先日、NHKの番組「クラシック音楽館」で新しくNHK交響楽団の首席指揮者に就任した、ファビオ・ルイージ氏のイタリアのヴェネツィアでの野外コンサートの様子がハイライトで放映されました。その時に演奏していた曲が、カール・オルフ作曲による「カルミナ・ブラーナ」でした。その映像を見ていたら、「カルミナ・ブラーナ」全曲を聴きたくなり音源を引っ張り出すことにしました。

 さて、この「カルミナ・ブラーナ」は現代ドイツの作曲家カール・オルフ(1895-1982)が作曲した曲で、多くの打楽器群を加えた大規模なオーケストラと、混声合唱、少年合唱、ソプラノ、テノール、バリトンの独唱という編成で演奏されます。台本はバイエルン州ボイロンにある修道院から発見された13世紀の古い歌集で、当時の修道院の修道僧や、学生たちの恋や、女、酒などについて卑俗なラテン語で書かれています。

 この曲の魅力は何といっても形式はシンプルながら鮮やかなオーケストレーションと、合唱から生み出すスケールの大きさ、そして躍動感のある強烈なリズムでしょう。

全曲の曲目は次の曲で構成されています。
全世界の支配者なる運命の女神
第1曲:おお、運命の女神よ(合唱)
第2曲:運命の女神の痛手を(合唱)
第1部  初春に
第3曲:春の愉しい面ざしが(小合唱)
第4.曲:物を太陽は整えおさめる(バリトン独唱)
第5曲:見よ、今は楽しい(合唱)
芝生の上で
第6曲:踊り(オーケストラ)
第7曲:森は花咲き繁る(合唱と小合唱)
第8曲:小間物屋さん、色紅を下さい(2人のソプラノと合唱)
第9曲:円舞曲: ここで輪を描いて回るもの(唱)
第10曲:たとえこの世界がみな(合唱)
第2部 酒場で
第11曲:胸のうちは、抑えようもない(バリトン独唱)
第12曲:昔は湖に住まっていた(テノール独唱と男声合唱)
第13曲:わしは僧院長さまだぞ(バリトン独唱と男声合唱)
第14曲:酒場に私がいるときにゃ(男声合唱)
第3部 愛の誘い
第15曲:愛神はどこもかしこも飛び回る(ソプラノ独唱と少年合唱)
第16曲:昼間も夜も、何もかもが(バリトン独唱)
第17曲:少女が立っていた(ソプラノ独唱)
第18曲:私の胸をめぐっては(バリトン独唱と合唱)
第19曲:.もし若者が乙女と一緒に(3人のテノール、バリトン、2人のバス)
第20曲:おいで、おいで、さあきておくれ(二重合唱)
第21曲:天秤棒に心をかけて(ソプラノ独唱)
第22曲:今こそ愉悦の季節(ソプラノ独唱、バリトン独唱、合唱と少年合唱)
第23曲:とても、いとしいお方(ソプラノ独唱)
白い花とヘレナ BLANZIFLOR ET HELENA
第24曲:アヴェ、この上なく姿美しい女(合唱)
全世界の支配者なる運命の女神
第25曲:おお、運命の女神よ(合唱)

この「カルミナ・ブラーナ」のHIROちゃんの手元にある音源ライブラリーですが、たしか、東芝のセラフィム盤のLPレコードでストコフスキー指揮/ヒューストン交響楽団盤があると思っていたのですが、思い違い?・・見つかりませんでした・・と、いうより元々持っていなかったのかもしれません。でもあったはずだな~~~・・しょっちゅう聴く曲ではなかったので、どこかに紛れ込んでいるのかもしれません。
(CDや、LPレコード、DVDを合わせれば手元には1万枚以上の音源があり、整理も悪いので曲によってはバラバラだったりして探し出すのに苦労します)
結局、この曲は下記のCD4種類しかありませんでした。LPやCDを整理すれば、ストコフスキー盤もあとから出てくるかもしれません。

エルフリーデ・トレッチェル(S)
パウル・クーエン(T)、ハンス・ブラウン(Br)
オイゲン・ヨッフム指揮/バイエルン放送交響楽団、合唱団 
録音1952年




グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)、ゲルハルト・シュトルツェ(T)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
シェーネベルク少年合唱団
ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団
指揮:オイゲン・ヨッフム 録音:1967年10月 ベルリン




アグネス・ギーベル(S)、パウル・クーエン(T)、マルセル・コルデス(Br)
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
ケルン放送交響楽団、西ドイツ放送合唱団
録音 1956年




アン・アーチボルト(S)、ジョン・グラハム=ハル(T)
ピーター・シドホン(Br)
ロイヤル・コラール・ソサエティ、テンプル教会少年合唱団 
リチャード・クック指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
録音1995/1997




上記の4種類のうち、演奏が良いのはヨッフム盤でしょう。1枚目のオイゲン・ヨッフムの1952年録音の演奏はモノラル録音ですが聴きやすい音です。メンブランの10枚組CDのBOX「カール・オルフ作品集」の中の1枚。
2枚目はヨッフムの1967年のステレオによる再録音。写真のCDはポリドール(株)が制作し、(株)同朋舎が販売した「グレート・コンポーザー・シリーズ」の中の1枚で多分、通販や書店?などで販売されたシリーズ物の売れ残り品でしょう。外装のセロファンも剥がしていない新品で、リサイクル・リユース店で200円でした。中身はグラモフォン盤です。

この1952年盤と、1967年盤ですが、基本的な演奏スタイルは同じでしょう。やはり聴くなら1967年のステレオ盤ですね。
グンドゥラ・ヤノヴィッツ、ゲルハルト・シュトルツェ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ‥といった豪華な独唱陣ですが、3人の歌唱力と表現力が凄く、合唱も素晴らしい。ヨッフムはブルックナーのミサ曲など合唱曲を多く録音していますが、ヨッフムの指揮する合唱の巧さには感心します。
この録音は作曲者のオルフ自身が監修したとのことですが、壮大なスケールと、強烈なリズムによる躍動感、湧き上がるような生命力を感じさせる演奏です。曲の冒頭からの緊張感といったものも終曲まで続くのには驚きます。これは名盤でしょう。

1956年録音のサヴァリッシュ盤ですが、これもメンブランの10枚組CDの廉価BOX「ウォルガンク・サヴァリッシュ名演奏集」の中の1枚。
残念ながらモノラル録音ですが、こちらも聴きやすい。この録音はカール・オルフ自身の立会の下に行われたようです。この演奏もヨッフムと同様、熱気のある鮮やかな演奏といってよいでしょう。生命力のある演奏ですが、ステレオ録音ではないのが残念。

4枚目のリチャード・クック盤ですが、これも1枚目のヨッフム盤と同じメンブランの10枚組CDのBOX「カール・オルフ作品集」の中に含まれていたものです。ステレオ録音なので音はまずまずです。まとまりのある演奏ですが、ヨッフムの演奏を聴いてしまうと物足りなさを感じます。

本当に久しぶりに「カルミナ・ブラーナ」を聴いてみましたが、タワーレコードの通販サイトを検索してみると、多くのCDが発売されていることに驚きました。
そんな中から小澤征爾さんや、アンドレ・プレヴィン、T・トーマス、ムーティあたりの演奏を機会があれば聴いてみたいと思っているのですが・・それ以上に、この曲を生で聴いてみたいと思っています。また、合唱経験者として、この曲をステージで歌ったら感動するだろうな~~~なんて妄想しています・・

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。