今日は日本人の演奏によるベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」(以下「第九」と表記します)について投稿します。

 HIROちゃんの手元には多分169種類の「第九」がライブラリーとしてあるのですが、そのうち、日本人演奏家による「第九」の音源が朝比奈隆の7種類をはじめ現在、下記の16種類があります。またタワーレコードに秋山和慶指揮/広島交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集を現在予約しているので近いうちにまた、架蔵数が17種類に増える予定です。

 

1.岩城宏之/NHK交響楽団(1968) 

2.  〃   NHK交響楽団メンバー達によるO (2004~2005)

3.山田一雄/京都市SO(1983) 

4.  〃     札幌SO (1991)

5.朝比奈隆/大阪フィルハーモニーSO (1972/12/28)

6.  〃         〃     (1985/06/30)

7.  〃    NHK交響楽団 (1986/04/25)

8.  〃    新日本フィルハーモニーSO (1992/06/10)

9.  〃    大阪フィルハーモニーSO (1997/07/06)

10.  〃         〃      (2000/12/29)

11.  〃         〃      (2000/12/30)

12.宇野功芳/新星日本SO (1992)

13.小澤征爾/ニュー・フィルハーモニアO 

14.  〃     サイトウ・キネンO (2002)

15.飯守泰次郎/東京シティ・フィルハーモニックO (2001/12/29)

16.佐渡裕/新日本フィルハーモニーSO (2002)

 

 その他、「第九」ではありませんが、近衛秀磨氏の指揮した第5番、第6番「田園」など、他の日本人のベートーヴェンも結構、手元にあります。

 

 さて、そんな日本人演奏家によるベートーヴェン交響曲第9番「合唱」から、今回は岩城宏之指揮による2種類の演奏について簡単に紹介します。昨日、この2つの演奏を久しぶりに聴いてみました。

 

指揮:岩城宏之 / NHK交響楽団
  コロムビア・アカデミー合唱団

  常森寿子、荒道子、金谷良三、大橋国一

  録音1968年12月14-15日、21-22日

  東京厚生年金会館

  演奏時間 

  Ⅰ.15:44 Ⅱ.10:42 Ⅲ.14:47 Ⅳ.23:48

 

 

指揮:岩城宏之 

    N響メンバー達による管弦楽団

  コンサート・マスター:篠崎史紀

  釜洞裕子、黒木香保里、小林一男、福島明也

  晋友会合唱団(合唱指揮:関谷晋)

  2004年12月31日~2005年1月1日

  東京文化会館大ホール(ライブ録音)

  演奏時間 

  Ⅰ.15:19 Ⅱ.11:01 Ⅲ.13:05 Ⅳ.22:45

 

 

これら2つの演奏録音時期では、36年間の違いがありますが、演奏時間に多少の差はあるものの、全体としてテンポが早く、基本的な演奏スタイルは同じようです。

最初の録音は1970年のベートーヴェン生誕200年と、日本コロンビア創業60周年に合わせ製作された「交響曲全集」の中の1枚。岩城宏之=N響というイメージだった1970年代でしたが、この全集を録音した時の岩城氏は、まだ30歳代です。

 この全集の中では第3番「英雄」と、「第5番」が名演ですが、「第九」では、やや物足りなさはあるものの、第1楽章や第2楽章ではやや強調されたアクセントが随所に見られ、ティンパニの強打と合わせ力強さや迫力を感じます。第3楽章は早いテンポですが表現は細やかで、木管やヴァイオリンの音も美しく十分に歌っています。(HIROちゃんの好みから言うと第3楽章はもっとゆったりとしたテンポを好むのですが・・・)

第4楽章では独唱陣が素晴らしく、ソプラノ常森寿子さんと、アルトの荒道子さんのソロが特にすばらしい。合唱は「コロンビア・アカデミー合唱団」となっていて、この録音のための寄せ集め合唱団だと思いますが、録音の取り方が悪いのか、女声がややこもりがちに聴こえるのが残念。N響の水準も高く、クオリティーの高い演奏だと思います。

 

 

2枚目の「第九」ですが、この録音は、なんと・・・岩城宏之氏が一日でベートーヴェンの交響曲全9曲の指揮を振るということで、2004年12月31日に行われた、"振る(フル)マラソン"の演奏会を収録した5枚組の全集アルバムの中の1枚。 定価6,900円! 良くこのような高価なBOXを買ったものだ・・・

 

  ブックレットに、この日の第1番の演奏開始から「第九」の終了までの時刻等が曲目の脇に書いてありましたので、紹介すると・・・正にマラソン演奏会・・・・このようなとんでもない演奏会を良くも当時、72歳だった岩城氏がやったものだと、感心せざるを得ません。

 

・・・この時の演奏開始時刻と終演時刻・・・

第1番:演奏開始2004年12月31日 15:33

第2番:演奏開始2004年12月31日 16:03

第3番「英雄」:演奏開始2004年12月31日 16:59

第4番:演奏開始2004年12月31日 18:35

第5番:演奏開始2004年12月31日 19:12

第6番「田園」:演奏開始2004年12月31日 21:05

第7番:演奏開始2004年12月31日 21:46

第8番:演奏開始2004年12月31日 22:45

第9番「合唱」:演奏開始2004年12月31日 23:45

第9番終演時刻:2005年1月1日 0:50

 

・・・とありますが、このBOXに入っていた解説書では、一切、演奏会場の様子どころか、各曲ごとの感想や評価にはまったく触れず、各曲目の解説が書いてあるのみです。

 オーケストラは、レコード会社の契約等?の関係か「N響メンバー達による管弦楽団」となっていますが、実質、ほとんどのメンバーがN響のようです。なお、「晋友会合唱団」は合唱指揮者として「全日本合唱コンクール全国大会」で数多くの金賞を受賞している関谷晋氏が指揮者として指導しているアマチュア合唱団で組織した合唱団です。

 

 さて、この「第九」が、続けて9曲を演奏した最後の割には、驚くほどミスはありません。・・・というか、もしかしたら後から一部修正しているかもしれません。それほど纏まりのある演奏と言えば演奏なのですが、やはり荒削り的に聴こえる部分も多くあるように感じます。このBOXは興味本位で購入したものですが、この録音は、「一日でベートーヴェンの交響曲全9曲の指揮を振った・・・」 という記録としての録音のように聴こえてなりません。決して聴きづらいとか、悪い演奏ではありません。ここは、亡くなられましたが、指揮者の岩城氏とオーケストラ、そして全曲聴いた観衆の方に敬意を表したいと思います。 (このコンサートは全9曲が聴ける1つのコンサートだったのだろうか?)

 

※今回は、2015年9月に投稿した、「岩城宏之/ベートーヴェン交響曲」の文章の一部に加筆、修正し再投稿したものです。

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪