低電圧動作の845シングル・アンプですが、回路定数を変更、バイアス抵抗(Rk)を1KΩから510Ωに変更したことは前回報告したとおりです。これによりプレート電圧(Ep)は402Vと低電圧となり、プレート電流(Ip)は74.5mAと増えました。Rkが510Ωというと、かなり低い値に思われるかもしれませんが、この時の845のプレート損失(Pd)は、402V×74.5mA≒30Wですので845の最大プレート損失100W(75W)よりはるかに小さい値です。低電圧のこの動作でも6Wの出力が出ました。845の特徴を最大限に発揮はしていませんが、特に低域では力強い音を聴かせてくれます。
これまでは出力トランスにタンゴの20W用U-808を使用していましたが、今回のアンプの出力が10W以下で、プレート電流も少ないことから、別のシングル・アンプから取り外したノグチ(現:ゼネラルトランス)の10W用PMF-10WSに交換しました。このトランスは最大使用電圧の規格が550Vなので交換しても耐圧の心配はありません。
PMF-10WSのデーターシートをゼネナルトランスのホームページから紹介します。なかなか良いOPTだと思います。
https://www.gtrans.co.jp/pmf10ws.pdf
取り外したU-808です。これを使ってそのうち45か2A3などの直熱3極管のアンプを作りたいと思っています。古いタイプのOPTで高級な音(表現が悪いか?)ではありませんが、大好きなOPTです。
PMF-10WSに交換後の写真です。
OPTが一回り小さくなりましたが、見た目はそれほど悪くありません。
トリウム・タングステンの電球のように光り輝くフィラメントは、とても明るくきれいです。暗い場所でも本が読めるくらいです。
下記に最終の回路図を示します。なお、845とは特性が異なる送信管の211をそのまま挿し換えることが出来ます。低電圧の動作ですが、Ep-Ipの特性曲線から見た-Egの動作点は多少ズレはありますが、845、211ともにほぼ適正な動作点となっています。211も1000V位のプレート電圧をかけないと、本来の特徴を十分に生かしたアンプは出来ないのですが、それでも出力は3W位ですが送信管らしい艶やかな伸びのある音を聴くことが出来ます。
211も低電圧動作なので出力トランスの1次側は5KΩでも良いと思いましたが、PMF-10WSの1次側3.5KΩの2次側を切り換えることでZp:7KΩとしました。845を使用する場合は3.5KΩとします。
なお、前段の電圧増幅管6SL7-GTをμの低い6SN7-GTに変更したことから、特に845使用時の入力感度がかなり低くなりますが、入力トランスなしでもプリアンプの出力電圧で稼ぐことで十分ドライブできます。また、下記のように外付用に製作した入力トランスを付けることでも入力感度は高くなります。このような外付用の入力トランスを作っておくと便利です。現在、このタムラのTKS-50の他に、同じタムラでTKS-27と、TK-133の外付用のトランスBOXを作ってあります。
SRPPドライブのシンプルな回路です。 シンプル・イズ・ベスト・・・かな?
※845も211もフィラメントの規格は10V 3.25Aです。DC点火をするなら最低ACで5Aは欲しいのですが、このアンプでは電流が少ないのを承知で3.2Aと3Aの6.3Vをシリーズにして12.6Vで整流と、0.5Ωで10Vを確保しています。そのため電源トランスが少し熱くなりますが、長時間使ってもB電源には余裕があり、手で触れないほどトランスの加熱はありません。
今後、211のシングル・アンプの製作を計画しています。今回の低電圧での動作でも良い結果が得られたので、次回も低電圧設計にするか、あるいは1000V位の電圧の動作で設計するかは、これから考えていきます。
問題は電源部・・・電源部の設計が手持ちの電源トランスだと少し工夫をしなければなりません。
部品も少し足りませんし、シャーシは自作の予定です。いつから製作にとりかかれるかはわかりません。今後の進捗状況はブログでアップしていきたいと思います。
このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪