カルロス・クライバーというと、今でもクラシック・ファンには人気のある指揮者ですが、正規に録音された音源は少ないですね。

そんな中、1974年からウィーン・フィルとの一連の録音が始まり、ベートーヴェン交響曲第5番、第7番、シューベルトの交響曲第3番、第8番「未完成」、ブラームスの交響曲第4番、そしてバイエルン州立歌劇場とのJ・シュトラウスの「こうもり」、ヴェルディの「ラ・トラヴィアータ」、ドレスデン・シュターツカペレとのワーグナーの「トリスタンとイゾルテ」などが発売され、いずれも名盤とされています。

 

 また、ORFEOから発売された、バイエルン国立管弦楽団とのベートーヴェン交響曲第4番や、第6番「田園」などのライブ録音が注目されました。(このベートーヴェンの第4番は凄い演奏ですね! LPとCDで架蔵しています)

 

 そのほか、収録された映像としてウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」、R・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」、J・シュトラウスの歌劇「こうもり」、アムステルダム・コンセルトヘボウとのベートーヴェン交響曲第4番、第7番などのライブ映像があります。

 

 そんなクライバーの映像作品から、今回は次のバイエルン国立管弦楽団との、1996年10月21日にミュンヘン・ヘルクレスザールにおけるライブ収録を紹介します。

 

ベートーヴェン:序曲《コリオラン》作品62

モーツァルト:交響曲 第33番 変ロ長調 K.319

ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98

 カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団

 1996年10月 ミュンヘン、ヘルクレスザール ライブ

 

 

 第1曲目のベートーヴェンの序曲「コリオラン」ですが、非常に力を入れて指揮棒を振り下ろして始まる冒頭の指揮はものすごい迫力があり、その姿だけで曲に引きずり込まれてしまう。全体をとおして緊張感と迫力のある演奏だ・・曲が終ってから客席からの拍手がはじまるまでの長い静けさが印象に残ります。

 

 2曲目のモーツアルト交響曲第33番ですが、いわゆる有名な後期に作曲された曲と異なり第33番を演奏していることが興味深い。

指揮姿をみているとクライバーは笑みを浮かべ、楽しく気軽に演奏している感じ・・しかしオーケストラに対しての指示は的確で明瞭、全体的に流れるようなチャーミングな演奏で聴いていて気持ちがいい。

 

 ブラームスの交響曲第4番ですが、正規盤としては、このバイエルン国立管弦楽団とのDVD映像と、前記の1980年録音のウィーン・フィルハーモニーOとの演奏があり、非正規の録音として、1994年10月のベルリン・フィルハーモニーOや、1997年6月のスロヴェニア・フィルハーモニーOとのライブ録音があるようです。

 さて、このDVDの演奏ですが、1980年のウィーン・フィルハーモニー盤と演奏スタイルに大きな違いはないでしょう。第1楽章の冒頭からの寂寥感、終結部での迫力、第2楽章での美しい深さのある澄んだ響き・・そして迫力と推進力があるスケールの大きな第3楽章と第4楽章。ウィーン・フィル盤も同様に素晴らしいのですが、このバイエルン国立管弦楽団とのDVD映像を鑑賞しているとライブ演奏ということもあり、より緊張感だったり臨場感や、迫力と言ったものが感じられます。

 

 クラシックのDVD映像は、指揮者の表情や指揮法が見られることが魅力の一つでもあるのですが、クライバーには、もっとコンサートやオペラの映像を残して欲しかったし、CDでの録音ももっと残して欲しかったですね。

クライバーがベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と、第9番「合唱」を演奏しなかったのはなぜだろう?・・ お父さんのエーリッヒ・クライバーは「英雄」と「合唱」の名録音を残したのに・・ぜひ、聴いてみたかった・・・

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。(^^♪