昨夜のNHKのEテレの番組「クラシック音楽館」でカラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」と、バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるマーラーの交響曲第5番が放映されました。

新聞の番組表には「カラヤンとバーンスタインの伝説の名演奏」そして、「冷凍保存されていた名演フィルムがリマスターで鮮やかに」と書いてあったので、鑑賞してみました。

今回の悲愴の映像は1973年に35mmフィルムによる録画で、NHKが8Kの最新技術でリマスターしたものを放映したもの。

 

 演奏が始まった途端・・・あれっ! この映像ってみたことがあるな~~と思ったら、下記のチャイコフスキーの交響曲第4番、第5番、第6番「悲愴」の3曲を1枚のDVDで、グラモフォンから発売されたユニテルの映像と同じものでした。

 

 

 我が家のテレビジョンは8Kではないのですが、確かに映像はDVDより鮮明でした。しかし全体的にDVDより明るさが目立ったように感じました。

 

 さて、この映像ですが、見ている限り観客も写っていて、コンサートの「ライブ映像」のように見えますが、これは編集されたツギハギだらけのインチキ映像、いわばライブ風映像でしょう。別にあらひろいをするわけではないのですが、違和感の多い映像作品です。

 まずコンサートが始まるオープニングの映像は会場の最上階あたりからステージ全体を写し、拍手で小さく映ったカラヤンらしい人?が登場します。(小さくてわからない) すると、いきなり目をつぶったカラヤンの大写しで曲が始まります。オープニングの画面の質とだいぶ違います。このオープニングの映像はDVDでは第4番、第5番でも全く同じ映像を使用しています。コンサートで第4番、第5番、第6番「悲愴」を一気に演奏することはないでしょう。よく見ると、オープニングのカメラの前の女性の頭、周辺の聴衆の動きが全く同じです。つまり3曲とも同じオープニングの映像を使って編集したものです。

 

 今回のNHKの映像は確かにDVDよりきれいですが、作品そのものはツギハギが多い失敗作。確かにカラヤンの周辺を写した映像では客席の観客が写っているのでライブに見えます。ところがカラヤンの指揮の映像になると目をつぶった表情の顔と、少し大げさな動きの指揮姿ばかりが強調されます。また、ホルンなどの管楽器の映像になると周辺の映像はなく、画面の質も若干異なる感じです。

 面白いのは、映像を見ていると、いつの間にかコンサートマスターの隣のヴァイオリン奏者が別人に変わっています。これは笑えます。(同じような映像としてベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」のDVD映像でもライブ風で観客はサクラ・・一部で、同じ場所の観客を写しているのに楽章の途中で突然、何人かが変わるのです。)こんなインチキ映像がカラヤンのDVDには満載です。(そうそう・・ムターとのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ではムターのヴァイオリンの弓の糸が少し切れて垂れさがったまま演奏しているのに、突然、別なきれいな弓に変わっています。)

 

とは、言え、この悲愴の演奏そのものは悪くありません。カラヤンは「悲愴」が好きだったのでしょうか、多くの正規の録音を残しています。末尾にHIROちゃんのカラヤンの悲愴のライブラリーを記しておきます。多くの録音がありますが、基本的な曲の解釈はあまり変わっていない気がします。

どの録音でも繊細さとロマンティシズム、感傷性は素晴らしく、迫力、緊張感もみられます。言葉を変えれば、以前にも書いたのですが、カラヤン魔術師の催眠術?による、聴かせ上手な演奏だと思いますが・・・・どうでしょう?・・・「聴かせ上手」という言葉は悪いでしょうか?

曲にもよりますが、一種の催眠術にかけられ、素晴らしく聴こえてしまうのです。まあ、「悲愴」を聴くならカラヤン盤は無難な演奏と言うべきでしょう。「悲愴」なら名盤はいくらでもあります。

ヤフー・ブログ時代に投稿した「チャイコフスキーの交響曲(名盤・名演奏)」の投稿記事のアドレスをこの記事の最後に記しておきます。ご参考まで・・・

 

なお、HIROちゃんの手元にあるカラヤンの「悲愴」のライブラリーは次のとおりです。アンチ・カラヤンと言いつつ良く集めたものです・・・

あっ!・・・そうそう、カラヤンの映像作品は画面を見ないで音だけで鑑賞したほうがいいかもね・・・騙されても気が付かないので・・・

 

■HIROちゃんのカラヤン指揮の「悲愴」

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1948) LP、CD

・フィルハーモニア管弦楽団        (1950) LP、CD

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1964) LP、CD

・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1971) LP、CD

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1973)※DVD映像

 (今回NHKの放映と同一のもの)

・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1976) CD

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1984) LP、CD

・ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1984)※DVD映像

 上記と同じ音源?

・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1988/05/02)

 東京公演(サントリーホールでのライブ) CD

 

■ご参考 クリックすれば記事につながります。

チャイコフスキーの交響曲(名盤・名演奏) 

※ヤフー・ブログからの引っ越しでコメントは全て消えています。

 

あれっ!・・・カラヤンばかりでバーンスタインのマーラーの交響曲の感想を書くのを忘れました。

HIROちゃんにとっては、初めて見る映像でした。バーンスタインのマーラーはニューヨーク・フィルハーモニックとの全曲の他、何枚か音源のCDを持ていますが、今回の映像では第4楽章の「アダージェット」がとても美しかった・・・とだけ書いておきましょう。

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。