※追加投稿

この記事の最初の投稿時に冒頭のトランス結合回路(A)(B)(C)(D)の図が抜けていました。

図を追加修正の上、再投稿しました。

※2021/01/13 12:20 記事を少し加筆修正しました。

 

前回までに電源部及び電力増幅部(出力部)の回路案について書きましたが、今回は電圧増幅部について回路案を投稿します。

 

はじめに

電圧増幅回路と、出力部をつなぐ回路として、直結のロフチン・ホワイト回路などもありますがトランス・ドライブ回路と、CR結合回路があります。どちらの回路が良いかと言っても、それぞれ特徴があります。一般的にトランス・ドライブ回路は古典的な回路でパワー・ドライブには適した回路ですが、周波数特性はCR結合より劣ります。どちらの音が良いかは、個人の好みもあると思います。

さて、トランス・ドライブ回路ですが、下記の(A)(B)(C)(D)の回路について説明します。最も古典的な回路は(A)でトランスは重畳型で直流電流を流して使用します。ただし、周波数特性は劣ります。周波数特性を改善した回路が、クラーフ結合と呼ばれる(B)(C)(D)の回路です。この回路はコンデンサーCの値を変えることによって周波数特性を変化させることが出来、大きくすると低域のピークを抑えて低域部を伸ばすことが出来ます。マニアの中には(B)の音が良いとか、(C)が良いとか・・(私の駄目耳では実験しても区別がつきません)

このクラーフ結合は重畳型トランスでも使える回路ですが、パーマロイ材質のトランスで多く使われる回路です。

 

 

 

今回は、211シングルのドライブ回路案について投稿しますが、予定している電源トランスが211用ではなく、B電源の電流の容量が少ないので、これから述べるドライブ回路の中には採用できないものもありますが、いくつかのトランス・ドライブの電圧増幅回路の案を紹介します。なお、回路図の定数は経験に基づいた大雑把な値ですので、あまり参考にはなりません。 

 

【回路例①】

手元にタンゴのNC-15があるので考えてみました。一般的な211の高電圧動作での深いバイアス電圧では少し苦しいのですが、今回の211のバイアス電圧は約50Vですので、中μ管の6SN712AU7など1本でも昇圧のあるトランス結合なら十分です。入力感度は低いのですが、プリ・アンプで入力電圧を稼ぐか、図のように外付けの入力トランスをつなげば十分です。なお、NC-15の場合、2次側はオープンで使う規格なのでグリッド・リーク抵抗は付けていません。

 

 

 

【回路例②】

12AU7や、6SN7のパラです。タムラのTN-351があるので考えました。このトランスは直流重畳型ではないので前記の(B)のクラーフ結合とします。こちらも入力感度はやや低いのですが、プリ・アンプで稼ぐか、入力トランスTKS-50のトランスBOXをつないで使います。6SN7や、12AU7のパラ接続は意外と力感があります。ただしTN-351が大きいのでシャーシに乗るかどうか・・?

 

 

【回路例③】

電圧増幅部を2段増幅にしたもの。この回路なら211のバイアス電圧が深くても大丈夫。初段のカソード抵抗にバイアス・コンデンサーを付ければ入力感度が上がりますが、感度が高すぎると使いにくいので省略しました。

 

 

【回路例④】

前記の回路例③をクラーフ結合としたものです。ここでは(C)のようにプレート側にコンデンサーを付けています。

 

 

 

【回路例⑤】

傍熱管の出力管を使ったパワー・ドライブによる回路です。5極管や、ビーム管の出力管を三極管接続として使います。プレート電流に合わせた規格の中間トランスが必要となりますが、この場合、メイン・アンプで使うような電流を流さない少電流でも十分なドライブ電圧がとれます。なお、複合管の6BM6GW等なら1本でOKです。

 HIROちゃんならL34(6CA7や、6F6の三結を使いたいところです。

下記の回路図では五極管の三結になっていますが、三極管の使用に拘るなら6GA46BX76AH4などが使えます。

 

 

 【回路例⑥】

ここからは少し変わったと言うか、少し凝った拘りの回路を紹介します。直熱出力管をドライバーとして使ったトランス結合のアンプです。

実は211アンプを製作するのは今回が初めてではありません。今から30年以上前?位に実験用に1台作りました。これまでは現物も壊してしまい、写真も撮っていないため、ブログで回路は非公開でしたが、その時の回路が下記の図です。

オール・トランス結合、オール・直熱管、オール・トリタンの送信管という凝った回路。電源を入れると4本のトリタンの光輝く姿は凄かった・・ここではタムラのA-343で1次側5KΩ、VT-25とはアンマッチですが、あまり気にしませんでした。この試作アンプの211は交流点火でしたが意外とハムは少なかったことを覚えています。VT-25や、VT-62でも規格表の動作例からEp:250V、Ip:10mA、-Eg:-23.5VならNC-15でも15mAまで使えるので再度、製作は可能ですが、今回の製作計画ではVT-25のフィラメント電源が確保できないので残念。ヒーター・トランスの追加も少し無理です・・・

 

 

 

 

 

上記の回路で中間トランスの1次側に最低5060mA以上流せるものを使えば、電源部は大掛かりになりますが、211や、845ドライブの211アンプも可能ですね。

 

【回路例⑦】

2A3や、300Bをドライバー管として使う回路

最近は真空管アンプのガレージ・メーカー?から2A3や、300Bをドライバーに使った211アンプが驚くほどの超高額で販売されています。どこで聴かれたのか分かりませんが、ブロ友の「元新潟のUさん」が、これらの211アンプにぞっこん惚れ込んで、本人曰く10年計画?とかで2A3ドライブの211シングル・アンプ製作の計画があります。すでにGEの211(VT-4C)とRCAの2A3は購入済み、着々と?進行中?のようですが、完成するまで10年?・・HIROちゃんには・・お迎えが来るでしょう・・完成の報告が聞けないかもしれません。(早く作ってくださ~い・・!)

いったいUさんはどのような回路で2A3を使い211を鳴らすのだろうか?

もし、HIROちゃんなら次のような回路で2A3や、300Bをつかって作るかも・・

しかし、ドライバーの直熱管をいくらDC点火してもハムを完全に消すのは難しいだろう。交流点火でハムの打ち消しなどという技術はHIROちゃんにはありません。また、パワー・ドライブの場合にはドライバー管の音の特徴が音にも大きく影響があるので、あまり凝り過ぎると本来の211の良さを台無しにしてしまう危険もある。はたして2A3や、300Bを使った211の音とは???

どちらにしてもHIROちゃんは今回、電源トランスの容量が少ないのでこの回路は採用出来ません。

 

 

【回路例⑧】

前記の回路例⑦の初段を高μ管の6SL7にしてカソード・フォロワー出しにしてインピーダンスを下げた回路。

 

 

【回路例⑨】

回路例⑧と似ていますが、こちらは初段をSRPPドライブにしたもの。

この回路なら6SN7をそのまま挿し換えてもOK.。6SN7の方が良いかもしれません。

MT管なら12AX7ではなく、12AU7と挿し換えてもOK。12AU7の方が良いかも・・・

 

 

【回路例⑩】

こちらはパワー・ドライブ管の前に中μ管を使い、直結の2段増幅回路としたもの。かなり強力にドライブ出来ます。

 

 

この他にも色々と回路は考えられますが、妄想するだけでも「どんな音がするのかな~?」と、楽しいものです・・・。

次回は、CR結合による電圧増幅回路について回路案をいくつか投稿します。部品はほとんどあるのですが、小物が少し探さないとありません。回路が決まったらシャーシの加工をのんびりと始めます・・・(作り始めたら完成は早いですよ・・・)

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪