今回からは、ブルーノ・ワルターの名盤・名演奏について投稿します。ワルターは、1876年生まれで、同じ20世紀を代表する指揮者のトスカニーニや、フルトヴェングラーと大きく異なるのは、ステレオ録音を多く残せたことです。

カール・シューリヒトや、ハンス・クッパーツブッシュなども何曲かはステレオ録音を残していますが、ワルターは、晩年に録音専用のオーケストラ(コロンビア交響楽団)を得て、ベートーヴェン、モーツアルト、ブラームス、マーラー、シューベルト、ブルックナーなどの交響曲をはじめ、多くのステレオ録音による名盤を残しました。

 

あらためてワルターのプロフィールですが、今回も次回と同じくタワー・レコードの通販サイトからコピペしました。

 

■ブルーノ・ワルター

1876年9月15日生まれ、独・ベルリン出身の指揮者。本名はブルーノ・シュレジンジャー。シュテルン音楽院でピアノを学び、9歳でデビュー。1893年にケルン歌劇場で指揮デビューを果たす。その後、ハンブルク歌劇場でマーラーに認められると、ウィーン宮廷歌劇場に招かれ、ウィーン音楽院で教鞭を執る。この頃よりワルター姓に改名。以来、人気指揮者として活躍。ナチスが台頭し、第二次世界大戦が勃発すると、渡米。戦後はニューヨーク・フィルの音楽顧問を務めるなど欧米で精力的に活躍。晩年は録音専用オーケストラを得て、ステレオ録音を多く行なう。1962年2月17日に心不全のため米・カリフォルニア州ビバリーヒルズの自宅で死去。85歳没。

2012/08/30 (2020/04/10更新) (CDジャーナル)

 

  現在、HIROちゃんがライブラリーとして架蔵しているワルターの音源は、今日、数えたらLPレコード84枚、CDが102枚ありました。LPでも何枚かはダブリがありますが、CDの多くはLPと同じ音源の買い直しによるダブリが多いです。よく探せばもう少し枚数はあるかもしれません。

そんなわけで、結構ワルターの手元の音源も多いので、何回かに分けて紹介する予定です。「ベートーヴェン編/交響曲他」「ブラームス編」「モーツアルト編」「マーラー編」と言うような感じで数回にわたり、HIROちゃんの好きなワルターの名盤・名演奏を紹介したいと思います。

 

 今回はワルターの1回目としてベートーヴェンの作品から名盤・名演奏を選んでみます。ワルターが録音したベートーヴェンは交響曲が多いのですが、HIROちゃんの手元にある音盤は下記のとおりです。

 

ワルターのベートーヴェン作品/交響曲全曲 他

交響曲第1番 ハ長調 op.21  

ニューヨーク・フィル 1947年

コロンビア交響楽団 1958年

交響曲第2番 ニ長調 op.36 

ニューヨーク・フィル 1952年

・コロンビア交響楽団 1958年

交響曲第3番 変ホ長調op.55 「英雄」 

ニューヨーク・フィル1941年

・ニューヨーク・フィル1949年

・シンフォニー・オヴ・ジ・エアー 1957年2月3日 ライブ

・コロンビア交響楽団 1958年

■交響曲第4番 変ロ長調op60

ニューヨーク・フィル 1952年

・コロンビア交響楽団 1958年

■交響曲第5番 ハ短調 op.67「運命」

ニューヨーク・フィル1941年

ニューヨーク・フィル1950年

・コロンビア交響楽団 1958年

■交響曲第6番 ヘ長調 op.68「田園」

・ウィーン・フィルハーモニー1937年

・フィラデルフィア管弦楽団1946年

・コロンビア交響楽団 1958年

■交響曲第7番 イ長調 op.92

ニューヨーク・フィル 1951年

・コロンビア交響楽団 1958年

■交響曲第8番 ヘ長章 op.93

ニューヨーク・フィル 1942年

・コロンビア交響楽団 1958年

■交響曲第9番ニ短調 op.125「合唱」

・ロンドン・フィル 1947年ライブ

・ニューヨーク・フィル 1949年 (第4楽章のみ1953年録音)

・ウィーン・フィル 1955年ライブ

・コロンビア交響楽団 1959年

その他、協奏曲、序曲など

■ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61

・ブリティッシュ交響楽団 1932年

 ヴァイオリン:ヨゼフ・シゲティ

ニューヨーク・フィル 1947年

 ヴァイオリン:ヨゼフ・シゲティ

・コロンビア交響楽団 1961年

 ヴァイオリン:フランチェスカッティ

■ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「皇帝」 

ニューヨーク・フィル 1941年

 ピアノ:ルドルフ・ゼルキン

■エグモント序曲

・ベルリン・フィル 1950/09/25

■レオノーレ序曲第2番

・コロンビア交響楽団 1960年

■レオノーレ序曲第3番

・ニューヨーク・フィル 1954年

■コリオラン序曲

・コロンビア交響楽団 1959年

 

 これらのベートーヴェンの作品の中でも、やはり、ニューヨーク・フィルハーモニー(第6番のみフィラデルフィア交響楽団)との交響曲全集、そしてコロンビア交響楽団との交響曲全集が名盤でしょう。

 

どちらもLPで持っていますが、CDでのBOXも持っています。

 

下記のモノラルの全集では、1941年の第3番「英雄」と、1941年の第5番「運命」も収録

されています。

 

 

下記のコロンビア響とのBOXでは、第4番、第5番、第7番、第9番のリハーサル風景が録音されていて興味深い。(このリハーサル盤はLPレコードでも持っています)

また、フランチェスカッティとのヴァイオリン協奏曲の他、序曲が収められているのもうれしい。これも、なかなかの好演です。

 

 

 今回紹介するベートーヴェンの交響曲は、ニューヨーク・フィルハーモニーを指揮した演奏が高く評価されていますが、コロンビア交響楽団との演奏は、録音専用のオーケストラとはいえ、当時のステレオ録音としては素晴らしい音質で、演奏も晩年とは思えない素晴らしい演奏ばかり。鑑賞するならやはり、これらのステレオ盤が無難でしょう。

どの曲も素晴らしいのですが、特にコロンビア交響楽団との第6番「田園」が凄い。ワルターの「田園」では前述のフィラデルフィア交響楽団や、1937年のウィーン・フィルとのLPレコード(東芝GR盤)もあり、これらの演奏も美しい演奏ですが、やはりステレオで聴きたい。このコロンビア響盤ですが、これまで、やや物足りなさを感じないでもなかったのですが、聴き直してみると凄い演奏です。

ベートーヴェンの書いた自然への賛歌や人の愛情、幸福感など、これほど美しく表現した演奏はないでしょう。随所でみられる美しい感情の表現と流麗な旋律、この演奏は多くの人たちに言い尽くされた極上の演奏なので、あらためてくわしく解説する必要はないでしょう。

 第6番「田園」同様に素晴らしいのが「第2番」「第4番」、特に「第2番」ですが、第1、第3、第4楽章がリズムのはっきりした若々しい迫力を感じるのに対し、第2楽章のなんと美しいことか・・遅いテンポですが美しい節回しのメロディーは、豊かな情緒にあふれています。「第4番」も名演で、この曲も第2楽章が特に美しい。

 

 ワルターのベートーヴェン交響曲と言うと、何故か偶数番号の第2番第4番第6番「田園」「第8番」の評価が世間ではどちらかと言うと高いのですが、奇数番号の作品はダメなのか・・イヤ!そんなことはない。第3番「英雄」第5番「運命」も素晴らしい。クラシックを本格的に聴き始めた中学1年生の時、レコード店の店内で流れていた曲がワルターの第5番「運命」だった。初めて聴いた冒頭の「ジャジャジャジャ~~ン、ジャジャジャジャ~~~~ン」のフェルマータの長さ・・「いったい誰の演奏だろう?」と思ったのがワルターの演奏との出会いだった。この時はステレオで聴いた音の良さにも感動したが、当時、中学生だったHIROちゃんには高価なこのレコードを購入することはできなかった。今、聴いても感動する「運命」でHIROちゃんにとっては思い入れのある名盤・名演奏ですね。

 

第3番「英雄」ですが、数ある「英雄」の中でも、これは名盤・名演奏でしょう。表面上は若干おとなしい感じですが、内面的な気迫と感情表現は素晴らしい。

このコロンビア響の「英雄」をさらに感情表現を強く表した演奏が、1957年2月3日トスカニーニの追悼演奏会でシンフォニー・オブ・ジ・エアと演奏した第3番「英雄」のライブ録音。数ある「英雄」の中でも名演のひとつ。悠然としたテンポと効果的なテンポ変化を生かした演奏で、ティンパニの強打が凄い!・・第2楽章は、正にトスカニーニにささげる葬送の音楽で感動します。このLPレコードは結構、音はまずまずのきれいで、当時、このLPを購入した弟からの勧めで購入したもの。(弟もクラシックが好きで特にワルターが好きとのこと) 機会があれば、ぜひこの演奏を聴いてみてください。

 

 

第9番「合唱」については以前、このブログで4種類の演奏について投稿していますので、こちらから見てください。

ブルーノ・ワルターのベートーヴェン交響曲第9番「合唱」/ 4種類の聴き比べ 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。