シューベルトのミサ曲と言うと、第1番から第6番までのラテン語の典礼文で作曲された6曲と、ドイツ語のミサの「奉献祭用の声楽曲と主の祈り(通称:ドイツ・ミサ曲D872)」があります。シューベルトのミサ曲の特徴ですが、古典的なミサの形式や言葉よりも、旋律を優先させた作品や、中には通常文の一部をカットした曲もあります。また、すべてのミサ曲が長調で書かれているのも特徴のひとつでしょう。

ラテン語の6曲のミサ曲のうち、1番から4番まではシューベルトが17歳から19歳までに作曲されたもので、5番、6番が晩年に作曲されています。10歳代に書かれた4曲は、宗教曲としての深さは浅いのですが、シューベルトらしい美しい旋律が多いことが特徴でしょう。…そして、時々、曲に感じられる感傷的な旋律がなんとも言えません。

 

 今回紹介するミサ曲第2番は、シューベルトが1815年、18歳の時の作曲で、1週間もかからずに完成したと言われています。

ミサ曲第2番は次の6曲から構成され、演奏時間は指揮者によっても多少異なりますが、全曲で約22分位の曲です。日本のアマチュア合唱団の定期演奏会などでも良く歌われるミサ曲のひとつで、HIROちゃんも一般のアマチュア合唱団に所属している時の定期演奏会で全曲を歌ったことがあり、思い入れのある曲になっています。

 

1.キリエ 

3/4拍子のソプラノ独唱と合唱の清らかな美しい旋律の曲で、親しみのある冒頭のメロディーを聴いただけで曲に引き込まれていきます。

 

2.グローリア

ソプラノとテノール独唱と合唱。早いテンポの荘厳な中にも華やかを感じる曲。

 

3.クレド

クレドというと一般的には長大な曲が多いのですが、ここでは演奏時間は約5分です。(それでもこの曲の中では最も演奏時間が長い) 2/2拍子の重厚な合唱と弦の響きが美しい。

 

4.サンクトゥス 

アダージョの曲ですが、聴いた感じではテンポは速く、1分チョットで終わってしまう曲ですが、普通のサンクトゥスとは少し趣が異なり、激しさも感じられます。

 

5.ベネディクトゥス 

ソプラノの美しい旋律の独唱のあと、テノール、バスとのカノン風となる、最後はホザンナからは合唱となり高らかに曲が終わります。

 

6.アニュス・デイ 

感傷的な旋律のソプラノ独唱と合唱から開始され、バス独唱へとひきつがれる。再度、ソプラノ独唱となり、最後は「Dona nobis pacem」の静かな合唱で曲が終わります。

 

現在、HIROちゃんのライブラリーとして手元にあるのは次の5種類の演奏です。

 

ロマノ・ガンドルフィ指揮/プラハ室内管弦楽団

   ヴィルトゥオージ・ディ・プラハ 他

   ドイツ・ヘンスラー原盤でブリリアント・レーベルから発売されたシューベルトのミサ曲全集

  5枚組BOXの中の1枚です。

 

ゲオルギ・ロベフ指揮/ソフィア・フィルハーモニック・オーケストラ

   ブルガリア国立合唱団 他

 

ブルーノ・ヴァイル指揮/ジ・エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団

  ウィーン少年合唱団 他

 

ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮/バイエルン放送交響楽団・合唱団  

   「シューベルト宗教的合唱作品集」CD10枚組の中の1枚

 

Herbert  Froitzheim指揮

   Chor  und  Kammerorchester  der  Staatlichen  Hochschule  f ür Musik  Freiburg

 

  これらの5種類の演奏の中ではウィーン少年合唱団の澄んだ歌声と、オリジナル楽器の繊細な響きが融合した演奏をきかせるブルーノ・ヴァイル盤と、堅実で完成度の高いサヴァリッシュ盤が素晴らしい。

特にサヴァリッシュ盤では独唱陣にルチア・ポップ(S)、アドルフ・ダラポッツァ(T)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Bs)を起用していること、そしてバイエルン放送交響楽団と、合唱団がシューベルトの純粋な宗教的情感をよく表しています。

 

 このシューベルトの「ミサ曲第2番ト長調」は、ケーゲルや、アバド、ヤンソンスらも録音しているので、機会があれば聴いてみたいと思っています。

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪