今回はシューベルトの交響曲・・・
シューベルトの交響曲と言うと、番号の付け方にはいろいろあるので混乱します。現在では第7番「未完成」、第8番「グレイト」とするのが多いようですが、・・・ここでは「未完成」を第8番、「グレイト」を第9番とします。
第8番「未完成」と、第9番「グレイト」は、かなりの数の音源を架蔵しているのですが、同じ指揮者による「全集」となると、あまり手元にはありません。これまで架蔵している全集というと、ベーム/BPO、カラヤン/BPO、アバド/ヨーロッパ室内管弦楽団、ケルテス/VPOの4種類だけだと思っていたのですが、もう1種類ありました。CD棚の最上段・・・天井近くの奥にあったのを忘れていました。東日本大震災でCDが棚から崩れた時に、無造作に棚に適当に押し込んだまま、整理をしていないCDが多いため、忘れていました。
その演奏がヘルベルト・ブロムシュテット指揮/シュターツカペレ・ドレスデンの全集です。現在でもこの全集はBOXで比較的安価で入手できますが、HIROちゃんのCDは1990年代に(株)徳間ジャパンコミニュケーションズから発売されたドイツシャルプラッテンのCDで当時、税込み1枚1,000円のバラ物廉価盤、次の4枚で全集となっているものです。
シュターツカペレ・ドレスデンのオーケストラの音色が好きなので、あらためて全曲を聴き直してみました。
●交響曲第4番 ハ短調 D.417「悲劇的」
●交響曲第2番 変ロ長調 D.125
●交響曲第3番 ニ長調 D.200
●交響曲第8番 ロ短調 D.759 「未完成」
●交響曲第5番 変ロ長調 D.485
●交響曲第6番 ハ長調 D.589
●交響曲第9番 ハ長調 D.944 「グレイト」
これらは、 1978年から1981年にかけて録音されたもので、ドレスデン・ルカ教会でのセッションによるものです。デジタルではなくアナログによるステレオ録音です。タワーレコード限定でSACDハイブリッド盤も発売されていますが、アナログ末期の優秀録音だと思います。
弦楽器の艶やかで美しい柔らかな音色、そして暖かな木管と、引き締まった金管の音が、このオーケストラの魅力でしょうか。これらのバランスのとれた豊かな響きは、SACDでなくても比較はしていませんが、十分高音質で聴くことが出来ると思います。
(このCDでちょっと残念なのは、全曲とも演奏者の紹介だけで各曲の解説が一切なく、発売予定CDのリストだけしか記されていません)
1曲ごとの詳細な感想は書きませんが、全体的には引き締まった実直な演奏と言えるでしょう。うるささを感じさせないトゥッティの部分などでは録音場所のルカ教会の適度な残響も相まって美しいサウンドになっています。中でも第5番、第8番「未完成」、第9番「グレイト」が白眉。
初期の第1番、第2番、第3番では、内面的な感情の深さはあまり感じませんが、のびやかで若々しい爽快な演奏です。また、これらの第2楽章の親しみのある旋律も美しい。
HIROちゃんの好きな第5番も実にのびやかで、明朗快活、若さと活気が感じられる秀演。ここでは特に第1楽章と、第4楽章が素晴らしい。
第4番は第1楽章の冒頭のはじまりが、かなりのインパクト・・・悲壮感を思わせる出だしです。この楽章は転調の繰り返しが多いのですがフレーズとフレーズのつなぎの間が絶妙です。
この曲、「悲劇的」との名がついていますが、ハ短調からハ長調で終わる第4楽章のアレグロが印象に残ります。
第8番の「未完成」と第9番「グレイト」は堅実な演奏。壮大さはありませんが、スケールが大きく、シューベルトの美しいメロディーが心に響きます。第8番「未完成」の冒頭のコントラバスの響きや、第9番の冒頭のホルンの響きを聴いただけで、ぞくっとします。(この頃のホルンは名手ペーター・ダムとのこと)第8番「未完成」は、遅くなく早くなくの中庸なテンポで美しい旋律が奏でられていきます。 第9番は単純な旋律?が多く見られ、演奏によっては曲自体が長く感じて飽きてしまう時もあるのですが、ブロムシュテットでは細部にわたる表現の豊かさがあり、完成度の高い演奏となっています。
あらためて聴き直したブロムシュテット指揮/SKDのシューベルト交響曲全集でしたが、素晴らしい演奏でHIROちゃんの「お薦め」と言ってよいでしょう。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪