UV-211(VT-4C)シングル・アンプが完成しました。
しかし、今後、電源部など改善が必要ですが、とりあえずはこのままで・・・
下の写真では中国製211を使用していますがGEのVT-4Cもあるので、次回紹介し、音の違い?も報告します。
これまでにUV-211シングル・アンプを2台製作しましたが、1台はテストアンプ、もう1台は低電圧動作のアンプで、これは元々845用のアンプです。
今回は、少しだけ本格的?な高電圧動作の211アンプを作ろうかと計画したのですが、211用の電源トランスは高価で手が出ません。そこで代用品として壊したアンプから取り出したタンゴのMX-175を使用することとし、出力トランス、チョークトランスも壊したアンプからの中古品・・・今回の製作にあたって新規で購入したのは、追加のヒーター・トランスと、シャーシ用のアルミ板くらいで、費用は約7,000円位でした。コンデンサーは、電解コンデンサーからカップリング・コンデンサーなど全てリード線が短くなったような中古品。抵抗もほとんどが中古品、電圧計、配線用のビニル線や、スピーカー端子、入力端子に至るまで、ほとんどが壊したアンプから取り出したものばかりです。真空管は全て手持ちのもの・・・
最終的な回路設計について
本格的に211アンプを製作されたマニアの方からみたら、笑われてしまうような回路設計です。
しかし、これで十分・・・
1.電源部
UV-211(VT-4C)アンプは、本来1000V以上の高電圧で動作させないと真価が発揮されません。しかし、今回使用する電源トランスだとかなり制約されてしまいます。タンゴのMX-175を211用の代用として使うには次のような問題があります。
① 211のフィラメント用10Vタップがない。
211のフィラメント規格は10V3.25AなのでDC点火では少なくても5Aは欲しいところです。そこで0V-2.5V-6.3V/5.2Aの2巻き線を使い2.5V-6.3V間の3.8Vと6.3Vをシリーズにして10.1V/5.2Aとし、もう1本の211用として12V5Aのヒーター・トランス(東栄変成器J-125)を追加し、10V端子を使うことにしました。
② B電源の電流容量が少ない
電圧についてはタップもあり高電圧が取り出しやすいのですが、この電源トランスではDC170mAなのでブリッジ整流にした場合、約90mA位しか取り出せません。そのため211のB電流は1本あたり40mA以下にして動作させることにしました。
③ ドライブ回路(前段)用のB電源が取りにくい
前段回路用のB電源の巻き線があると良いのですが、このトランスにはありません。そこで、かなり変則的な使い方ですが、211用の高電圧はB電源の360Vの両タップ間でAC720Vとし、シリコン・ダイオードと高圧用整流管5R4を使ってブリッジ整流・・そうするとセンタータップの0V端子からB電圧のちょうど半分が取り出せるので、ここから前段のB供給電源として使用することにしました。
なお、B電源部での電解コンデンサーですが、5R4のコンデンサー・インプットの場合、コンデンサー容量は規格では4μFです。整流後に150Ωの抵抗を入れているので容量を多くしても大丈夫とは思うのですが、ここは22μFをシリーズにして11μFとしています。
チョーク後は当初、500V100μF×2のブロック・コンデンサーをパラにして200μFとし、2本を直列につなぐことで1000V耐圧の100μFにして使用。しかし、2つのケミコンに等しい電圧がかかるように200KΩのブリーダー抵抗をケミコン1個ごとにパラにつないでも2個のケミコンが同じ電圧になりません。片側が650Vくらいになっていて500Vの耐圧を超えてしまいました。そのため、ケミコン不良と判断。交換用の500V耐圧のケミコンの持ち合わせがなかったので、止むを得ず350V100μFを3個シリーズにして使用しましたが、容量がかなり少なくなってしまいました。ここは、あとから容量を増やし改善が必要でしょう。
2.電力増幅部の最終設計回路(211の動作)
前述のように電源トランスの関係上、B電流に制限があるため、211のプレート電流は当初、40mA位で設計。その結果・・・
Ep:920V-48V=872V Ip:40mA -Eg:-48V Rk:1.2KΩ
となりましたが、こうすると前段部の電流やブリーダー電流を加えた総電流が90mAを少し超えてしまい、また整流後の電圧が980Vとなり、1000Vに近くコンデンサーの耐圧が精神的に心配です。
そのため、B電圧を少し下げることにし、最終的に次の動作としました。
Ep:850V-45V=805V Ip:37.5mA -Eg:-45V Rk:1.2KΩ
211のハム・バランサーはDC点火のため思い切って省略。2本の30Ωの中点からカソード抵抗、バイパス・コンデンサーをつなぎました。ハム・バランサー無し、しかもDC整流後のケミコンは16V6800μFを1個だけですが、ハムは全く出ていません。スピーカーに耳をくっつけてもノーハムです。
バイパス・コンデンサーは47μで十分かなとは思いましたが、ここは音の改善?のため200V10μFのフィルム・コンデンサーをパラにつなぎました。人によっては、ここのバイパス・コンデンサーの容量を大きくして何百μFとかを付けるのを良く見かけるのですが、あくまで個人的な経験上の意見として、ここの容量は多くても100μFもあれば十分。あまり大きくすると低音がボケるようにHIROちゃんは感じます。容量を大きくするよりフィルム・コンデンサー(0.1でも良い)をパラにつないだほうが音がクリアな感じがするのですが・・・まあ、これは聴く方の耳によって異なるかもしれません・・・
なお、出力トランスの1次側7KΩは4Ω端子に8Ωスピーカーをつなぎ14KΩとした方が良いかもしれません。
3.ドライブ回路(前段)の最終回路
当初は下記のように6SN7の2段増幅として考えました。
2段増幅だとドライブ回路での電圧も大きく取れ、NFBをかけるにも都合が良いのですが、今回は無帰還アンプとするため、この回路では感度が高すぎます。211のバイアスが2A3なみの-45Vなので、ここは6SL7などの高μ管の1段でも十分ドライブが出来ます。
そこで考えられるのが下記のSRPPドライブです。
SRPPドライブは高域特性が良いと言われ、HIROちゃんも良く採用する回路です。この回路だとB電圧を上手く調整することで、6SL7と6SN7、どちらでもそのまま挿し換えが出来るので便利な回路です。今回のアンプだと出力も結構大きいので、HIROちゃんの場合、6SL7だと入力感度が高すぎて使いにくくなります。通常の使用ならプリ・アンプ(コントロール・アンプ)を使うので6SN7でも十分でしょう。
しかし、個人的な好みから言うと6SN7を使うならSRPPよりパラ接続の方がパワー・ドライブに近く、音に力があるので今回は下記のパラ接続にしました。
なお、今回の回路定数のまま6SL7に挿し換えてもプレート電圧はかなり高くなりますが、プレート損失はオーバーしないのでOKです。プレート抵抗はあり合わせの82KΩを使用しましたが、これで大丈夫でしょう。前段を6SL7と6SN7を変えることにより、入力感度を変えることが出来ます。
今回のアンプの全回路図を下記に示します。なお、入力に音量調整用のボリュームは省略し、代わりにピンジャック差し換え時の安全のため、グリッドとアースをショートするスイッチを付けました。
シンプル・イズ・ベスト!
配線の様子です。あまり奇麗ではありません。なお高電圧部分には一部、高電圧用の配線材料を使用する予定でしたが、少し足らなかったこともあり、普通の太めのビニル線を使いましたが、安全上、エンパイヤ・チューブがあればよかったのですが、ここ田舎では入手できず、代替えとして熱にも強く絶縁性のあるシリコン・チューブをホームセンターで購入し、コードに被せると共にスパーク防止のため少し浮かすようにして配線しました。
次回は、アンプの簡単な入出力特性や、試聴結果について投稿します。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪
長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。