前回までワルターのベートーヴェンと、ブラームスの曲についてHIROちゃんの好きな演奏を名盤・名演奏として紹介しましたが、今回はモーツアルトの作品について紹介します。手元にあるワルターの演奏するモーツアルトの音源は、ほとんどが若い時に購入したLPレコードが多く、同じ音源のほとんどをCDで再度購入しています。
ワルターのモーツアルト作品をまとめて紹介しようと思ったのですが、まあまあの数の音盤があったので今回は、交響曲だけに絞って、そのHIROちゃんの持っている音源の中から交響曲の名盤・名演奏を勝手に選んでみました。
HIROちゃんのライブラリーにある、ワルターのモーツアルト交響曲は下記のとおりです。ワルターの残した交響曲の音源をすべて持っているわけではありません。整理が悪いので、もしかしたら、あと何枚かはあるかも知れません。
モーツアルトを得意とする指揮者は多いのですが、今回の交響曲の投稿にあたって久しぶりにワルターの演奏を多く聴き直してみると、「ワルターはモーツアルトの最高の演奏家ではないか!」・・と、あらためて感心させられました。
■交響曲第25番ト短調 K.183
①コロンビア交響楽団 録音:1954年
②ウィーン・フィルハーモニー 録音:1956年
ザルツブルク音楽祭ライブ
③ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1956年03/11
カーネギー・ホールでのライブ録音
■交響曲第28番ハ長調K200
①コロンビア交響楽団 録音:1954年
②シカゴ交響楽団 録音:1957年01/23ライブ
■交響曲第29番イ長調K.201
①コロンビア交響楽団 録音:1954年
②ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1956年03/04
カーネギー・ホールでのライブ録音
■交響曲第35番ニ長調「ハフナー」K.385
①ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1953年
②ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1953年01/04
カーネギー・ホールでのライブ録音
③コロンビア交響楽団 録音:1959年
■交響曲第36番ハ長調「リンツ」K.425
①コロンビア交響楽団 録音:1955年
※同上リハーサル風景(演奏の誕生:LP3面)
②フランス国立放送管弦楽団1956年/06/14
ライブ録音(ブルーノ・ワルター・ソサエティー)
③コロンビア交響楽団 録音:1960年
■交響曲第38番「プラハ」ニ長調K.504
①ウィーン・フィルハーモニー 録音:1936年
②ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1954年11/28
カーネギー・ホールでのライブ録音
③フランス国立放送管弦楽団1955年/05/05
ライブ録音(ブルーノ・ワルター・ソサエティー)
④コロンビア交響楽団 録音:1959年
■交響曲第39番変ホ長調K.543
①BBC交響楽団 録音:193?年
②ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1945年12/23
カーネギー・ホールでのライブ録音
③ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1953年
④ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1956年03/04
カーネギー・ホールでのライブ録音
⑤フランス国立放送管弦楽団1956年/06/14
ライブ録音(ブルーノ・ワルター・ソサエティー)
⑥コロンビア交響楽団 録音:1960年
■交響曲第40番ト短調K.550
①ベルリン・フィルハーモニー 1950年/09/25
ライブ録音録音(ブルーノ・ワルター・ソサエティー)
②ウィーン・フィルハーモニー 1952年
ムジーク・フェラインザールでのライブ録音
③ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1953年
④コロンビア交響楽団 録音:1959年
■交響曲第41番ハ長調「ジュピター」K.551
①ウィーン・フィルハーモニー 録音:1938年
②ニューヨーク・フィルハーモニー 録音:1956年
③コロンビア交響楽団 録音:1960年
LPレコードですが、ニューヨーク・フィル盤の第40番と41番「ジュピター」が行方不明で、どこかに紛れ込んでいるようです。LPは、この他にも同じ音源のものが何枚かあります。
下記のCDは、コロンビア交響楽団との交響曲集と、ヴァイオリン協奏曲、レクイエムなどを集めた6枚組のBOX。LPと同じ音源です。
ニューヨーク・フィルとのCDのBOXも持っているのですが、こちらは、カーネギー・ホールでのニューヨーク・フィルとのコンサート・ライブのCD、拍手まで収録された素晴らしい演奏で、音も当時のライブとしてはまずまずです。
ワルターのこれらの録音は全て素晴しい演奏ばかりですが、その中でもHIROちゃんのお気に入りの名盤・名演奏を選んでみました。
まずは、同じト短調の第25番と、第40番・・同じ調性のため兄弟のような交響曲ですが、第25番はモーツアルトが17歳の時に作曲した曲です。17歳の少年がどうしてこれほどの曲が書けたのか・・感心するばかり。
さて、第25番ですが、手元にある3種類の演奏の中では、②の1956年のウィーン・フィルハーモニーとのライブ録音と、③の1956年3月11日のカーネギーホールでのニューヨーク・フィルハーモニーとのライブ録音が素晴らしい。
どちらも同じ1956年のライブで基本的なスタイルは同じようですが、ニューヨーク・フィルのほうが重厚で生々しく迫力があります。特に嵐のような第1楽章、第4楽章がスピード感のある迫力。第2楽章のロマンティックな旋律も流れのある美しい演奏です。
同じト短調の第40番ですが、前述のウィーン・フィルとの第25番とカップリングになっている②の1952年、ムジーク・フェラインザールでのライブ録音のウィーン・フィルとの演奏が素晴らしい。この演奏は、曲の冒頭、第1楽章第1主題のポルタメントが印象的で、この奏法が良いか悪いかの判断は難しいところですが、このポルタメントは、ワルターの解釈だからこそ出来た演奏でしょう。とても甘美なポルタメントなのでOKです。(余談ですが、このワルターのポルタメントに大感激した今は亡き宇野功芳さんが、大阪フィルハーモニー交響楽団を指揮した第40番のライブ録音のCDを持っていますが、ワルターのまねをして凄いポルタメントをかけていますが、わざとらしく、「なんじゃこりゃ~~~」と、言う感じで全く感動しません)
このワルターの第40番では、再現部で楽譜にはない休符のルフトパウゼがみられますが、これもワルターだから出来る解釈と技・・また、寂しさを強く感じる第2楽章、スケールの大きな第3楽章、推進力のある第4楽章と全てがワルターの世界で素晴らしい。
また、同じ第40番ですが、①のブルーノ・ワルター・ソサエティー盤の1950年9月25日のベルリン・フィルハーモニーとのライブ録音ですが、当時のライブ録音としてはまずまずの音です。迫力のある第1楽章、細やかなニュアンスで、たっぷりと歌いあげる第2楽章、力強く生き生きとした堂々の第3楽章、突き刺すようなヴァイオリンの迫力が印象的な第4楽章。このベルリンフィル盤もやはり名盤でしょう。CDでも持っていますが、こちらはLPです。
また、ステレオ録音で音も良く演奏も良い④のコロンビア交響楽団との演奏も普遍的な名盤ですね。曲そのものを鑑賞するなら、これが一番かも・・
チョットここまで、大分長い文章になってしまい投稿できる文字数は分かりませんが、ここからは短かく・・・
第35番「ハフナー」ですが、モノラルですが、1953年の①と②のニューヨーク・フィル盤を選びます。美しい旋律の第2楽章や、早いテンポで一気に進む第4楽章など素晴らしい。ワルターは指定された反復を無視しているため、かなり短い演奏時間になっています。
第36番「リンツ」ですが、①コロンビア交響楽団 録音:1955年では、リハーサル風景が「演奏の誕生」というタイトルでLP3面にわたり全楽章のリハーサルが収められていて、対訳を見ながら聴くのも興味深いものです。この演奏はモノラルなので鑑賞するならステレオの③コロンビア交響楽団 録音:1960年を聴くのが良いでしょう。ゆっくりとしたテンポの第2楽章が聴きどころでしょうか・・
第38番「プラハ」ですが、さて・・困った・・どれが名盤だろう?1936年のウィーン・フィル盤もいいのですがSP録音で音が古すぎます。②のニューヨーク・フィルのカーネギー・ホールでのライブ録音も素晴らしく、CDのジャケットの帯には宇野功芳さんが、ワルターのベスト1の演奏と絶賛しているのですが、ここはステレオ盤の④コロンビア交響楽団盤を選ぶことにします。
第39番ですが、ここは音の良い⑥コロンビア交響楽団盤を選びたいところですが、③ニューヨーク・フィル 録音:1953年を選ぶことにします。モノラルでも聴きやすく、重厚な音で迫力があります。緊張感とダイナミックさ・・そして歌うところは優美にロマンティックに・・実に素晴らしい第39番だ・・
書き残した第41番「ジュピター」ですが、③のコロンビア交響楽団盤を選ぶか②ニューヨーク・フィル盤を選ぶか迷いますが、ここも第39番同様、モノラルのニューヨーク・フィル盤を選びます。スケールが大きく重厚な響きの第1楽章、第40番と同様に細やかなニュアンスで、たっぷりと歌いあげる優美な情感の第2楽章、確固たる造形のスケールの大きな第4楽章など、素晴らしい演奏です。オーディオ・マニアの方はぜひ音も演奏も良い、③のコロンビア交響楽団盤をどうぞ・・
最後の頃はだいぶ短い文章になってしまいました。
次回は、ワルターのモーツアルトの協奏曲や、管弦楽、レクイエムなどについて投稿します。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。