UL接続EL34シングル・アンプを3極管接続(3結)に変更しました。

 

 

 前回投稿したように最近完成した6CA7(EL34)UL接続によるシングル・アンプですが、ハムもなく出力も不満はないのですが、何となく音が気に入りません。 そこで、昨日は仕事が休みだったので3極管接続(3結)に改造することにしました。

 

 改造ですが、前回投稿したように、使用したアンプ・ケースは底板だけを外すことが全く出来ない構造で、しかもケースの中に普通のアルミシャーシがあるだけで、ケースの正面パネルと、後ろ側の背面パネルとの間に隙間が出来るために、改造するとなるとケースを再度バラバラにしなければなりません。そんな訳でサイドウッドや底板などを取り外し、下の写真のように取り出しました。正面パネルの電源スイッチや、背面のスピーカー端子の配線も半田を落として取り外そうとしたのですが、面倒なのでそのまま裏返しをして配線等を行いました。そして、このまま再び表にして100V電源コード等を挿し込み内側の中部シャ-シに組んだアンプ本体の電圧測定などの調整を行うことに・・・

何とも厄介なアンプ・ケースです。

 

 内部の配線の状態はこんな感じでしたが、3極管接続(結合)への改造後の写真は撮るのを忘れました。大きな改造ではないので、あまり見た目は変わりません・・・

 

 

 今回の3極管接続(3結)に改造後の回路図は下記のとおりで、変更は簡単にできます。変更箇所は次のとおりです。本当は回路定数も見直したいところですが、何せ手持ちの部品だけでの改造なので、抵抗値もあり合わせのものでの改造です。

(1) UL接続をやめ、第2グリッドとプレートを100Ωを通してつなぎ、3極管接続とします。(100Ω2個がやっと見つかった)

(2) B電源部の整流後に入れた150Ωを100Ωに変更 (B電圧を少し高くするためで、50Ωがなかったので・・・)  省略すると400V330μのケミコンの耐圧がギリギリになるので、これ以上B電圧は高く出来ません。

(3) NFBの省略

軽くNFBをかけてみると、高域、低域とも多少は伸びますが、雰囲気音というか、臨場感に欠けるとでも言うのでしょうか、自然さが薄くなる感じなのでNFBは止めました。それでも低域、高域とも不満はありません。不思議なことにUL接続でオシロスコープの波形観測で見られた10KHzの方形波(矩形波)でのあばれは全く見られず、高域での減衰は見られますが、非常に素直な波形です。また、100Hzを見てみると低域でもNFBをかけなくても、この出力トランスは十分に低音を出してくれます。

 

 

 3極管接続はハムが出やすく、しかもシングルなので心配したのですが、全くノーハムです! B電源部の平滑回路でのチョーク・トランスを抵抗で代用したのですが、段数を多くしてケミコンの容量も多いためかノーハムとなりました。これには製作者の私自身も今回は驚きました。スピーカーに耳を押しあてても全くの無音で、はじめはスピーカーのコードがはずれているのかと思ったくらいです。

 

今回の3極管接続(3結)での6CA7(EL34)の動作は次のとおりです。

■ Ep:325V (350V-25V)

■ Ip:64.1mA  (25V÷390Ω)

■ ‐Eg:-25V (Rk:390Ω)

■ RL:3.5KΩ

■ Pd:20.8W  (325V×64.1mA)

 

  この動作での出力は、6Wを超えますが、オシロスコープで1KHzの正弦波を入れて観測していくと、クリップ点から最大出力は4.2Wとみるべきでしょう。規格表でのEL34の三極管接続のシングルでの動作例は、Ep:375V、Ip:70mA、Rk:370Ω、RL:3KΩで出力6W となっていますが、今回はプレート電圧も規格表での動作例より50V低く、電流も少ないことから4.2Wとなりました。 前回のUL接続での出力より小さくなりましたが、これで十分な出力です。

 

  ドライブは、12AX7の1/2(片ユニット)ですが、この回路定数のまま12AU7や、12AT75965596312AV712R-LL3 なども各部の電圧は変化しますが、そのまま挿し換えが可能です。本来、12AU7を使用するのであれば、プレート抵抗は100KΩより値を少し小さくし、カソード抵抗も2.2KΩではなく1KΩ位にして電流をもう少し流したほうが良いのですが、このままの定数でも挿し換えはOKです。

 なお、12AX7のカソード抵抗にバイパス・コンデンサーをつけると、NFBをかけていないこともあり、感度が高くなって私には少し使いにくくなるため省略しました。(12AU7ならコンデンサーを付けたほうが良いでしょう)

 

 今回の回路で12AX7を使用した場合、最大出力4.2Wの時の入力感度は850mVでした。12AU7では2Vと感度は低くなりますが、プリ・アンプ(コントロール・アンプ)を使うので、これくらいの感度の方が音量調整のボリュームの位置操作は使いやすいと言えます。

因みに12AT7を使用した場合は1.35Vで最大出力となりました。

 

 さて、肝心の音ですが、個人的な好みもありますが、やはり6CA7(EL34)をシングルで使うなら3極管接続(3結)が良いと思います。非常にクリアーで、低域から高域までバランスのとれたしっかりした、さわやかな音を出してくれます。今回はNFBはかけませんでしたが、かけるとすれば、5dB以下が良いと思います。

 私はクラシックを聴くのがほとんどですが、聴く音楽のジャンルはどれにでも合うと思いますが、聴いていると何となくクラシックより、ジャズが最も相性が良いように感じました・・・前回のUL接続から3極管接続(結合)への改造は大成功です。

 

・・・・ お願い ・・・・

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。

 

では、今日は、今から仕事に出かけます・・・

じゃあね・・・HIROちゃんでした。 (^^♪