今回から211シングル・アンプの設計編として記事を書いていきます。

まずは電源部の設計案から・・・今回、211アンプの製作にあたって使用する予定の電源トランスですが、211専用のものではありません。フィラメント用の10Vの巻き線もありませんし、B電源のタップも高電圧ではありません。しかし、あらためて211用の電源トランスを購入する資金の余裕はありません。

 そこで今回は自宅にあった中古のタンゴのMX-175を工夫して使うことにしました。

MX-175の規格ですが、ヒーター巻き線は0V-2.5V-6.3V/5A×26.3V/3A×15V/3A×1、B電源は450V-400V-360V-0V-360V-400V-450V/DC170mAという規格です。

なお、チョーク・トランスは、これも自宅にある中古のタンゴのMC-15-150Dを使います。

 

 

 211のフィラメントの規格は10/3.25A、DC点火させるには5Aは必要です。そのため2巻きあるヒーター巻き線の6.3Vと、6.3Vと2.5V間の3.8Vをシリーズにして10.1/5Aを確保。もう1つは以前紹介した東栄変成器の10/5Aのトランスを追加することにしました。

 B電源ですが、低電圧の動作なら下記のA案の450VのタップからでOK、電流も多く取り出せます。しかし、今回は高電圧で動作の予定です。そのため、B案のB電源の中間タップ0V端子を使ったブリッジ整流の倍電圧回路とするか、C案のように0Vの中間端子は使わず360Vタップの両端で360V+360Vとし、720Vをブリッジ整流するという、どちらかの方法でB電源とする予定です。

 これらの倍電圧の場合、B案とC案での場合、どの程度の電流が取り出せるかが、良くわかりません。どちらにしても100mA位と思って増幅回路の設計をしたいと思っています。

211の動作点については、今後、あらためて投稿したいと思いますが、取り出せるB電流は100mA位と考え、Ep-Ip特性曲線のカーブからみて、今のところEp:850VIp:40mA-Eg:-50V位とする予定です。

 B案とC案の場合、トランスのコアボリューム等も関係あるかもしれませんが、それぞれどのくらいのB電流が取り出せるか、どなたかコメントで教えていただければ幸いです。

 

■電源部回路案(A)

 低電圧動作なら、この回路で充分。整流は高圧用整流管5R4による両波整流です。もし、低電圧回路にするならば少しでも高いプレート電圧を確保するために、固定バイアス用のマイナス電源回路を追加する方法もあります。

 

 

 ■電源部回路案(B)

 この回路の場合、整流後はかなり高い電圧になるので、360Vタップを使います。

1000V耐圧位の平滑用のオイル・コンデンサー等の手持ちがないので容量は半分になりますが、500V用のケミコンをシリーズにして使用します。この場合、ケミコンの容量に誤差があるので、2個のケミコンにブリーダー抵抗をパラって同じ電圧がかかるようにするのですが、この回路の場合には2個のケミコンの中点にB巻き線の0Vを接続するため、整流後の直流電圧は2分割されるのでブリーダー抵抗は必要ないでしょう。

 なお、整流管5R4のコンデンサー・インプットでの入力側のコンデンサーの容量の規格は4μFとなっていますが、整流後に電圧調整用の抵抗を入れるため、20μFをシリーズにした10μFでも大丈夫だと思います。

また、ドライブ回路用のB電源はチョーク後の2個のケミコンの中点から取り出します。

 

■電源部回路案(C)

 この場合には前記のように0Vの中間端子は使わず360Vタップの両端で360V+360Vとし、720Vをブリッジ整流します。この場合には入力側のケミコンにもブリーダー抵抗を入れて、2個とも同じ電圧がかかるようにします。ドライブ回路用B電源の取り出し方はB案と同じです。

 ※2021/01/05 追加投稿

このC案でのE406Nシングル・アンプの製作例があります。このホームページは長い間、更新されていませんが、参考になる製作例が多いですね。

下記のE406Nアンプの電源部ではノグチ(現:ゼネラルトランス)のPMC-100Mの両端240Vを480Vとして600Vを得ています。

http://tomo.fine.to/V.World/AuctionGuideE406N.html

※2021/01/10 追加投稿
上記回路の(B)を採用した製作例がありました。これによると55%の電流がとれると記載がありました。

http://tomo.fine.to/V.World/UM-838-J.html

 

今のところB案にするか、C案にするかは決めていませんが、電流が多くとれる方で設計したいので、ぜひどなたか教えてください。どちらの整流方法にしても中間の0Vタップからの配線を1か所変更するだけでOKです・・・

 

では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪