今回はハンガリーの作曲家、バルトークの晩年の代表作品である「管弦楽のための協奏曲」です。このブログでバルトークの曲を紹介するのは初めてです。各楽器を独奏楽器のように扱っている楽曲構成などから「協奏曲」と名付けたようです。1943年、当時ボストン交響楽団の音楽監督だったクーセヴィツキーからの依頼によって作曲されたものです。

 この曲ではライナー、ショルティ、ブーレーズ、レヴァインらが指揮した、なぜかシカゴ交響楽団の演奏に名盤が多いようですが、残念ながらショルティ、ブーレーズ、レヴァインの録音は聴いていません。もともとあまりバルトークの音楽は、すすんでは聴かないほうなので枚数も少ないのですが、現在、HIROちゃんの手元には下記の11種類があります。(紹介は録音年に関係なく順不同です)

 演奏の評価は、なかなか難しいのですが、の数で表していますが、これはHIROちゃんの好みの演奏と思ってください。

 

■ヤーノシュ・フェレンチーク指揮/ハンガリー国立管弦楽団

 ※録音年は表記無し(1960年代?) ★★★☆

 

 

 この曲を初めて購入した時の廉価盤LPレコードです。指揮者のヤーノシュ・フェレンチークは、20世紀のハンガリーを代表するクラシック界の重鎮でした。ベートーヴェンの交響曲全集を持っています。素直な表現でなかなか良い演奏でしたが、この同郷のバルトークはかなり得意とみえて特有のリズムとアクセントが印象的。説得力があります。現在は廃盤で入手困難ですが、これは隠れた名盤かも・・

 

■フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団

   録音:1955年 ★★★★★

 

 

 RCA盤が欲しかったのですが、これはメンブランのCD10枚組BOX「フリッツ・ライナー指揮・シカゴ交響楽団による名演奏集」の中の1枚。正直、この曲はライナー/シカゴ響盤があれば他の音源はいらないといっても過言ではないと思います。そのくらい素晴らしい!・・

とにかく緻密なアンサンブルで緊張感があり、とてつもなく迫力とスケールの大きな演奏。とても熱い演奏で管楽器も素晴らしい。1955年の最初期のステレオ録音ですが、新鮮で音に遜色はなく聴きやすく質が高い。(メンブラン盤でも鑑賞するには十分な音質でしょう) ライナー/シカゴ響盤、これは間違いなく名演・名盤でしょう。

 

■小澤征爾 指揮/ボストン交響楽団

 録音:1969年 ★★★★

 

 

 新進気鋭だった小澤さん30代の録音・・、あまり構えて聴かなくても抵抗感がありません。バルトークをあまり感じさせない演奏だと思うのですが、何となく自然な流れで演奏しているような不思議な感覚。しかし感受性が良く表れた演奏スタイルで、音に色彩感があります。聴きやすいなかなかの好演ですね。

 

■ラファエル・クーベリック指揮/ロイヤル・フィルハーモニー

 録音:1959年 ★★

 

 

 クーベリックは1973年にもボストン交響楽団で録音しています。ロイヤル・フィル盤はスケールの大きな演奏で迫力もあり、聴きごたえがあります。

 

■アンタル・ドラティ指揮/ロンドン交響楽団 

 録音:1962年7月 ★★★★

 

 

 ドラティは1983年にコンセルトヘボウ管とも同曲を録音していますが、これは1962年の録音、マーキュリーの35mmフィルムによる録音で、今聴いても音に不満はありません。なかなか緊張感と迫力のある演奏といえるでしょう。これを聴くとコンセルトヘボウ盤も聴いてみたくなります。

 

■サイモン・ラトル指揮/バーミンガム市交響楽団

 録音:1993年4月 ★★★☆ 

 

 

 ラトルの演奏したバルトーク作品を集めたCD4枚組BOXの中の1枚。しばらく前に購入したまま聴いていなかったのですが、鋭敏なリズムと、推進力・・ 鮮烈な演奏でなかなか良いと思いました。

 

■アダム・フィッシャー指揮/ハンガリー国立交響楽団

   録音:1989年10月 ★★

 

 

 バルトークの作品を集めたCD5枚組BOXの中の1枚。アダム・フィッシャーは、ハンガリーの指揮者、そしてハンガリー国立交響楽団・・かなり期待したのですが、少し期待外れ。素直でまとまりのある演奏だとは思いますので、バルトークのいろいろな曲がどんな曲なのかを聴くには良いBOXでしょう。ただし、CDの録音レベルが少し低く好ましくありません。

 

--- カラヤンの演奏 ---

 どちらかというとHIROちゃんはアンチ・カラヤンですが・・我が家にはカラヤンのLPやCDが架蔵音源の中では最も多くあります。・・そんなわけでカラヤンの演奏だけで次の4種類がいつの間にか集まってしまいました。うち1枚は1974年のライブ録音です。

 

■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

 フィルハーモニア管弦楽団

 録音:1951-53年 モノラル ★★★

 

 

■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 録音:1965年 ※LPレコード ★★☆ 

 

 

■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 録音:1974年5月 ★★★ 

 

 

■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 録音:1974年?月?日 (ライブ録音) ★★★☆

 

 

 これら4種類の中で、フィルハーモニア管弦楽団の演奏は、モノラル録音なのでこの曲を聴くには物足りないのですが、推進力があり、迫力もあります。1965年と1974年の演奏ですが、基本的な演奏スタイルはあまり変わりないと思います。カラヤンらしい?ベルリン・フィルの力量が感じられるスマートな演奏です。各楽器奏者の技術は凄いものを感じます。大変聴きやすい演奏ではあるのですが、なぜか感動が薄い。

 

 最後の1974年のライブ盤ですが、ANF SOFT WARE が輸入販売したCD2枚組の「ライブ・クラシック・100」のものでステレオ録音です。EMIの1974年盤とは全く別な録音ですが、何月の録音なのかは表記がありません。演奏のあとに聴衆の拍手も録音されているので放送録音からのものだと思います。

 同じ1974年ですが、各楽章の演奏時間をみるとEMI盤が

I:09:51、II:06:47、III:08:07、IV:04:22、V:09:13 に対し、ANF のライブ盤は

I:09:48、II:06:29、III:06:42、IV:04:39、V:09:57 と、第3楽章だけがかなり早くなっています。このライブ盤の演奏はかなりエキサイティングな演奏で、緊張感と迫力があります。4種類のカラヤン盤ではこの演奏が最も素晴らしいと思います。

 

 以上、11種類の音源について紹介しましたが、何種類か聴いているうちに冒頭に書いたショルティ、ブーレーズ、レヴァインらの演奏と、セル、フリッチャイなどの演奏も機会があれば聴いてみたいとは思うのですが・・

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。(^^♪