今回は合唱組曲「水のいのち」のその⑤として、HIROちゃんの持っている9種類のLP、CDから、残りの5枚の演奏について簡単に書いてみます。
まずは、指揮者であり、音楽評論家でもあった今は亡き、宇野功芳 氏の2種類の演奏から・・・宇野氏は、よほど、この曲が好きだったのか女声合唱で2回、混声合唱で1回の計3回、レコーディングをしています。
HIROちゃんの手許には、残念ながら最初に録音した日本女声合唱団と録音した演奏は無いので聴いていません。下記の2枚があります。


指揮:宇野功芳/指導:中沢敏子/カラコレス女声合唱団
 ピアノ:梅本千絵 ※女声合唱版
  カップリング曲:髙田三郎/女声合唱組曲「私の願い」 他1曲
  1987年5月 フォンテック (EFCD4085) CD



 

 このカラコレス女声合唱団の演奏は、宇野氏が書いた1989年の「クラシックの名曲・名盤」(講談社)で「自分の指揮したCDを紹介するのは気がひけるが・・一般の評価が定まっている・・」という書き出しで堂々とご自分の演奏を紹介しています。
 カラコレス女声合唱団ですが、CDのブックレットには全く紹介されていませんが、この女声合唱団は茨城県立水戸第二高等学校合唱部のOGを中心に、このCDにも指導者として名前が書かれている中沢敏子さんが結成された、茨城県水戸市内のアマチュアの女声合唱団です。中沢敏子さんは東京芸術大学卒業後、高校の音楽教師として定年退職まで勤められ、特に長年勤務されていた水戸第二高校は合唱コンクールの全国大会に数多く出場しています。
高校を定年退職後も指揮活動を続けると共に、今年、御年90歳ですが、今でも現役のソプラノの声楽家としてリサイタルを開くなど、とてもバイタリティーに活躍されているから驚きです。(実は、中沢先生はHIROちゃんの高校時代からの知人でHIROちゃんが所属していたアマチュアの一般合唱団の団員でもあり、ソリストでした。)

 さて、カラコレス女声合唱団と中沢先生の話が長くなってしまいましたが、この宇野功芳 氏の演奏ですが、2曲目の「水たまり」を除き、遅めのテンポです。全体的には女声合唱の純粋な声を生かした感情表現が良く表れた演奏と言ってよいでしょう。しとしとと降る静かな雨の表現の第1曲「雨」、水や雨と人間の姿を表す第2曲「水たまり」、第3曲「川」、第4曲の「海」は非常に遅い。ハミングでの波の表現では、かなりゆっくりと浜辺に打ち寄せるとても静かな波だ・・・続く第5曲「海」も遅いテンポですが、深く心に迫る表現、最後の転調では神秘的な演奏で水の輪廻を暗示させています。


指揮:宇野功芳/神戸市混声合唱団/ピアノ:沢田真智子
  カップリング曲:佐藤眞/混声合唱組曲「旅」 他4曲
  2011年6月 KRS (KRS470) CD




 この演奏はプロの「神戸市混声合唱団」が特別演奏会に客演指揮者として宇野氏を迎えたライブ録音です。 これまでの演奏スタイルから表現を一新したという宇野氏の「最終形」というふれこみで発売されたCD・・ 確かに一言で言えば、第1曲の「雨」から「悟りを開いたような演奏」とでも言ったらいいのでしょうか・・全曲をとおして非常にテンポの遅い演奏です。過度な感情表現は抑えたような演奏で、宇野氏の演奏としては少しめずらしい。


指揮:今井邦男/東海メールクワイアー/ピアノ:木島美紗子
  ※男声合唱版
  カップリング曲:髙田三郎/今井邦男 編曲・男声合唱組曲「残照」他
  2013年6月 アールミック(ジョヴァンニ GVCS11315) CD




 作曲者自身による男声合唱版による演奏。男声合唱としては数少ない演奏のCDだけに貴重な録音です。東海メールクワイアーは1946年創立の歴史ある一般の男声合唱団。この演奏は2013年6月23日、愛知県芸術劇場での第56回定期演奏会でのワンステージメンバーを加えたライブ録音です。全曲をとおして落ち着いた演奏だと思います。素直な演奏・・若干、各パートで、声にバラツキがみられ時があるもののまとまりのある演奏でしょう。


指揮:松井慶太/東京混声合唱団/ピアノ:前田勝則
  カップリング曲:佐藤眞/混声合唱組曲「蔵王」 他1曲
  2011年5月 フォンテック (EFCD4178) CD




 この演奏は東京混声合唱団創立55周年記念、松井慶太東京混声合唱団コンダクター・イン・レジデンス就任記念として発売された2011年5月29日の「日本の歌 こころからこころへ」と題して行われた、コンサート・ライブです。この時の松井氏は27歳・・比較的少人数の合唱で歌われていますが、プロの合唱団だけあって声が揃った落ち着いた演奏です。歌詞もはっきりしていて聴きやすいのですが、これと言った特徴はあまり感じられません。この演奏は指揮者松井慶太氏の演奏というより、東京混声合唱団の良さが出た演奏のように感じます。


指揮:飯森範親/東京混声合唱団/東京交響楽団 (オーケストラ伴奏版)
  カップリング曲:三善晃/混声合唱とオーケストラのための「唱歌の四季」他
  2012年3月 オクタヴィア(EXTON OVCL-00464) CD



 

 この演奏は、オーケストラ伴奏版ということで、かなり期待しながら購入したCDです。このオーケストラ伴奏版は作曲者自身による編曲ではなく、今井邦男氏による編曲です。(今井氏は髙田三郎氏に作曲法を学んでいる)オーケストラ伴奏ということですが、ピアノも活躍します。確かに飯森範親氏指揮による東京交響楽団の音はシンフォニックで迫力も感じますが、ライブ録音とは言え、音があまり良くありません。オーケストラも合唱も若干ボケた音に聴こえます。また、録音のバランスが悪いのか、HIROちゃんの駄目耳のせいか、自作の再生アンプが悪いのか、東京混声合唱団の声が十分に捉えられていないように感じます。(あくまで個人的な感想ですが・・)
しかし、作曲者自身による編曲ではなくても、貴重な録音であることには間違いありません。

 なお、この録音ではありませんが、高谷光信氏指揮によるオーケストラ版の演奏会ライブの映像がYou Tube にありましたので、アドレスを貼り付けます。クリックしてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=Ytl5zH9xNB8

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪