・・・加工牛肉は要注意・・・
腸管出血性大腸菌O(オー)157食中毒予防
牛肉の、「テンダライズ処理」 「タンブリング処理」「結着処理」 ってどんなものか、ご存知ですか?
これらの牛肉の調理には注意が必要です。加熱を十分にしないと
食中毒になるリスクが高くなります!
前回の投稿で「腸管出血性大腸菌O157(オーイチゴーナナ)」によるメンチカツでの食中毒について説明しましたが、牛肉が主な原因であることはおわかりになったと思います。
ところで、皆さんは「ビーフステーキ」がお好きでしょうか・・・?
焼き方(焼きかげん)は・・・?
レア・・・ミディアム・・・それとも~・・・ウェルダン・・・どれでしょうか?
実は、もうひとつ・・・ベリーウェルダンというのもあります。
レアや、ミディアムでは、表面は焼き加熱による焦げのおいしさがあり、肉の中はやわらかく、ジューシーで生(レア)、変性はしていますが凝固していない状態(ミディアム)という異なった美味しさが同時に味わえますね。
私のもう一つの職場でもある、調理師養成の専門学校で使用している「調理理論」の教科書では次のような「ステーキの加熱の程度と内部温度」について書かれています。
【 ビーフステーキの加熱の程度と内部温度 】
公益社団法人 全国調理師養成施設協会出版「調理理論」から抜粋
■レア:内部温度は50~60℃以下、
肉の色は、外側表面は灰褐色であるが、内部は鮮赤色で肉汁
が多い。肉の大きさは、ほとんど変わらず、外側は肉によっては
やや収縮する。
■ミディアム:内部温度は65~70℃
肉の色は、外側表面は灰褐色であるが、内部はピンク色で赤み
が薄い。肉汁は少ないが、強く押すと出る。肉の大きさはいく
らか収縮する。
■ウェルダン:内部温度は70~80℃
肉の外側も内側も褐色で灰色がかっていて肉汁は透明で少ない。
肉の収縮は内部温度が高いほど大きい。
■ベリーウェルダン:内部温度は90~95℃
結合組織を90℃以上で長時間加熱すると肉は歯切れが良くな
るが重量の減少が大きくなる。筋線維はばらばらになる傾向が
ある。
ビーフステーキは一般的に厚めの肉を鉄板やフライパンで焼くため、ヒレ肉やロース肉など結合組織が少ない部位を選びます。
初めに高温の鉄板上で表面に「焦げ色と香り付け」を行い、表面のたんぱく質を凝固させて、内部のうま味成分を多く含む肉汁をなるべく出さないようにするのが美味しくするコツです。
さて、ここからが本論です。
一般に市販されている肉類は牛肉ばかりでなく、ほとんどの肉の表面に腸内細菌などの雑菌が多かれ少なかれ必ず付着しています。その中でも鶏肉の細菌数がものすごく多いのですが、豚肉や牛肉では生体が大きいことも関係し、とさつ時での細菌汚染は少ない肉と言えます。
しかし、牛肉については腸管出血性大腸菌O157(オーイチゴーナナ)が肉の表面に付着している場合があります。肉の表面だけの汚染ですので、レアであっても表面は加熱するため、問題はほとんどありませんが、文頭に書いた「テンダライズ処理」「タンブリング処理」「結着処理」した牛肉の場合には、十分に加熱調理を行うことが必要です。
では、これらの加工牛肉とは、どのように加工されたもので、何故、十分な加熱が必要なのかを説明しましょう。
■テンダライズ処理とは・・・
テンダライズ処理は、刃を使って肉の筋や繊維を切断し、肉を
軟らかくする処理です。 そのために、刃と一緒に細菌を肉の
内部に押し込む恐れがあるのです。
■タンブリング処理とは・・・
タンブリング処理は、調味液を機械などで肉に浸み込ませる
加工処理です。調味液が浸み込む際に細菌も一緒に肉の内部に
浸み込んでしまう恐れがあるのです。
■結着処理(成形肉)とは・・・
この処理は食肉片を結着させ肉塊に成形する処理です。
細菌が付着している肉の表面同士をくっつけて塊とするために、
出来た塊の内部に細菌が存在する可能性が高いのです。
しかし、これら成形肉(結着肉)などの加工牛肉が悪いということではありません。肉の成形加工は普通にされている加工技術で、味も良く、ファミリーレストランなどの外食店などでも成形肉は一般的に使われていますし、前述のテンダライズ処理された肉や、タンブリング処理された肉も使われています。
ですから、これらの加工された牛肉を調理する時は、十分に中心まで加熱することが必要なのです。
例えば、「サイコロステーキ」は、前記の結着処理をした肉で、単に牛肉をサイコロ状にカットしたものではありません。食肉片(半端肉)や内臓肉を品質改良剤でやわらかくし、結着剤で貼り合わせ固めて冷凍したものをサイコロ状にカットしたものです。ですからサイコロステーキは、レアやミディアムの焼き加減では絶対にダメです。
これらの加工処理された牛肉は安価で、しかも美味しいものです。
しかし、「普通の肉より食中毒細菌が入りやすい」と言うことを頭に入れて調理しましょう。
前回の投稿記事
メンチカツによる食中毒と予防について
では、またね・・・・HIROちゃんでした。