※2021/06/14 追加投稿 (訂正)
高田三郎の「水のいのち」の編曲について訂正します。オーケストラ伴奏版は今井邦男 氏による編曲で作曲者自身による編曲ではありません。混声合唱版、女声合唱版は作曲者によるものですが、男声合唱版の編曲についてはわかりません。
長い投稿ですが・・・よろしければ最後まで、お付き合いください・・・
小学生時代から聴いていたクラシック音楽、本格的に聴き始めたのは高校から大学時代・・・
大学1年・・・昭和45年、HIROちゃんは東京品川区の武蔵小山のアパートでの1人暮らし、当時、世間では実家からの仕送りの平均が月20,000円~25,000円位?の時代だったと思う。・・・しかし、家庭の事情で家からは18,000円だった記憶がある。風呂なしの3帖一間のアパートは月4,500円・・・小さな台所での自炊と銭湯通い・・・仕送りだけでは少し足らなかった月も・・・。その分、武蔵小山商店街にあったレコード店で授業が終わってから夜の閉店までアルバイトをしていました。(その時のアルバイトの時給は140円でした。大学3年頃は170円だった・・)
そのアルバイト先の店長がクラシック・ファンで店内でよくレコードをかけてくれました。そして月末の給料日になると、生活費に充てるアルバイト料を残し、あとは全てクラシックの廉価盤LPレコードを社員価格で毎月購入していました。
そんな中、LPレコードのジャケットでの解説で多かったのが、クラシック音楽の評論家、宇野功芳 氏でした。宇野氏が亡くなられてから暫くたちますが、クラシック音楽ファンのHIROちゃんが最も影響を受けた評論家といっていいでしょう。
宇野氏の名前を初めて知ったのは、アルバイト先で見つけ購入したメンゲルベルク指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とのベートーヴェンの交響曲第5番「運命」とシューベルトの「未完成」のLP、当時、ベートーヴェンの交響曲はコンビチュニー指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で良く全曲を聴いていたのですが・・・、このメンゲルベルクのLPの宇野氏の解説を読み、そして演奏を聴いてからメンゲルベルクにとりつかれたのです。(メンゲルベルクは今となっては古い録音ですが、現在も愛聴盤が結構多く、中でもチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」は最も好きな演奏です)
その後、学生時代にカール・シューリヒト、クナッパーツブッシュと言った指揮者を知ったのも宇野氏の影響が大きかったし、ブルックナーの交響曲を知ったのも宇野氏の影響だった。学生時代、途中から学生寮での生活になったのですが、やはりクラシックが大好きなO君と、HIROちゃんの部屋でカール・シューリヒト/ウィーン・フィルハーモニーのブルックナーの交響曲第9番を良く聴いていました。ブルーノ・ワルターは、以前から聴いてはいましたが、宇野氏の評論を読んで購入したレコードは多く、フルトヴェングラーもそうです。HIROちゃんが「アンチ・カラヤン」になったのも宇野氏の影響が多少はあるかもしれません。(カラヤンでも大好きな演奏は多くありますよ。カラヤンだけでも数百枚のLPやCDを持っていますからね・・・)
近年では、HIROちゃんがギュンター・ヴァントや、朝比奈 隆 氏指揮のブルックナーの交響曲を多く聴くようになったのも宇野氏の影響だった。
ギュンター・ヴァントのブルックナーは、HIROちゃん自身は悪くないと思っているのですが、人によっては「宇野氏にだまされた?」といってヴァントのブルックナーを全く評価しないマニアもいるようです。
HIROちゃんも宇野氏推薦の演奏がすべて好きかと言うと、そうではない曲も結構あります。例えばヘルマン・シェルヘン指揮/ルガノ放送交響楽団とのベートーヴェン交響曲の一連のライブ録音。ここでは宇野氏は第3番「英雄」や、第8番の演奏を絶賛していますが、確かに凄い演奏?ですが、これらの演奏はベートーヴェンの交響曲を数多く聴きなれたマニアが聴くような演奏で、普通のクラシック・ファンにお薦めできるような演奏ではありません。第8番などオケはめちゃくちゃだし、ミスが多くテンポもメチャ速い。これは感動の名演かもしれないが、迷演奏でもある。
さて、宇野氏は評論家ですが、音大の声楽科卒・・・昔から合唱指揮者として、邦人の合唱曲の指揮には定評がありました。そして多くはありませんがオーケストラを指揮したCDも発売されています。
そんな宇野氏が指揮したCDがHIROちゃんの手元に4枚あるので簡単に紹介します。これらの演奏を聴くと、評論で語っていることとは、かなりかけ離れたような演奏に感じます。もし、宇野氏のファンで、彼の指揮したオーケストラのCD を聴いた方は、どのように感じるのだろうか・・・?
■ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」
宇野功芳 指揮/新星日本交響楽団・TCF合唱団
1992年サントリー・ホールでのライブ
(キングレコードKICC 100 価格:税込3,000円)
この演奏、作家の宇神幸男氏が「これはフルトヴェングラー以来の名演といえよう・・・」とジャケットに書いてあり、ブックレットでも、べた褒めの演奏なのですが・・・
聴いてみると第1楽章の冒頭からして気持ち悪い・・・テンポは遅い。とにかく冒頭の出だしは弱音無視の低弦を強調した変な表現ではじまる。曲の盛り上がりと共にティンパニの強打や、金管楽器の迫力なども見られるものの、全曲をとおして理解しにくい曲の解釈・・・生で聴いたらどうなのかわかりませんが、この演奏の詳細を書くことはHIROちゃんには無理。それほどの珍演奏?
■モーツアルト 「フィガロの結構」序曲
■モーツアルト 交響曲第40番ト短調 K550
■ベートーヴェン交響曲第5番ハ短調 「運命」
■ハイドン セレナード
宇野功芳 指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
2005年 大阪ザ・シンフォニーホールでのライブ
(EXTON OVCL-00107 価格:税込3,000円)
「フィガロの結構」序曲は、とにかくテンポが遅すぎ・・・テンポの動きがあり、変なフォルテシモの迫力があったり、面白いと言えば面白いが、どこが良いのか分かりません。
モーツアルトの交響曲第40番・・・ブルーノ・ワルターのウィーン・フィルハーモニー盤(1952年ライブ録音)を意識した出だし冒頭のポルタメント・・・しかし、ワルターのポルタメントとは全く異なる異様な表現としか聴こえない気持ち悪いポルタメント・・・全曲を通しても全体的に表現が理解しにくい。
ベートーヴェンも同様でテンポの動きが激しく突然の迫力も見られ独特の解釈。良くわからない。しかしモーツアルトよりはマシな演奏でしょうか・・・
■モーツアルト 「フィガロの結構」序曲
■ブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」
宇野功芳 指揮/日本大学管弦楽団
1981年 日本大学管弦楽団定期演奏会より
製作:平林直哉 GRAND SLAM GS-2000
価格:オープン価格?(タワレコで現在税込2,626円)
このCD は現在、評論家でもある平林直哉氏が日本大学の学生時代にヴァイオリンを弾いていた日本大学管弦楽団の1981年の定期演奏会のライブ録音。
ブルックナーの演奏についてはうるさい宇野氏の指揮によるものですが、なぜ、このようなアマチュアの大学のオーケストラの演奏が平林直哉氏によって発売されたのかが良くわからない。演奏はアマチュアらしく一生懸命に指揮者についていきながら精一杯の演奏であることは十分に聴くことが出来ますが、録音も悪いせいか管楽器などのオーケストラ全体のバランスは非常に悪く、ミスも多い。これでは宇野氏のブルックナーの伝えたいことがさっぱり聴こえてこない。このようなCDを宇野氏が良く許可したものだと・・・考えてしまう。
この演奏のCDは、演奏にかかわった関係者などにだけコピーして配付する、非売品として扱う演奏ではないのかな・・・
宇野功芳 叙情の世界1
■佐藤 眞 作曲/混声合唱のための組曲 「旅」
■高田三郎 作曲/混声合唱組曲 「水のいのち」 他4曲
宇野功芳 指揮/神戸市混声合唱団
2011年 神戸市混声合唱団特別演奏会ライブ
コウベレックス KRS470
価格:オープン価格(タワレコで現在税込2,702円)
オーケストラの演奏については理解しにくく、とても万人にお薦めできる演奏ではないのですが、上記の合唱曲については、2曲とも、お薦めの決定盤と言っても良いでしょう。やはり宇野氏は合唱指揮者として、邦人作品の合唱曲を振ったものが一番いい。
神戸市混声合唱団は数少ないプロの合唱団。「旅」「水のいのち」の2曲とも、非常に遅いテンポの演奏ですが、「旅」での第4曲「なぎさ歩めば」は非常に美しい。また第6曲の「旅のあとに」は歌う側にとっては難曲ですが、表現がなんとも素晴らしい。
「水のいのち」は宇野氏が最も得意とした合唱曲のひとつ。この曲は混声合唱で書かれていますが、昭和40年代の頃に大ヒットした合唱曲、そのため作曲者自身により、女声合唱版、男声合唱版、オーケストラ伴奏版まで楽譜が出版された高田三郎作曲の名曲中の名曲です。HIROちゃんも若いころ、所属していたアマチュアの合唱団の定期演奏会で全曲を3回、歌った経験がある思い出深い曲です。
宇野氏はアマチュアのカラコレス女声合唱団とも女声合唱版を録音していますが、残念ながら聴いていません。
しかし、この神戸市混声合唱団との演奏は、素晴らしい名演だと思います。演奏について書くと長くなるので、この「水のいのち」の演奏は、近いうちにあらためて投稿したいと考えています。HIROちゃんの手元には、「水のいのち」の音源が現在6種類あります。
また、佐藤眞作曲の合唱組曲「旅」や、合唱組曲「蔵王」などについても今後、投稿したいと思います。
前に書いたオーケストラの演奏は理解しにくい演奏で、とてもHIROちゃんとしては、お薦めできる演奏ではありません。なので他にも廃盤になっているのもあるのですが宇野氏のベートーヴェンの「英雄」や、「田園」、そしてブルックナーなどは、もう聴く気になれません。3,000円も出して1枚買うなら、メンブランの10枚組CDのBOXを購入したほうが良いかも・・・おつりが来ますよ・・・
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪