EL34シングル・アンプの修理(最終)
 
    ※2016/07/01 14:25 追加投稿
   EL34の代わりに6L6系の5881を挿し替えて試聴した
   レポートを末尾に追記しました。
 
    修理依頼のあったEL34シングル・アンプですが、最終的に調整が終わったので紹介します。今回の修理はアンプの部品配置は変更せず、デザインはそのままとしました。
 出力トランスにタンゴのXE-20S、カップリング・コンデンサーにはVitamin Q のオイル・ペーパーコンという、結構高価な部品を使用しています。(手前のブロック電解コンデンサーですが、今回は使用しませんでしたのでダミーです)
 
 
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 前回まで投稿したように配線が間違っていたため、全て作り直しました。一応、ハム無し・・・と前回書いたのですが、わずかに「ウ~ン」という音が気になり、アース線の引き回しを変えたり・・なんとか極、わずかに聴こえる程度で、実質ノーハムになったので、OKとしました。
 何故、ハムが極わずかに残ったか原因が分かりました。使用していたチョーク・トランスが原因でした。
 
 完成後の回路図を書くためにB電源のチョーク・トランスの型番がわからず・・・何とか背面の型番を読みとったらTANGOのMC-1.5-500でした。このチョーク・トランスは1.5H/500mA用で主に大出力用のプッシュプル・アンプに良く使用される物。インダクタンスが1.5H、直流抵抗は20Ωです。たぶん、このアンプの前にプッシュプル・アンプに使用していたものを、そのまま流用したのでしょう・・・これでは、シングルの3極管結合や、UL接続だと若干はハムが出ても不思議はありません。最低5Hは欲しいところです。ここはW数の大きい抵抗を入れ、平滑回路を1段増やしてから出力トランスのB端子につなげば解決出来ますが、再び作り直す元気(やる気?)がありません。スピーカーに耳を押し当てると僅かに聴こえる程度なので、実質ノーハム・・これで良しとします。ここは設計ミスでした。(初めにチョーク・トランスの規格を確認すべきでした)
 
 当初は3極管結合で、EL34のプレート電圧を300V以上で設計し完成させたのですが・・・ハムが多少残り何回か回路定数等も変更、アース線の引き回しも変更したり・・・ところが前回投稿のとおり、電解コンデンサーが金色に塗装されていて耐圧が350V用か、450V用、500V用なのか不明だったので、安全策としてプレート電圧を下げた3極管結合としましたが、最終的には回路図のようなUL接続としました。
 
回路図について
 
 回路図を示しますが、あくまで家にあった、あり合わせの抵抗やコンデンサーを使用したので定数的には近似値の物を使用しました。何のパーツも購入していません。シリコン・ダイオードなどはストックの新品も使用しましたが、ほとんどが中古の抵抗やコンデンサーのため、リード線が短く配線に苦労しました。(従って修理代は0円です)
なお、今回は電源部は省略します。
 
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このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
 
 6SN7のバイアス・コンデンサーが省略されていますが、EL34のバイアスが15Vと浅いため、若干ゲインは低いですが使用上は問題ありません。なお、今回は、極浅いNFBをかけましたが、ここは好みもあるので測定器にこだわるのであれば、周波数特性を見ながらR値を決定すればいいと思います。
 なお、出力トランスの1次側は、少し高めのZp=5KΩとしました。
 
 このアンプのEL34の動作は回路図でもわかりますが・・
 Ep:247V(262V-15V)
 Ip+Isg:58.8mA
 Eg:-15V(Rk=225Ω)
 RL:5KΩ
 
 
 配線の様子です。今回は何度も回路を変えるなど、作り直しが多かったので、あまりきれいな配線ではありません。あまり見せたくありません・・・修理前の配線より少しスッキリした程度の配線ですね。
 
----- 修理後(作り直し後)-----
 
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----- 修理前 (回路に多少の間違いもあります)-----
 
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 試聴結果ですが、私は駄耳なので適当ですが・・・・
かなりクリアーな音で直熱管的?な感じにも聴こえます。やはりタンゴのXE-20Sの優秀な特性に負うところが多いと感じました。
この出力トランスは本当に素晴らしいトランスですネ。
 
 今回は当初、高域特性が良いとされるSRPP回路を採用する考えでしたが、ドライバー管のカソード抵抗が同じもの4本が揃わなかったので、買いに行くのも大変・・・全て家にある部品で賄いパラ接続としました。
 3極管接続や、ドライバーに6SL7を使用したり、いくつかの回路で作ってみたので、あらためて「EL34シングル・アンプ回路集」なるものを考えて、近いうちに投稿してみたいと思っています。
 
少し聴いてから修理依頼者の方にお返ししたいと思っています。
 
 
※2016/07/01 14:25  追加投稿
 
 今日は、午前中で仕事は終わりです。家に帰ってから電源部の回路を多少、変更し、B電源の平滑回路を1段増やしました。ほとんどノーハムに近いので、これ以上、いじるのを止めました。
 
 アンプをお返しする前に少し遊びです。EL34は第3グリッド(G3)が管内で接続されていません。1番ピンに独立しています。そのために1番ピンの(G3)と8番ピンのカソード(K)をつないでいます。
 これにより、ラフな使い方ですが、6L6系のビーム管とそのまま挿し替えが出来、コンパチブル・アンプとして使用できます。KT-66もそのまま挿し替えが出来るでしょう。
 試しにお遊びで5881EL34の代わりに挿してみました。
 
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 各部の電圧を計ってみると、5881のバイアスが2Vほど深くなり、プレート電流も少し増えますが、全体的な電圧配分は、ほぼ同じ位となっています。
 
 私の勝手な駄耳による音の感想ですが、EL34ではクリアーな、どちらかと言うと清々しさが感じられますが、5881(6L6系)だと、だいぶ音の印象が変わります。6L6系だと若干、しっとりとした落ち着いた音になる感じです。
 まあ、どちらが良いかは個人差がありますが、私としてはEL34の音を好みますね・・・・聴く音楽のジャンルで出力管を挿し替えるのも面白いかもしれません。
 
 このアンプは、長時間の使用を考え、軽い動作の超寿命設計としました。このアンプは近く持ち主の方に返却しますが、愛機としてお店(理髪店)の中で長く音楽を奏でてほしいと思っています。
 
 
 では、今日は、このへんで・・・・HIROちゃんでした。