「名指揮者の名盤・名演奏」 今回は、カール・シューリヒトです。これまで17回、この企画をシリーズで投稿していますが、シューリヒトで、やっと8人目です。

 

カール・シューリヒトのプロフィール

 指揮者。1880年7月3日、ダンツィッヒ(現ポーランド領)で生まれる。1967年1月7日スイスのコルソーにて没。父親はオルガン製作者。11歳で作曲、15歳で指揮を始め、ベルリン音楽大学を経て、マインツ、ドルトムントの歌劇場で修業を積む。1912年から31年間にわたってヴィースバーデン歌劇場の音楽監督を務める。ナチスを逃れてスイスに亡命。戦後はザルツブルク音楽祭をはじめ、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルなど各地のオーケストラに客演した。56年のウィーン・フィル初の米国公演にはクリュイタンスと共に参加、ドイツのもっとも正統的な指揮者と評価された。

2012/07/30 (2013/01/11更新) (CDジャーナル)

 

シューリヒトの音源は、ブルックナーをはじめ、モーツアルト、ベートーヴェン、ブラームスなど結構多くのLPやCDをライブラリーとして架蔵していますので、何回かに分けて書いてみたいと思います。シューリヒトの1回目は、ブルックナーの交響曲です。

ブルックナーの交響曲は私にとっては、ベートーヴェン、ブラームス、モーツアルトの交響曲と同様に、大変好きでベートーヴェンに次いで、相当数のライブラリーがあります。私の好きなブルックナー交響曲のLP、CD等は非常に多く、特にシューリヒト、クナッパーツブッシュ、ヴァント、マタチッチ、ケンペ、ヨッフム、カラヤン、クレンペラーあたりの音源を数多く持っています。あとはチェリビダッケ、評価が分かれますが、私は好きな部類です。

 また、朝比奈隆氏のブルックナーは言うまでもなく、好きで、もちろん彼のブルックナーの音源も相当数持っています。今後、シューリヒト以外の指揮者による演奏も順次、紹介する予定です。

 

 まずは、カール・シューリヒト指揮のブルックナー交響曲について、私のライブラリーを紹介します。LPレコードは全てCDで再購入しています。

LPレコードは後から写真を紹介しますが、こちらはCDとCDのBOXです。同じ音源でダブリも何枚かあります。

 

 

 

 

■交響曲第3番ニ短調

・ウィーン・フィルハーモニーO (1965EMI ステレオ録音)

■交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」

・シュトゥットガルト放送SO (1955/4/5ライブ)

・スイス・ロマンドO(1961/12/6ライブ)

■交響曲第5番変ロ長調

・シュトゥットガルト放送SO (1962/10/18ライブ)

・ウィーン・フィルハーモニーO (1963/2/24ライブ)

交響曲第7番ホ長調

・ベルリン・フィルハーモニーO (1938)

・シュトゥットガルト放送SO (1953/3/6ライブ)

・北ドイツ放送SO(1954/10/4ライブ)

・デンマーク放送SO (1954/9/30ライブ)

・ハーグ・フィルハーモニーO (1964/9ステレオ録音)

・ベルリン・フィルハーモニーO (1964 ザルツブルグ音楽祭ライブ)

交響曲第8番ハ短調

・シュトゥットガルト放送SO (1954/3/10ライブ)

・北ドイツ放送SO(1955/10/24ライブ)

・ウィーン・フィルハーモニーO (1963EMI ステレオ録音)

・ウィーン・フィルハーモニーO (1963/12/7ライブ)

交響曲第9番ニ短調

・ベルリン市立O (1943)

・シュトゥットガルト放送SO (1951/11/2ライブ)

・ウィーン・フィルハーモニーO (1955/3/17ライブ)

・フランクフルト放送SO (1957/2/1ライブ)

・北ドイツ放送SO(1960ライブ)

・ウィーン・フィルハーモニーO (1961EMI ステレオ録音)

・バイエルン放送SO (1963/3/8ライブ)

 

 以上がHIROちゃんが持っているシューリヒトのブルックナー交響曲の全てです。モノラル録音が多く、いずれも素晴らしい演奏ですが、やはりブルックナーを聴くならステレオ録音で・・と思います。 幸いシューリヒトはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と「第3番」「第8番」「第9番」の録音を、またハーグ・フィルと「第7番」のステレオ録音を残しています。

 これらは全てLPレコードとCDの両方で持っていますが、HIROちゃんのLPレコードを紹介します。

 

■交響曲第3番ニ短調

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1965年録音)

EMI(SERAPHIM)輸入盤 S-60090

 

 

交響曲第7番ホ長調

ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団 (1964/9録音)

輸入ノンサッチ盤 H-71139

 

  

■交響曲第7番ホ長調

ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団 (1964/9録音)

日本コロンビア OC-7259-PK ※ノンサッチ盤と同音源

 

 

 

■交響曲第8番ハ短調

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1963年録音)

東芝EMI   EAC-80179-80 

 

 

■交響曲第9番ニ短調

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1961録音)

EMI(SERAPHIM)輸入盤 S-60047

 

  

 いずれも懐かしい思い入れのあるレコードですが、これらの中で大学時代にはじめて聴いたブルックナーがシューリヒトの「第9番」でした。このレコードは東京秋葉原に当時あった石丸電気レコード館5Fの輸入盤売り場で購入したものです。大学生時代は学生寮にいて、同じ寮にいたO君と、部屋でHIROちゃんの作った真空管アンプで夜遅くまで、この「第9番」のレコードをよく一緒に聴いた思い出があります。今からちょうど50年も前の昔の話です。

その後、同じセラフィムの輸入盤の「第3番」と、ノンサッチ盤の「第7番」を購入しました。「第8番」の東芝EMIのLPレコードは、多分、就職してから購入したもので2枚組で5,000円でした。

  

 これらの中で名盤としてまず挙げなければならないのは、第9番でしょう。シューリヒト/ウィーン・フィルと言えば、やはりその神髄は第9番、何といってもウィーン・フィルの音が素晴らしい。第1楽章のホルンをはじめ金管、木管楽器の音色が美しく、また、第3楽章では透明で、やわらかで神秘的な美くしさです。1955年のライブ盤も美しいですが、ここは1961年録音のステレオでじっくりと聴き、浸っていたい・・・。

 

 第8番ですが、決して力んだ演奏ではなく、どちらかというと淡々とした演奏ですが、特にウィーン・フィルの弦の美しい音が感動的です。第8番は、曲そのものが壮大ですが、シューリヒトのこの演奏は全体的にテンポも速く、チョット軽い感じです。最近はこの第8番のテンポが、かなり速すぎる感じに印象が変わってきました。個人的にはもう少し全体的にテンポを落とした方が好みなのですが・・。しかし巨大なスケール感や重厚さはあまり無いものの、良く聴くと細部の感情が表現されていると共に、豊かな澄んだ響きになっています。やはり第8番の名盤の一つだと思います。

 

 第7番は、コンサートホール盤は音が悪いと言われていますが、コロンビア盤(DENON)はそれほど悪くありません。これもシューリヒトらしいテンポの速い淡々とした演奏です。ハーグ・フィルはオーケストラとしては二流とも呼ばれているかもしれませんが、シューリヒトの指揮では全楽章とも優美と言えるでしょう。特に第2楽章のアダージョの美しさは何とも言えません。 ウィーン・フィルや、ベルリン・フィルのような超一流のオーケストラでの演奏ではありませんが、ステレオで録音を残してくれたことには感謝です・・・

 なお、1964年8月のザルツブルグ音楽祭でのベルリン・フィルハーモニーとの第7番のライブ盤ですが、ハーグPO盤と異なり、テンポも少し早くなっています。ベルリン・フィルハーモニーの弦と金管の音が素晴らしく、また会場の雰囲気もモノラル録音でありながら良く捕えられていて、拍手も入っています。ところどころシューリヒトとは思えない金管の強奏があり興味を引く演奏で、これも名演。ステレオ録音でないのが何とも残念ですが、音は良い方です。

 

 そのほかの演奏ですが、シュトゥットガルト放送交響楽団による演奏は「カール・シューリヒト・コレクション(CD20枚+DVD1枚)」のオーストラリア放送協会によるライブ録音で、いずれもモノラルですが正規盤のため、音は聴きやすいです。しかし同じ日の録音ですが、Memoriesレーベル盤も一部もっていますが、こちらはあまり音が良くありません。

 

※今回の投稿記事は2014年12月4日に書いた「カール・シューリヒトのブルックナー交響曲」から一部引用、加筆修正したものです。 

次回はカール・シューリヒト②/モーツアルト編を投稿します。

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。