シューベルトのミサ曲と言うと、第1番から第6番までのラテン語の典礼文で作曲された6曲と、ドイツ語のミサの「奉献祭用の声楽曲と主の祈り(通称:ドイツ・ミサ曲D872)」があります。

これまで、このブログでは「第2番」「第6番」そして「ドイツ・ミサ曲」を紹介しました。前回の投稿した内容と少し重複しますが、シューベルトのミサ曲は、古典的なミサの形式や言葉よりも、旋律を優先させた作品や、中には通常文の一部をカットした曲もあり、すべてのミサ曲が長調で書かれているのも特徴のひとつといえます。

 ラテン語の6曲のミサ曲のうち、第1番から第4番まではシューベルトが17歳から19歳までに作曲されたもので、演奏時間も短いコンパクトな作品となっています。 これらの第1番から第4番までは宗教曲としての深さは浅いのですが、シューベルトらしい美しい旋律が特徴と言える作品です。 それに対し晩年に作曲された第5番、第6番は演奏時間も長い「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ)」となっていて、第5番は転調も多く、曲に感じられる感傷的な旋律も多くなっています。しかし、シューベルトはベートーヴェンの大曲「ミサ・ソレムニス」を意識して、この第5番は、「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ)」という言葉は使用しなかったようです。また、通常のラテン語による、1.キリエ、2.グローリア、3.クレド、4.サンクトゥス、5.ベネディクトゥス、6.アニュス・デイの典礼文で書かれていますが、一部のカットも見られます。

なお、第5番は1819年に作曲をはじめ、3年後の1822年に完成していますが、シューベルトは1826年に改訂を行っています。

 

HIROちゃんの架蔵している、ミサ曲第5番のライブラリーは次の7種類です。

 

デニス・ラッセル・デイヴィス指揮

セントポール室内管弦楽団

カーレトン・カレッジ室内合唱団  1976年9月録音 (LP)

 

 

 初めてこの曲を購入した輸入盤(ノンサッチ)のLPレコードです。指揮者のデニス・ラッセル・デイヴィスは、リンツ・ブルックナー管弦楽団とブルックナーの交響曲全曲を録音していますが、このLPレコードを購入した時には、全く知らない指揮者でした。単にこの曲が聴きたくて購入したもの。小編成の管弦楽団と合唱による演奏ですが、合唱とオーケストラとのバランスも良く、まとまりのある演奏で、シューベルトの宗教的感情をよく表しています。

 

ヴォルフガング・ゲンネンヴァイン指揮

 ルートヴィックスブルク音楽祭管弦楽団

 南ドイツ・マドリガル合唱団 1978年1月録音 (LP)

 

 

 これもかなり前のLPレコード時代に購入したもの。大きな表現はなく、独唱陣もやや地味な感じですが、旋律の歌わせ方が自然で癖の無い演奏といえるでしょう。

この演奏はYou  Tube で聴くことが出来ます。末尾にアドレスを入れておきましたので聴いてみてください。

 

ジョン・エリオット・ガーディナー指揮

 オルケストル・レヴォリュショーネル・エ・ロマンティーク

 モンテヴェルディ合唱団 1997年2月録音

 

 

 この第5番では、前記の1826年の改訂版で演奏されるのが普通のようですが、ガーディナーは一部、初稿を採用しています。また、このCDではクレドの中間部を最初期の草稿で別途収録したものが収められていて興味を引きます。

 拘りのある演奏ともいえるのですが、録音も良く、説得力のあるシューベルト・・・と言った演奏でしょうか・・・1997年に行われたプログラムからの収録。

 

ブルーノ・ヴァイル指揮

  ジ・エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団

  ウィーン少年合唱団 他 1993年5月録音

 

 

 ミサ曲全集BOXの中の1枚。この盤では、ソプラノの独唱はウィーン少年合唱団のボーイ・ソプラノが歌っています。ウィーン少年合唱団の澄んだ歌声と、オリジナル楽器の繊細な響きが融合したと言える演奏を聴くことが出来ます。

 

ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮

  バイエルン放送交響楽団・合唱団 他 1983年録音

 

 

 

 「シューベルト宗教的合唱作品集」CD10枚組の中の1枚。 このサヴァリッシュ盤では独唱陣にディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Bs)を起用するなど豪華・・・そしてバイエルン放送交響楽団と、合唱団がシューベルトの純粋な宗教的情感をよく表しています。

特に躍動感溢れるグローリア、悲しみを帯びたサンクトゥスでの表現、ソリストたちの歌唱が印象的なアニュス・デイ、非常に聴きごたえのある演奏です。

この演奏も、You  Tube で聴くことが出来ます。末尾にアドレスを入れておきましたので聴いてみてください。

 

ヘルムート・リリング指揮

  オレゴン・バッハ・フェスティバル管弦楽団・合唱団 1996年7月録音

 

 

 ドイツ・ヘンスラー原盤でブリリアント・レーベルから発売されたシューベルトのミサ曲全集5枚組BOXの中の1枚です。

合唱指揮者として知られるリリング、小編成の合唱団とオーケストラのようですが、合唱指揮者らしく合唱に重点を置いた演奏でしょうか、合唱の録音もまあまあ。各声部のバランスがとれた表現が素晴らしい演奏だと思います。

 

 

ゲオルギ・ロベフ指揮/ソフィア・フィルハーモニック・オーケストラ
  ブルガリア国立合唱団 他

 

 

 ドイツ・ミサ曲を含むミサ曲全集のBOXの中の1枚。 国立合唱団と言うことですが、イマイチ・・と、言った感じ。特に独唱陣は曲ごとにメンバーが変わっていることから、合唱団の団員と推測するのですが、あまり感動しません。シューベルトのミサ曲を知るのには十分な演奏とは思いますが・・・録音も良くありません。

 因みに、マルクス・クリード指揮/リアス室内合唱団&ベルリン放送交響楽団による「ドイツ・ミサ曲」は素晴らしい演奏でした。

 

 これらの7種類の演奏の中では、HIROちゃんのあくまで個人的な好みですが、堅実で完成度の高いヴォルフガング・サヴァリッシュ盤、ウィーン少年合唱団とのブルーノ・ヴァイル盤、そして自然な流れのヴォルフガング・ゲンネンヴァイン盤がお薦めと言ったところでしょうか。

 

 

ゲンネンヴァインの演奏 You  Tube

シューベルト:ミサ曲 第5番 変イ長調 D.678 ゲンネンヴァイン Schubert : Mass No.5 As-Dur - YouTube

 

サヴァリッシュの演奏  You  Tube

シューベルト ミサ曲 第5番 変イ長調 D 678 Schubert Messe No.5 As-dur D.678 - YouTube

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪