これまでカール・シューリヒトの音盤について、ブルックナー、モーツアルト、ベートーヴェン、ブラームスの作品について書きましたが、今回はシューリヒトのシューベルトなどの作品について、これまで紹介しなかった音源について簡単に紹介します。
また、今回は紹介済の曲が多いのですが、SCRIBENDUM から発売された10枚組BOX「コンサートホール・ソサエティ・ボックス」と、hänssler のCD20枚+DVD1枚のBOX「カール・シューリヒト・コレクション 1950-1966」について曲目とDVDについても紹介します。
■シューベルトの交響曲作品
■交響曲第5番変ロ長調D485
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1965/04/24ライブ)
■交響曲第8(7)番ロ短調D759「未完成」
①ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1956年Decca)
②北ドイツ放送交響楽団(録音年不明 SEVEN SEAS)
■交響曲第9(8)番D944「グレイト」
南ドイツ放送交響楽団(1960年コンサートホール)
※カール・シューリヒト・コンサート・ホール・ソサエティ・ボックス
と同じ
■シューマンの交響曲作品
■交響曲 第2番 ハ長調 Op.61(1959)
シュトゥットガルト放送交響楽団(hänssler)
■交響曲第3番Op97「ライン」
南ドイツ放送交響楽団
※カール・シューリヒト・コンサート・ホール・ソサエティ・ボックス
と同じ
■序曲、スケルツォ及び終曲(Decca)
パリ音楽院管弦楽団
■ハイドンの交響曲作品
■交響曲第86番ニ長調
①シュトゥットガルト放送交響楽団 1954年(hänssler)
※カール・シューリヒト・コレクション 1950-1966
②北ドイツ放送交響楽団(1961年SEVEN SEAS)
■交響曲 第95番 ハ短調(1955)
シュトゥットガルト放送交響楽団 (hänssler)
■交響曲 第100番 ト長調 「軍隊」(1958)
シュトゥットガルト放送交響楽団 (hänssler)
■チャイコフスキー:イタリア奇想曲(Decca)
パリ音楽院管弦楽団
これらの中では、ウィーン・フィルハーモニーとのシューベルトの交響曲第8番ロ短調「未完成」が名盤でしょう。第5番や第9番も良いのですが、第8番のウィーン・フィルの弦の美しさと、管楽器の音色が魅力で、特に第2楽章の情感のある旋律の歌わせ方は素晴らしいと思います。
シューマンの交響曲ですが、シューリヒトというとパリ音楽院管弦楽団と1950年代に Deccaに録音した第2番と第3番「ライン」が名盤とされているようですが、残念ながら持っていないので聴いていません。今回の投稿でてっきり持っていると思い探したらありませんでした。(もともとシューマンの交響曲はあまりすすんでは聴かなかったからかもしれません) コンサートホール盤の「ライン」ですが、やや控えめで淡白さを感じる演奏ではあるのですが、ステレオで録音を残してくれたことには感謝です。
(CD10枚)※印の曲目は、前回までに紹介済の音源
※ブルックナー:交響曲第7番/ハーグPO(1964)
■ワーグナー:管弦楽曲集~ジークフリート牧歌
他/BRSO(1961)
■シューマン:交響曲第3番「ライン」、他
南西ドイツ放送SO他(1960,etc.)
■J・シュトラウス 「南国のバラ」「ウィーンの森の物語
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
■シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
南西ドイツ放送SO(1960)
■ヘンデル:合奏協奏曲集(Op.3-4&Op.6-4,6)
+アレクサンダーの饗宴/BRSO(1961)
※ブラームス:交響曲第4番、悲劇的序曲/他BRSO(1961)
※モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」、第40番、第41番「ジュピター」
パリ・オペラ座O(1963&64)
■バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1-6番全曲
チューリヒ・バロックEns.(1966)、他
■メンデルスゾーン 真夏の夜の夢 他
【演奏】カール・シューリヒト (指揮)
バイエル放送交響楽団/南西ドイツ放送交響楽団
ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団、他
このBOXはコンサートホールに録音したシューリヒトの演奏をまとめたものとして高く評価できます。録音は、けっして最上とは言えないですが、鑑賞には問題はありません。シューリヒトが残したステレオ録音としては、貴重なものばかりです。なかでも前回までに紹介したブルックナーの交響曲第7番と、モーツアルトの交響曲第38番「プラハ」、ブラームスの交響曲第4番は名盤です。
また、このBOXを購入して初めて聴いた、チューリッヒ・バロック・アンサンブルとのバッハのブランデンブルク協奏曲や、ヘンデルの合奏協奏曲集などは、ちょっと聴くと単純のようですが、飽きのこない素敵な演奏だと思いました。
(CD20枚+DVD1枚のBOX)※印の曲目は、紹介済の音源
【曲目】全てカール・シューリヒト(指)シュトゥットガルト放送SO
※ベートーヴェン: 交響曲 第7番 イ長調 Op.92(1952)
■シューマン: 交響曲 第2番 ハ長調 Op.61(1959)
※ベートーヴェン交響曲 第9番 ニ短調 Op.125
「合唱つき」(1961)
マリア・シュターダー(S)マルガ・へフゲン(A)
マレイ・ディッキー(T)オットー・ヴィーナー(Bs)
SWR声楽アンサンブル、シュトゥットガルト教員合唱協会
シュトゥットガルト・バッハ合唱団
※ベートーヴェン:序曲「コリオラン」 Op.62(1952)
※ブラームス: 交響曲 第2番 ニ長調 Op.73(1966)
※ブラームス:運命の歌 Op.54(1954)
※ブラームス:悲歌 (Nänieネーニエ」 Op.82(1954)
シュトゥットガルトSWR 声楽アンサンブル
※ブラームス: ドイツ・レクイエム Op.45(1959)
マリア・シュターダー(S)ヘルマン・プライ(Br)
シュトゥットガルトSWR 声楽アンサンブル
フランクフルト・ヘッセン放送Cho.
※ブルックナー: 交響曲 第4番 変ホ長調 ロマンティック」(1955)
※ブルックナー: 交響曲 第5番 変ロ長調(1962)
※ブルックナー: 交響曲 第7番 ホ長調(1953)
■ワーグナー: 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
前奏曲と愛の死(1950)
※ブルックナー: 交響曲 第8番 ハ短調(1954)
※同: 交響曲 第9番 ニ短調(1951)
■グリーグ: 演奏会用序曲 「秋に」 Op.11(1954)
■ブルッフ: ヴァイオリン協奏曲 第1番ト短調 Op.26(1960)
ハンスハインツ・シュネーベルガー(Vn)
■ヘルマン・ゲッツ: ヴァイオリン協奏曲ト長調 Op.22(1953)
ロマン・シマー(Vn)
■ロベルト・フォルクマン:序曲 「リチャード3世」 Op.68(1952)
■ハイドン: 交響曲 第100番 ト長調 「軍隊」(1958)
■ 同: チェロ協奏曲ニ長調(1950)
エンリコ・マイナルディ(Vc)
■ 同: 交響曲 第95番 ハ短調(1955)
■マーラー: 交響曲 第3番 ニ短調(1960)
ルート・ジーヴェルト(Ms)
シュトゥットガルト放送声楽アンサンブル女声合唱 他
■R. シュトラウス: アルプス交響曲(1955)
■モーツァルト
※交響曲 第35番 ニ長調 KV.385 「ハフナー」(1956)
※ 同: 交響曲 第38番 ニ長調 KV.504 「プラハ」(1956)
※ 同: 交響曲 第40番 ト短調 KV.550(1961)
※ 同: コンサートアリア
「いいえ、いいえ、あなたにはできません」KV.419
ルート=マルグレート・ピュッツ(S)(1959)
※ 同: 歌劇 「フィガロの結婚」より、
愛の神よ、安らぎを与えたまえ
エリーザベト・シュヴァルツコプフ(S)(1959)
※ 同: 歌劇 「魔笛」より、なんと美しい絵姿(1959)
フリッツ・ヴンダーリヒ(T)
※モーツァルト: ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 KV.271
「ジュノーム」(1952)
※ 同: ピアノ協奏曲 第19番 ヘ長調 KV.459(1956)
クララ・ハスキル(P)
■レズニチェク: シャミッソーの詩「悲劇的な物語」にもとづく
バリトン独唱と大管弦楽のための主題と変奏(1960)
バリー・マクダニエル(Br)
■R. シュトラウス: 歌劇 「グントラム」 第1幕前奏曲(1956)
■プフィッツナー: 劇音楽 「ハイルブロンのケートヒェン」
序曲(1956)
■レーガー: モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ(1950)
■シューマン: 「マンフレッド」序曲 Op.115(1960)
■メンデルスゾーン: 序曲 「静かな海と楽しい航海」 (1961)
■シューマン: 序曲、スケルツォとフィナーレ Op.52(1954)
■メンデルスゾーン: 序曲 「フィンガルの洞窟」 Op.26(1955)
■ 同: 劇音楽 「真夏の夜の夢」より序曲 Op.21、
■ワーグナー:「パルシファル」より 第1幕への前奏曲(1966)
■ 同: 「トリスタンとイゾルデ」より 第1幕への前奏曲(1950)
■ 同: 「神々の黄昏」より
夜明けとジークフリートのラインへの旅(1955)
■ 同: 「神々の黄昏」よりジークフリートの葬送行進曲(1955)
■ 同: ジークフリート牧歌(1955)
■ 同: 「パルシファル」より聖金曜日の音楽(1956)
■ 同: 「パルシファル」より 第3幕フィナーレ(合唱なし)(1966)
■マーラー: 交響曲 第2番 ハ短調 「復活」(1958)
ハンニ・マック=コザック(S)ヘルタ・テッパー(A)
シュトゥットガルトSWR 声楽アンサンブル、
シュトゥットガルト・バッハCho
■ハイドン: 交響曲 第86番 ニ長調 Hob.I-86(1954)
DVD
■ロルフ・ウンケル監修 「シューリヒト~生涯の肖像」(1957)
■ストラヴィンスキー:バレエ組曲 「火の鳥」 1919年版(1958)
■モーツァルト: 交響曲 第35番 ニ長調 「ハフナー」より
終楽章(1956)
このhänssler の「カール・シューリヒト・コレクション 1950-1966」のBOXもシュトゥットガルト放送交響楽団との多くのライブ録音をまとめたものとして、高く評価できます。ライブ録音のためモノラル盤が多く、ステレオ盤も音がイマイチではあるのですが、特にブルックナー、モーツアルト、ベートーヴェン、ブラームスと、前回書いたように、シューリヒトの魅力を伝えた貴重な録音と言えるでしょう。また、マーラーやR・シュトラウスが聴けるのもうれしいですね。
DVDについて
このBOXではシューリヒトの動画を鑑賞できるDVDが1枚収められています。1958年収録のストラヴィンスキー:バレエ組曲 「火の鳥」 1919年版と、1956年収録のモーツァルト: 交響曲 第35番 ニ長調 「ハフナー」より終楽章の指揮姿を見ることが出来ます。シューリヒトの指揮で注目するところは彼の左手の動きです。左手のちょっとした瞬時の動きによってアクセントや、テンポの動きをオーケストラが的確に応えているのです。これはオーケストラとの信頼関係がなければ、彼の指揮に瞬時に反応することはできないと思いました。
シューリヒトについては、今回で終わります。さて次回の指揮者は・・・?
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。