ストコフスキーを紹介する前に・・・
前回、1980年生まれの指揮者として、カール・シューリヒトと、ロベルト・シュトルツを紹介しました。実はもう1人、1880年生まれの指揮者がいました。
デジレ=エミール・アンゲルブレシュト(1880-1965)です。アンゲルブレシュトは、20世紀前半のフランスを代表する指揮者で、1934年にフランス国立放送管弦楽団の初代首席指揮者となっています。調べてみるとドビュッシーや、ラヴェルの作品の録音が残されていますが、残念ながらHIROちゃんのライブラリーには1枚も無く、まったく聴いたことがありません。
と、いうことで次の指揮者の紹介ですが、レオポルド・ストコフスキーです。
まずは、ストコフスキーのプロフィールです。
指揮者。1882年ロンドン生まれ。オックスフォード大を経て、ロンドン王立音楽院でオルガン、作曲を専攻。指揮はハンス・リヒターの影響を受け独学。当初教会オルガニストとして活動し、1908年ロンドンで指揮者デビュー。翌年にシンシナティ響、12年からフィラデルフィア管の音楽監督に就任。24年間の在任中にいわゆる「フィラデルフィア・サウンド」を作り上げた。現代音楽の積極的な紹介の一方、レコードを通じてクラシックの普及に尽力した。
どんな曲でも常に新鮮で刺激のある演奏で、楽曲をより分かり易く、効果的に響かせるために楽曲の改変が多かったことでも有名。そのため批評家を敵に回すことも多かったのですが、生命力あふれる独創的な解釈は、音の魔術師とも呼ばれていました。 2012/09/03 (2014/01/10更新) (CDジャーナル)等参考に編集
ストコフスキーの名盤・名演奏と言うことですが・・
どうしよう・・困りました。実はHIROちゃんのライブラリーには、ストコフスキーの音源がほとんどありません。一つの理由として曲の改変が多いということで購入しなかったということもあります。それでも何枚かは持っていて、確かLPレコードで「トッカータとフーガ」などのオーケストラ編曲をあつめた「バッハ作品集」と、オルフの「カルミナブラーナ」があったはずですが、どこかに紛れ込んでしまい探しても見つかりません。
やっと、見つけ出したCDは下記の演奏だけです。
■マーラー/交響曲第8番「千人の交響曲」 1950年代モノラル録音
ニューヨーク・フィルハーモニー(メンブランBOXの中の1枚)
※ストコフスキーはこの曲を1910年代?にアメリカ初演しているようです。
■ホルスト/惑星 リスト/ハンガリー・ラプソディー第2番 他
ロスアンジェルス・フィルハーモニーO 他 1956/1960
■ブリテン/青少年のための管弦楽入門
ベートーヴェン/交響曲第7番 他 1963年ライブ
BBC交響楽団
■ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
ピアノ:グレン・グールド/アメリカ交響楽団 1966年
■ブラームス/交響曲第4番ホ長調
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ボーン・ウイリアムズ/タリスの主題による幻想曲 他
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1974/05/04ライブ
※参考音源(映画)
■アニメーション映画「ファンタジア」
DVD&オリジナル・サウンドトラックCD ディズニー
交響詩「魔法使いの弟子」「トッカータとフーガ」他
■映画「オーケストラの少女」
原題:ONE HUNDRED MEN AND A GIRL
1937年 ユニバーサル・スタジオ
リスト/ハンガリー狂詩曲 他
■映画「カーネギーホール」 ニューヨーク・フィルハーモニー
チャイコフスキー/交響曲第5番 第2楽章
これらの中でブラームスの交響曲第4番他は、ストコフスキー最後の公開演奏会のライブ録音です。BBCラジオ・クラシックス(CRCB-6017)
ストコフスキー92歳を祝うコンサートですが、この演奏会の後、メインのブラームス交響曲第4番を当時話題となった4チャンネル・ステレオ録音で収録しています。
(余談ですが、この4チャンネル録音、HIROちゃんが大学生で楽器や、音響製品も売っていたレコード店でアルバイトをしていた時に話題となっていて、店で売っていたステレオ装置も4チャンネルが多く、スピーカーが4個付いて店で良く聴いていました。アルバイト当時、安価な疑似4チャンネルの卓上ステレオがたくさん売れていました。しかし、この4チャンネル・ステレオ録音は長く続かなかったように記憶しています)
ストコフスキーと言えば、4チャンネル・ステレオ録音もそうですが、最新の録音技術には非常に関心を示したことでも有名で、1931年には実験的に世界初のステレオ録音を何曲か録音しています。 また、映画にも出演していて、中でもディズニーのアニメーション映画「ファンタジア」と、ユバーサル映画製作の「オーケストラの少女」 原題は「ONE HUNDRED MEN AND A GIRL」が有名で、「カーネギーホール」という映画にも出演しています。この映画では他にもワルターや、ライナー、ハイフェッツらも出演しています。
「ファンタジア」と、「オーケストラの少女」については、以前にこのブログでも紹介していますが、一部割愛のうえ修正したものを次に紹介しましょう。
【 DVD 】
【 CD 】
この「ファンタジア」ですが、マルチプレーン・カメラによる3次元的な映像部分がありますが、この映画の大きな特徴と言えばマルチ・チャンネルによるステレオ録音。サウンド・トラックは完成する前年の1939年に特注の映画用光学式録音機によって、9チャンネルで行われたようですが、当時の映画館では、なかなかマルチでの再生はできなかったようです。
なお、この「ファンタジア」のサウンド・トラックによるCDは、国内盤でも2枚組で発売されていて、私のライブラリーとしても所蔵しています。レンタル店で中古品を購入したものです。もちろんステレオ盤です。1939年の録音とは言え、音に不満はありません。
このDVDの音を画面を見ながら聴くと、通常では考えられないステレオ録音を生かした奇抜さがあり、音が右から左に動くように移ったり、逆に左から右に音が移ったりと、音による演出効果も聴き逃せませんが、真面目に純粋なクラシック音楽を聴こうとすると、編曲も多く、かなりの違和感がありますが、これもありですね。
また、音楽とは全く関係のない抽象的なアニメや、描写音楽でも独自の映像となっています。
どの曲も素晴らしい映像ですが、個人的にはミッキー・マウスと魔法使いによる、デュカスの「魔法使いの弟子」が最も好きな場面となっています。曲目は下記のとおりです。」
■バッハ/トッカータとフーガ ニ短調
■チャイコフスキー/組曲「くるみ割り人形」
■デュカス/魔法使いの弟子
■ストラヴンスキー/春の祭典
■ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
■ポンキエッリ/時の踊り
■ムソルグスキー/禿山の一夜
■シューベルト/アヴェ・マリア
いずれもストコフスキーによる編曲版で、曲の入れ替えや、楽器の追加なども見られますが、ほとんどの曲がカット部分が多く、かなり短く編曲されています。
例えば、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」などは第4楽章以外は大幅なカットが見られ全曲でわずか22分です。また、「春の祭典」でも原曲の一部がカットされ、順番が入れ替わっていたりしていて、かなり短くなっています。「くるみ割り人形」も同様です。
なお、「春の祭典」と、「田園」の間ではアニメによる「サウンド・トラック」の紹介があります。これは面白い。
映画 「オーケストラの少女」
この映画は、ユニバーサル・スタジオが1937年に製作したもので、映画の原題は「ONE HUNDRED MEN AND A GIRL」
監督はヘンリー・コスター 出演者はディアナ・ダービン、アドルフ・マンジュー、レオポルド・ストコフスキー 他
仕事の無いトロンボーン奏者(A・マンジュー)を父に持つ美声の少女パッシィー(D・ダービン)が、原題のように100人にも及ぶ失業中のオーケストラ奏者を集めて楽団を結成、パッシィーの奮闘により、ストコフスキーを指揮者にカーネギー・ホールでの公演を成功させるまでを描いた音楽映画。クラシック音楽ファンの方の多くが、この映画を見ているのではないでしょうか。
この映画では名指揮者ストコフスキー本人と、実在のオーケストラであるフィラデルフィア管弦楽団が出演したことで知られています。(1940年のディズニー映画「ファンタジア」でもストコフスキーは演奏者として出演していますが、「オーケストラの少女」ではセリフ付きの指揮者役として本人が実名でオーケストラと共に出演しています。)ただし、実際にはフィラデルフィア管弦楽団ではないという話を聞いたことがありますが、本当かどうかはわかりません。
ストコフスキー本人が実名で出演したことで「彼自身のPR用のキワモノ映画」と評価する人も多かったようですが、ストーリーも結構面白く、ユーモアもあります。
映画の中では、原曲とは多少異なる編曲した曲とはいえ、パッシィー(D・ダービン)が歌うモーツアルトのモテット「踊れ喜べ、幸いなる魂よ」より“アレルヤ“や、ヴェルディのオペラ「椿姫」から“乾杯の歌“、そしてオーケストラが演奏するリストの「ハンガリー狂詩曲」など、クラシック・ファンとしては十分に楽しむことが出来る音楽映画であることには間違いありません。
なお、映画 「カーネギーホール」についても、以前にこのブログで紹介しています。
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では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。