今回は、カール・シューリヒトのモーツアルトの曲について投稿します。シューリヒトは、ブルックナーの曲同様、モーツアルトの曲についても得意だったようで、コンサートでは、よく取り上げたようです。中でも交響曲第35番「ハフナー」と、第38番「プラハ」は、大好きだったようで多くの録音が残っています。
HIROちゃんの持っているシューリヒトのモーツアルトの音源は、多くは持っていません。LPレコード、CD、CDのBOX、を合わせたライブラリーは下記のとおりです。
■交響曲 第23番ニ長調K.181 ドレスデン・フィル
1943年スタジオ録音 (MEMORIES盤)
■交響曲 第34番ハ長調K.338 ドレスデン・フィル
1943年スタジオ録音 (MEMORIES盤)
■交響曲 第35番ニ長調「ハフナー」K.385
①ウィーン・フィルハーモニー 1956年6月スタジオ録音
(デッカ盤ステレオ録音) CD&LP
②シュトゥットガルト放送交響楽団 1956年7月4日
ルートヴィヒスブルク・ライブ(ハンスラー盤)
ニューヨーク・ライヴ (MEMORIES盤)
④バーゼル交響楽団 1964年 バーゼル・ライブ
(スイス放送提供magistrale盤)
■交響曲 第36番 ハ長調 「リンツ」K.425
パリ・オペラ座管弦楽団 1961年11月 スラジオ録音
(DENON盤) CD&LP
■交響曲 第38番ニ長調「プラハ」K.504
ザルツブルク・ライヴ (EMI盤&MEMORIES盤)
②ベルリン・フィルハーモニー 1964/年8月5日
祝祭大劇場、ザルツブルク・ライブ TESTAMENT盤
③シュトゥットガルト放送交響楽団1956年7月4日
ルートヴィヒスブルク・ライブ(ハンスラー盤)
(DENON盤&コンサート・ホール盤) CD&LP
■交響曲 第40番ト短調K.550
①スイス・イタリア語放送交響楽団 1961年4月27日
ルガノ・ライヴ(MEMORIES盤)
②シュトゥットガルト放送交響楽団 1961年5月19日
シュヴェツィンゲン音楽祭・ライブ(ハンスラー盤)
③パリ・オペラ座管弦楽団 1964年6月? スジオ録音
(DENON盤&コンサート・ホール盤) CD&LP
④ヘッセン放送交響楽団 1963年3月20日ライブ
(SEVEN SEAS 盤)CD ※追加
■交響曲 第41番「ジュピター」K.551
ザルツブルク・ライヴ (EMI盤&MEMORIES盤)
②パリ・オペラ座管弦楽団 1964年6月? スタジオ録音
(DENON盤&コンサート・ホール盤) CD&LP
■協奏交響曲 K.297 シュトウットガルト放送交響楽団
1952/02/29ライヴ (MEMORIES盤)
■レクイエム K626
ウィーン・フィルハーモニー/マリア・スターダー/ニコライ・ゲッタ
マルガ・ホフゲン/オットー・ヴィーナー 1962年ライブ録音
(DISQUES REFRAIN 盤)
ウィーン・フィルハーモニー W・ボスコフスキー独奏
1960年8月14日ザルツブルク・ライヴ (EMI盤)
■ピアノ協奏曲 第9番「ジュノム」/ハスキル独奏
シュトウットガルト放送響 1952年5月23日ライヴ
■ピアノ協奏曲 第17番/アスケナーゼ独奏
シュトウットガルト放送響 1954年9月24日ライヴ
■ピアノ協奏曲 第19番/ゼーマン独奏
シュトウットガルト放送響 1961年5月19日ライヴ
■ピアノ協奏曲 第19番/ハスキル独奏
シュトウットガルト放送響 1956年7月4日ライヴ
■ピアノ協奏曲 第22番/ニコライエワ独奏
ウィーンフィル 1956年1月26日ライヴ
■ピアノ協奏曲 第27番/カサドシュス独奏
ウィーンフィル 1961年8月23日ザルツブルクライヴ
※ピアノ協奏曲は全てMEMORIES盤
■歌劇「魔笛」より、”なんと美しい絵姿”
シュトゥットガルト放送交響楽団/フリッツ・ヴンダーリヒ(T)
1959年4月12日 シュトゥットガルト・ライブ(ハンスラー盤)
■コンサートアリア「いいえ、いいえ、あなたにはできません」K.419
シュトゥットガルト放送交響楽団/ルート=マルグレート・ピュッツ(S)
1959年4月9日 シュトゥットガルト・ライブ(ハンスラー盤)
■歌劇「フィガロの結婚」より、愛の神よ、安らぎを与えたまえ
シュトゥットガルト放送交響楽団/エリーザベト・シュワルツコップ(S)
1959年4月6日 シュトゥットガルト・ライブ(ハンスラー盤)
こちらは、廉価盤のLPレコードです。
これらの中から今回は交響曲について簡単に書いてみます。
ドレスデン・フィルによる交響曲第23番ニ長調K.181 と、第34番ハ長調K.338ですが、MEMORIES盤の「シューリヒトのモーツァルト・ライヴ集」10枚組BOXの中の1枚です。この2曲はスタジオ録音で1943年録音のSP録音の復刻CDですが、とても1943年録音とは思えないくらいMEMORIES盤としては結構音が良いので驚きました。
2曲とも明るいモーツアルトですが堂々とした演奏です。
第35番ニ長調「ハフナー」K.385ですが、手元に4種類の演奏があります。
①は、デッカのスタジオ録音によるステレオで音は良いのですが、第1楽章、第4楽章での迫力もどちらかと言うと少しものたりない感じです。特に第1楽章では控えめです。それでも全体的に緻密な表現が随所にみられ、特に第2楽章のヴァイオリンの旋律と音は美しい。同じ1956年録音のハンスラー盤の②シュトゥットガルト放送交響楽団の方がライブ録音と言うこともあり、第1楽章や終楽章は迫力と生命力を感じます。また、第2楽章は元のセレナーデらしい美しい旋律と細やかなニュアンスが素晴らしく、モノラルですが個人的には①より好きな演奏です。
最近、発売されたばかりの初出の新盤、④のバーゼル交響楽団との演奏ですが、スイス放送局提供によるライブ録音です。音の劣化は少し見られるものの、モノラルのライブ録音としては良い方です。最後に拍手まで録音されていて臨場感や、迫力も感じられるなかなかの演奏。ただし録音のせいかどうかはわかりませんが、オーケストラの音色(特にヴァイオリン)に華やかさや上品さと言ったものがあまり感じられません。それでも何かシューリヒトの指揮に一生懸命、くらいついているのが伝わる熱演と言ってよいでしょう。
なお、③のウィーン・フィルハーモニーのニューヨーク・ライヴ盤 (MEMORIES)は、迫力は感じられますが、音が悪すぎます。一度聴けば充分です。
交響曲 第36番 ハ長調 「リンツ」ですが、全体的にテンポが速く、第3楽章ではダイナミックな響きなど、ユニークな演奏?でしょう。特に両端楽章はかなり早いテンポですが、随所に細やかな表現が見られます。
シューリヒトが最も得意だったとされる第38番「プラハ」K.504ですが、多くの録音があるようですが、手元には4種類の演奏があります。基本的なスタイルは同じ感じです。コンサート・ホール録音のパリ・オペラ座管弦楽団とのステレオ盤が、シューリヒトのファンの中では評価が高いようです。作品全体が緩-急-緩の構成となっていますが第1楽章のアダージョ部分はかなり大きな構成になっています。オーケストラはけっして一流とは言えない楽団ですが、シューリヒトの演奏では、アダージョ部分は弱音が美しく、細やかなニュアンスが汲み取れます。その後は、曲の最後までどちらかと言うと自由なアクセントや、強弱が随所に見られ多彩な表情をみせます。スピード感のある終楽章などは迫力や、生命力と言ったものまで感じる魅力ある名演です。
また、モノラル録音ですが、ザルツブルグでの①のウィーン・フィルとのライブや、②のベルリン・フィルとのライブ演奏、③のシュトゥットガルト放送交響楽団のライブ演奏も素晴らしく、これらは、それぞれのオーケストラの音色が素晴らしく、パリ・オペラ座管弦楽団より重厚です。また、抒情性があり、終楽章でのものすごいスピード感と迫力には圧倒されます。
その他では第40番ト短調K.550ですが、②のシュトゥットガルト放送交響楽団も、③のパリ・オペラ座管弦楽団の演奏も淡々とした中にもロマンティックな表現の演奏です。
なお、①スイス・イタリア語放送交響楽団との演奏は、録音が良くありません。
交響曲 第41番「ジュピター」は、ステレオで②のパリ・オペラ座管弦楽団も良いのですが、①のウィーン・フィルハーモニーとのザルツブルク・ライヴ盤の方が、重厚さや最終楽章のフーガ部分での展開などは、やはり上でしょう。
なお、今回は交響曲について簡単に書きましたが、モーツアルトの「レクイエム」については、録音が悪く独唱者の声は結構良く捉えていますが、合唱団の声は捉え切れていませんし、オーケストラの音も貧弱に聴こえます。大きな迫力や劇的な表現は、それほどなく淡々と進んでいく感じの演奏ですが、「モーツアルトのレクイエムの名盤」には、ちょっとお薦めはできません。
次回はシューリヒトのベートーヴェンの作品について投稿します。
では、今日はこのへんで・・・HIROちゃんでした。