全曲で75分~80分位と演奏時間が長いためかイマイチ人気が無い曲のようです。しかし、この曲はドヴォルザークに良くみられる「民族性」的なものは、全く感じられない説得力のある美しい曲です。この曲に民族性を求めてはいけません。ターリッヒの演奏ですが、結構ドラマチックで説得性のある部分と抒情的な部分がある曲ですが、美しい演奏です。中でも混声合唱で歌われる第3曲「 いざ、愛の泉である聖母よ (Eja,Mater, fons amoris)」と、第5曲「わがためにかく傷つけられ (Tuinati vulnerati)」が素晴らしいと思いました。

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。