最近はCDやLPの整理が悪く、何処に何があるのかわからなくなっているものも多い。分類の方法が演奏家別だったり、作曲家別だったり、レーベル別だったりと一貫していないためでしょう。今回のブラームスのドイツ・レクイエムでも当初は18種類と思っていましたが、探しているうちに「あ~~そうだ・・・これもあった~~」という具合で最終的?に23種類見つかった。もしかしたらもう少しあるかもと考えてしまうのですが、たぶんこれで終わりでしょう?・・・ここ数日間はドイツ・レクイエムばかり聴いていたので頭が少しおかしくなった感じ・・・
さて、今回はブラームス/ドイツ・レクイエムの3回目の投稿で、これが最後になります。
今回は残りの9枚について、前回の投稿同様に自分なりに寸評と適当に推薦(決定盤/名盤)、準推薦(名盤)、注目盤を★の数で選んでみました。あくまで個人的な好みの演奏です。なお、掲載は順不同で録音年月順というわけではありません。
ヘルベルト・フォン・カラヤンのブラームス/ドイツ・レクイエム
カラヤンは、このレクイエムが相当好きだったのでしょうか・・・生涯で数多くの録音を残しています。HIROちゃんは「アンチ・カラヤン」と豪語?しているのですが、それでも下記の5種類の演奏がライブラリーとして手許にあります。
■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
エリーザベト・シュヴァルコップ(Sp)
ハンス・ホッター(Bs) 録音:1947年
■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーン楽友協会合唱団
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(Sp)
エーベルハルト・ヴェヒター(Br) 録音:1964年
(注目盤★)
■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン楽友協会合唱団
アンナ・トモワ・シントウ(Sp)
ホセ・ファン・ダム(Bs) 録音:1976年
■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーン楽友協会合唱団
バーバラ・ヘンドリックス(Sp)
ホセ・ファン・ダム(Bs) 録音:1983年
■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン楽友協会合唱団
キャスリーン・バトル(Sp)
ホセ・ファン・ダム(Bs) 映像収録:1985年(DVD)
これら5種類の演奏を聴いてみると演奏時間もほぼ同じで、基本的な解釈は同じように聴こえます。どれも充実した演奏で緊張感もあり、抒情的な祈りと劇的な盛り上がりが対照的な演奏ですが、カラヤンの演奏ではソリストによってだいぶ評価が変わります。これら5種類の中ではモノラルで古いのですが1947年盤でのハンス・ホッターの迫力ある名唱が圧倒的です。ハンス・ホッターに敬意を表し、今回は★★★の準推薦。これがステレオ録音で、音質が良ければ推薦としたいところです。なお、ジャケットの写真はLPレコードです。
1964年盤は、ウィーンのムジーク・フェラインザールでベルリン・フィルを振ったもので、聴きごたえのある演奏。
EMIの1976年盤は全体的にやや重い感じはするのですが、最もカラヤンらしい?演奏でしょうか・・・表現が少しオーバーでいやらしく感じなくもありませんが、第6楽章の壮大さは見事です。名演ではあるのですが、★★にしました。
1983年盤と映像での1985年盤は、ややおとなしい演奏か・・・
1985年の映像のDVDを見ていると、ライブ映像ですが、かなり編集された映像で、会場での収録はあまり使用されていないのでは・・・と思うほどで全体的に違和感がHIROちゃんにはありました。この演奏を聴くなら映像は見ないで音だけで楽しむべきでしょう。
■ジュゼッペ・シノーポリ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
プラハ・フィルハーモニック合唱団
ルチア・ホップ(sp) ヴォルフガング・ブレンデル(Br)
録音:1982年8月
これはだいぶ昔に購入した4枚組の「オーケストラ付き合唱曲集」のLPレコードの中の1枚。シノーポリ壮年期の録音で、オケがチェコ・フィルハーモニーとの演奏。ブラームス生誕150周年記念のための録音。細やかさもあり堅実な演奏ではあるのですが、物足りなさを感じます。
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
ウィーン・フィルハ-モニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
バーバラ・ボニー(Sp) アンドレアス・シュミット(Br)
録音:1987年6月
(注目盤★★)
DGのCD46枚の「ブラームス大全集」BOXの中の1枚。
バーバラ・ボニー、アンドレアス・シュミットの2人は、録音当時、2人とも30歳前後の若いソリストですが合唱と共になかなか素晴らしい歌唱。全体的にひたひたと迫ってくる中にもスケール感がある演奏です。
■ダニエル・バレンボイム指揮
シカゴ交響楽団/合唱団
ジャネット・ウィリアムズ(Sp) トーマス・ハンプソン(Br)
録音:1992/1993年
準推薦(名盤)★★★
バレンボイムは、ロンドン・フィルとエディット・マティス、フィッシャー・ディースカウと共演した1972年の録音がありますが、残念ながらこの演奏は聴いていません。
このシカゴ響との録音ですが、合唱が素晴らしい。哀しみと慈愛に満ちた演奏で、第2楽章が見事! また、クライマックスともいえる第6楽章は圧倒的な迫力のある演奏。
■クラウディオ・アバド/指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
バーバラ・ボニー(Sp) ブリン・ターフェル(Br)
スウェーデン放送合唱団
エリク・エリクソン室内合唱団
マリア・ヴィースランデル(合唱指揮)
映像収録:1997/04/03 ウィーン楽友協会(ライヴDVD)
(注目盤★★)
このDVDは、エリク・エリクソンの生誕100年記念BOXの5枚組の中の1枚。ウィーン・ムジークフェラインで行われたブラームス歿後100周年でのドイツ・レクイエムのライブ映像です。病に倒れる前のアバドの端正で美しい演奏・・・
ウェーデン放送合唱団とエリク・エリクソン室内合唱団のオケとのアンサンブルも良く美しい歌唱と言えます。ベルリン・フィルがウィーン・フィルのムジークフェラインでおこなったコンサートということにも興味を引きます。演奏が終わった後、アバドが全く動かず祈るような非常に長い時間の沈黙があってから、パラパラと拍手が増えていき、やがて熱狂的な拍手で会場を包む場面はDVDしか見られない感動のシーンです。
今回、聴き直しを含め多くのドイツ・レクイエムを聴いてみましたが、さすがにレクイエムだけを聴いていると頭がおかしくなった感じです。同じレクイエムでもフォーレのレクイエムなら死んでも安らかさと天国的な気分を味わえるのかな~~~なんてつい考えてしまうのですが、ブラームスのレクイエムは、いくら抒情的な祈りと劇的な盛り上がりが対照的で音楽的に素晴らしくても、劇的な盛り上がりを見せる楽章の音楽を聴いていると、安らかな死ではなく、「もう少し生かしてくれ~~~」と感じざるを得ません。
もし自分が死んでレクイエムを流してくれるとしたら、この曲はお断り・・・
HIROちゃんは、フォーレのレクイエム・・・いや、モーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」がいい・・・
では、今日はこのへんで・・・HIROちゃんでした。