名指揮者の名盤・名演奏ですが、今回で14回目です。第1回のメンゲルベルクとトスカニーニの順が逆になってしまいましたが、指揮者の生年月の順に紹介するつもりです。前回まで1876年生まれのブルーノ・ワルターを紹介したので、今回は1880年生まれのカール・シューリヒトと思ったのですが・・ 1878年生まれのイタリアの指揮者、トゥリオ・セラフィンがいましたので、シューリヒトの前に紹介しましょう。
トゥリオ・セラフィンのプロフィール
1878年、ヴェネツィア近郊のロッタノーヴァ生まれの指揮者。1968年、ローマで没。ミラノ音楽院を卒業後、スカラ座のヴィオラ奏者を務める。トスカニーニに認められ助手を務める。1898年、フェラーラのテアトロ・コムナーレで指揮者としてデビュー、1909年にはトスカニーニの後任としてミラノ・スカラ座の首席指揮者、音楽監督に就任する。1924年からメトロポリタン歌劇場で活躍したが、1934年からはローマ歌劇場の音楽監督を務める。トスカニーニのような強烈な個性の指揮者ではありませんが、20世紀最高のイタリア・オペラ指揮者として広く認められており、多くの名歌手を育てることにも優れた手腕を発揮し、特にマリア・カラスとの共演が多い。
セラフィンですがコンサート指揮者としての活動より、オペラの指揮者として活躍しました。そのため録音した楽曲もイタリア・オペラが多く、同じオペラを何回か録音しています。
さて、HIROちゃんですが、オペラはどちらかと言うと苦手です。時間も長く全曲を聴くには相当の体力と根性が必要!・・ DVDで字幕を見ながらの鑑賞ならばストーリーもセリフも分かるのですが、LPや、CDのように音声だけの録音だと対訳を見ながらの鑑賞となり、よほど聴きこまないと対訳無しでは聴けません。
そんなことで、オペラ・フアンの方には叱られるかもしれませんが、曲の大まかなストーリーを頭に入れ、対訳無しで音楽としてBGM的に「ながら聴き」か、部分的な「つまみ聴き」が多くなってしまいます。今回の聴き直しも主に往復2時間以上の車通勤でのカーステレオによる「ながら聴き」が多かったです。
イタリア・オペラは前記のように進んではあまり聴いていません。ですからライブラリーとして持っている音源も多くはありません。HIROちゃんが持っているセラフィンの音源は、オペラの全曲盤では、下記のCDが全てです。
■ガエターノ・ドニゼッティ
歌劇「ランメルモールのルチア」全曲
マリア・カラス(S)、ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(T)
ティート・ゴッビ(Br)、ラッファエーレ・アリエ(B)
ヴァリアーノ・ナターリ(T)、アンナ・マリア・カナーリ(Ms)
ジーノ・サッリ(T)
トゥリオ・セラフィン指揮/フィレンツェ五月祭管弦楽団・合唱団
録音:1953年(モノラル)
■マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」全曲
マリア・カラス、ジュゼッペ・ディ・ステファノ、ロランド・パネライ、
アンナ・マリア・カナリ、エベ・ティコッツィ
トゥリオ・セラフィン指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
録音:1953年(モノラル)
■ベッリーニ: 歌劇「ノルマ」全曲
マリア・カラス、マリオ・フィリッペスキ
エベ・スティニャーニ、ニコラ・ロッシ=レメーニ
パオロ・カロリ、リナ・カヴァラッリ
トゥリオ・セラフィン指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
録音:1954年 (モノラル)
上記は、メンブラン・レーベルのCD10枚組の廉価盤BOXでマリア・カラスの録音を収めたものの中の3曲。今回は「トゥリオ・セラフィンの名盤・名演奏」ですが、これらは「マリア・カラスの名盤・名演奏」と言っても良いでしょう。
「ランメルモールのルチア」ですが、この1953年盤は、モノラル録音です。セラフィンは同じカラスとは後にステレオ録音をしていて名盤として名高いようですが、残念ながら持っていないので聴いていません。
モノラル録音ですが聴きやすい音で、鑑賞には全く問題ありません。声に余裕がみられる絶頂期のカラスと、スティファノの情熱的な名唱を聴くことができます。
また、この演奏では合唱も素晴らしく迫力もあり、名演だと思いました。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」ですが、HIROちゃんは、このオペラの美しい間奏曲がメチャクチャ好きなのですが・・・
この演奏もモノラルで1953年の録音です。後の1960年録音のジュリエッタ・シミオナートや、マリオ・デル・モナコらと共演したステレオ盤は持っていませんが、この録音も「ランメルモールのルチア」同様、絶頂期のカラスの名唱が聴けると共に、セラフィン指揮によるミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団の演奏も見事です。また、ここでの間奏曲も詩情的でとても美しい演奏です。
「ノルマ」ですが、マリア・カラスにとってベッリーニの「ノルマ」は、1960年にもフランコ・コレッリや、クリスタ・ルートヴィヒらと録音していて、最高のあたり役と言われていますが、この1954年盤でも「ランメルモールのルチア」や、「カヴァレリア・ルスティカーナ」同様に絶頂期の歌唱と、セラフィン指揮のバランスのとれた見事なオーケストラと合唱を聴くことができます。
■ベッリーニ: 歌劇「ノルマ」
マリア・カラス、マリオ・デル・モナコ、他
トゥリオ・セラフィン指揮/ローマ・RAI交響楽団&合唱団
1955年6月29日、ローマでのライブ録音
この演奏はマリア・カラスのライブでの歌劇7曲を収めたCD14枚組BOXの中の1曲。非正規盤でいわゆる海賊盤でしょう。拍手なども録音され会場の雰囲気はくみ取れるのですが、音質は悪いのでお勧めはできない録音です。前記の1953年盤が名演です。
■ヴェルディ: 歌劇 「トロヴァトーレ」 全曲
カルロ・ベルゴンツィ(T)、アントニエッタ・ステッラ(Sp)
フィオレンツァ・コッソット(Ms)、エットーレ・バスティアニーニ(Br)
他、トゥリオ・セラフィン指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
録音:1962年
DGへのステレオ録音、セラフィン指揮のスカラ座管弦楽団の壮麗な音、そしてバスティアーニとコソットが特に素晴らしい演奏。
と、「トゥリオ・セラフィンの名盤・名演奏」とは書いたものの、持っている音源も少なく、苦手なオペラなので詳細な評価や感想もろくに書けませんが、「ながら聴き」でも素晴らしい音楽として聴くことができる、これらの演奏は名盤・名演奏と言って良いと思うのですが・・セラフィンのヴェルディ/歌劇「リゴレット」や、プッチーニ/歌劇「ボエーム」なども聴きたくなりました。
ひとりごと・・・記事をWardで書いて、コピーするとなぜか文字の大きさや行間がバラバラになることがあるのですが・・・
なぜ???? 直すのが面倒なのでそのままです。。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。