今回はカール・シューリヒトの④として、ブラームスの交響曲を中心について書いてみます。シューリヒトが正規に録音した交響曲と言うと、1953年のウィーン・フィルハーモニーとの第2番と、コンサートホールに録音した南西ドイツ放送交響楽団との第3番、バイエルン放送交響楽団との第4番のステレオ盤しかないと思うのですが、その他にもあるのかしら? シューリヒトの音源を聴き始めたころは、この3枚のLPしかなかったのですが、その後、多くのライブ録音が海賊盤や最近では正規盤として数多く発売されています。しかし、HIROちゃんの架蔵している音源はあまり多くありません。現在、手元にあるシューリヒトのブラームスの音盤は下記のとおりです。

 

■交響曲第1番ハ短調 Op68

 スイス・ロマンド管弦楽団                                                                           

 1953/12/28 ライブ録音 Memories盤

■交響曲第2番ニ長調 Op73

①ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 1953年スタジオ録音 Decca盤LP&Memories盤

②シュトゥットガルト放送交響楽団

 1966/03/16ライブ録音 hänssler盤

■交響曲第3番ヘ長調 Op90

①シュトゥットガルト放送交響楽団

 1954/12/02ライブ録音 Memories盤

南西ドイツ放送交響楽団 1962年スタジオ録音

 日本コロンビア(コンサートホール原盤)LP

■交響曲第4番ホ短調 Op98

北ドイツ放送(NDR)交響楽団

 1958/05/07ライブ録音 Memories盤

バイエルン放送交響楽団 1961年スタジオ録音

 日本コロンビア(コンサートホール原盤)LP

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 1965/04/24ライブ録音 Altus盤

■ハイドンの主題による変奏曲 Op56a

 南西ドイツ放送交響楽団 1962年スタジオ録音

 日本コロンビア(コンサートホール原盤)LP

■悲劇的序曲Op81

 バイエルン放送交響楽団 1961年スタジオ録音

 日本コロンビア(コンサートホール原盤)LP

■ドイツ・レクイエム

①フランス国立管弦楽団・フランス国立合唱団

 エルフリーデ・トレッチェル、ハインツ・レーフス

 1955/02/10ライブ録音 ARCHIPRL盤

②シュトゥットガルト放送交響楽団 

 シュトゥットガルトSWR 声楽アンサンブル

 ヘッセン放送合唱団

 マリア・シュターダー、ヘルマン・プライ

 1959年ライブ録音hänssler盤&Memories盤

■運命の歌

 シュトウットガルト放送響

 シュトゥットガルトSWR 声楽アンサンブル

 1954/01/26ライブ hänssler盤

Nänie(ネーニエ)

 シュトウットガルト放送響

 シュトゥットガルトSWR 声楽アンサンブル

 1954/01/25ライブ hänssler盤

■ピアノ協奏曲 第2番

①ウィーン・フィルハーモニー、ピアノ:バックハウス

 1952年録音 Decca盤

②シュトウットガルト放送交響楽団、ピアノ:ケア・アンダ

 1954年11月ライブ Memories盤

■ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲

 スイス・ロマンド管弦楽団、クーレンカンプ=Vn、

 マイナルディ=Vc、1947年スタジオ録音Memories盤

■ヴァイオリン協奏曲

 ウィーン・フィル、フェラス=Vn

 1954年4月スタジオ録音 Memories盤

 

上記のLPレコードと、CDです。

 

 

 これらのシューリヒトのブラームスの曲の中では交響曲第2番と、第4番を名盤として選びたい。

交響曲第2番ですが、手元には前記のように1953年にデッカに録音した①のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と、②のシュトゥットガルト放送交響楽団とのライブ盤があります。どちらも優れた演奏ですが、①のウィーン・フィル盤が素晴らしい。ウィーン・フィルのオーケストラの音が美しいのはもちろんですが、生き生きとして表情豊かな演奏です。重厚なブラームスではなく、どちらかと言うと軽やかさの中にもロマンチックさが感じられる演奏と言えます。

 

 交響曲第4番ですが、ブラームスの交響曲というと第1番を好んでよく聴くのですが、最近は好みが少し変わって第4番を多く聴くようになってきました。

 このシューリヒトの第4番ですが、①の北ドイツ放送(NDR)交響楽団との1958年のライブ録音や、③のシューリヒトの死の2年前の1965年のウィーン・フィルとのライブ演奏もありますが、残念ながらどちらもモノラル録音。ここは②のコンサートホール原盤のバイエルン放送交響楽団との1961年スタジオ録音のステレオ盤を選びます。

 第1楽章の冒頭の痛烈な寂しさの表現、そして自由なテンポの変化、第2楽章のやや早めのテンポでの寂寥感、そして躍動感あふれる第3楽章と、大きな盛り上がりの構築を見せる第4楽章・・素晴らしい第4番です。

 

 交響曲以外では「ドイツ・レクイエム」が良いのですが、①の録音は合唱が少し濁った感じで良くありません。②のシュトゥットガルト放送交響楽団、他のライブ盤もありますが、ここでは「ドイツ・レクイエム」ではなく、「Nänie(ネーニエ)」が興味深い演奏です。

このオーケストラと混声4部合唱のNänie(ネーニエ)」ですが、あまり知られていない曲かもしれませんが、合唱ファンにとっては結構良く知られた曲で、日本のアマチュア合唱団の演奏会でも良くプログラムに取り上げられます。

 この曲を初めて聴いたのは今から50年前、他の大学の合唱団の友人から「ブラームスの「ネニュエ」という曲が素晴らしいから聴いてみて」・・と言われ、聴いたのが最初でした。

 この「Nänie(ネーニエ)」ですが、ブラームスが尊敬していたアンセルム・フォイエルバッハという画家の死を悼んで作曲した曲です。詩はシラーのものです。シューリヒトの演奏は荘厳で美しさのある旋律を、情感を持って歌ったものですが、モノラル録音なのが残念。

 

 協奏曲ではバックハウスとウィーン・フィルハーモニーとのピアノ協奏曲第2番が素晴らしい。

次もシューリヒトかな? では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。