2A3シングル・アンプの診断/改造
------ 現在、HIROちゃんが改造中です ------
下の写真の2A3シングル・アンプ・・・実は私の作品ではありません。ブログ名「コロッケのダイニングオーディオ」のブロ友のコロッケさんがリサイクル・ショップで見つけ購入したアンプです。(次の写真3枚は、コロッケさんの投稿記事からコピーしました)コロッケさんのブログのアドレスは末尾に記しておきます。
ぜひ、訪問して見てください・・・・



ショップの店員さんによれば、2A3の1本と12AX7の1本が切れていて点灯しないため、ジャンク品扱いになっていて、価格は何と11,800円という、とんでもない超お買い得品、コロッケさんが、思い切って購入したら、どうやら2A3の1本は、挿し方が間違っていて点灯しなかったようで壊れていませんでした。
しかも、2A3真空管はRCAの軍用JAN球です。
回路が分からなかったのですが、コロッケさんの投稿の記事に、私が「2A3は1本で60mA位電流が流れるので整流管が80だと、80が駄目になる可能性があります・・・」等のコメントのやり取りの中で、コロッケさんから、アンプを診断してほしいとの依頼があり、宅配便でアンプ送っていただき、昨夜現物が届きました。
(アンプは、真空管が割れると困るので本体のみを送ってもらい、私の家にあるシルバニアの80と、2A3を挿し、チェックすることにしました)
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ここからは、私が家で撮影した写真です・・・・
------ アンプの診断 ------
見ると電源トランスはノグチトランスのPMC-170M、出力トランスもノグチでPMF-10W、チョークトランスもノグチトランスと推測しましたが型番は不明です。
シャーシ裏の配線を見ると回路は12AX7のSRPPドライブによるオーソドックスな無帰還アンプです。このアンプを回路図に書き落とし、更に主な個所の電圧をチェックしました。それが下記の回路と主なチェック電圧です。
回路と動作確認(電圧チェック)

回路を見てみると、どなたが自作されたのか全くわかりませんが、知識のある方の設計・自作のようで、大きな問題はありませんでした。このアンプの2A3の動作は次のとおりです。
Ep:256V --------(300V-44V)
Ip:53.7mA -----(44V÷0.82KΩ)
Eg:-44V
Rk:820Ω
RL:2.5KΩ
Pd:13.7W -------(256V×53.7mA)
となっていて、2A3の最大プレート損失(Pd)15Wに対し、約91%となっていて、動作上は全く心配はありません。
また、アンプの総電流は約110mAでした。80の整流規格は最大120~125mAと見たほうが安全ですが、これも範囲内です。バイアス抵抗を820Ωとしてプレート電流を調整したようです。
本来ならば5U4Gなどの整流管を使用するのが多いのですが、あえて2A3を軽い動作で使用するために、整流効率が悪い80を使用したのか、あるいは80しかなかったから使用したのかは、わかりませんが、回路の設計としては大きな問題はありません。
問題点としてあげるならば、12AX7のSRPPドライブとなっていますが、この回路の場合、片側ユニットのカソードに高電圧がかかります。このアンプでは、この電圧が130V位になっています。12AX7のヒーター/カソード間の耐圧規格は180Vなので規格内とはなっていますが、通常、SRPP回路の場合には数十Vのヒーターバイアスをかけます。しかし、このアンプでは回路が省略されています。ここは安全のため、ヒーターバイアスの回路を追加したほうが良いでしょう・・・・。
まあ、回路的にはOKでも・・・シャーシ裏の配線状態は???です。空中配線は結束バンドで少し束ねれば少しはきれいになりますが、色の使い方が不思議です。特に何色を使ってもいいのですが、赤がアース線だったり、黒が高電圧だったり、とにかく、あり合わせの余ったゴチャマゼ線材で配線したような感じに見えます。
実は私も配線の色分けは適当です。
本来なら配線の色別はJISの5色法なら・・・
黒 --------- 接地回路(アース線など)
赤 --------- プレート、またはコントロール・グリッド以外
の各グリッドの結線正回路
黄 --------- コントロール・グリッド回路
青 --------- フィラメント・ヒーター又はカソードに接続
される回路
白 --------- 交流回路、補助回路、信号入力・出力回路、
制御回路など・・・
と言うように色別にすればいいのですが、HIROちゃん
独自で・・・・・・

高電圧箇所 --------- 赤(さわると危ないよ~~~
で、赤)

アース線 ----------- 黒
100V交流線 ------- 白
フィラメント・ヒーター線 、その他 ------- 白又は黄色
と、言った具合で、かなり適当・・・(^_^;)
---- 下の写真が、このアンプの配線です ----
う~ん・・・・どうでしょう・・・私もけっしてきれいな配線技術はありませんが、チョットこれでは、「ジャングル配線」ですね~~・・・

抵抗も他に接触しそうな部分も多くあり、配線は、ほとんどやり直すことにしました・・・・・そこで・・・早速、ほとんどの抵抗など配線を撤去しました。初めからやり直しです・・・

その他の問題として、何故かブロックの電解コンデンサー(ケミコン)が固定されていませんでした。(接着剤でコロッケさんが仮止めしていました)良く見るとケミコンの取付ネジの穴が合いません。ケミコンをあとから仮に交換したのかもしれません。
ここはドリルで穴を開け、しっかりと取り付けました。


なお、各真空管の取付方向が、普段、私の作るアンプと異なり配線も少しやりにくいのですが、シャーシの穴も考慮し、いじらないことにしました。MT管の穴は4個あったのですが、角度を変えると塗装面がおかしく見えたので止めました。整流管と出力管のソケットのフィラメントの向きが逆になっていますが、球を挿す時にわかるように足の少し太いフィラメント側には、マジックで黒い●印がソケットについていたので、これもそのままにしました。
また、ソケットの取り付けは、全てネジが緩んでいましたので締め直しました・・・
---- スピーカーの出力端子の表示について ----
アンプ後ろのスピーカー端子の表示が8Ωとなっていますが、この端子は4Ωです。真中を除いた両端が8Ωです。シールで表記しておきます。

---- 整流管の検討 ----
作り直しで配線を撤去する前に、5U4Gと同じ規格のUXベースの5Z3(RCA)を80の代わりに挿してみました。
電源トランスにかなり近くなりますが、特に問題はありません。
出力管の2A3と同じ大きさの球のためか、見た目のバランスも揃います。。。コッチの方がかっこいいかな~~




さて、5Z3を挿して2A3の動作を確認するとEp275V、Ip約56mAとなるためPd=15.4Wとなり若干、2A3の最大プレート損失(Pd)15Wをオーバーします。この程度ならあまり問題はないのですが、気分的に良くありません。整流管を変更する場合には、このままの回路定数では駄目なので、B電圧の調整等の回路定数の変更が必要です。
個人的にはソケットをGT管用のオクタルベースに変更し、5U4Gあたりに変更したいところです。しかし、せっかく80がついていますので、B電圧を少し調整し、80と同じUXソケットの整流管の5Z3も、80も、そのまま挿し換え出来るよう改造したいと思います。(5Z3は使う予定はないので、改造したら5Z3も挿し換えて試聴してみてください・・・・)
----- 改造の進捗状況 -----
今日は電源部の一部と出力部の配線作業をしました。
あとはMT管周りの細かなドライブ回路の配線作業と、入力部の配線、安全のための12AX7のヒーター・バイアス回路の追加などを行います。
明日は午後から仕事ですが、午前中に少し配線作業が出来ると思います。
明後日の土曜日には完成するでしょう。
また、明日の夜に進捗状況をブログにアップしますので、見てください。
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メーターが2個あるところですよ
では、今日は、このへんで・・・・HIROちゃんでした。