カール・ミュンヒンガーのベートーヴェン交響曲
( 第2番、第3番「英雄」、第6番「田園」、第7番 )

中を見てみると、各演奏会場の曲目解説をはじめ、当時のミュンヒンガーの日本におけるディスコグラフィーや多くの写真、当時の(財)日本文化財団の名誉会長の松下幸之助氏のあいさつや、宮沢喜一外務大臣のメッセージも掲載されています。
当時、25歳の私はバッハの曲が特に大好きだった頃で、この演奏会では大変感激したことを覚えています。
前置きが長くなりましたが、ミュンヒンガーとしては珍しい?ベートーヴェンの交響曲第2番、第3番「英雄」、第6番「田園」、第7番の4曲のCDが手許にあります。
演奏は全てシュトゥットガルト放送交響楽団です。



このCD、ドイツのインターコードに録音したEMI原盤の輸入盤で、(株)アークが輸入元のCD。ジャケット裏には日本語で曲目の印刷がありますが、ブックレットによる解説は一切ありません。駅売りやホームセンターのワゴン販売などで取り扱っていたもので、地元のホームセンターのワゴンで購入したもの、外装に490円と言う価格ラベルが貼ってあります。たぶん20年近く前に購入したもの。(そうなんです。最近はあまり見かけなくなりましたが、昔は、結構このような安価なCDが駅や本屋、電気店、ホームセンターなどで売っていました。そのほとんどが幽霊指揮者などによるものでしたが、時には、このようなお買い得なCDもあったのです)
さて、この4曲、第6番「田園」が1979年、第3番「英雄」が1983年、2番、7番が1985年の録音のようですが、録音が良くないのか音が若干ボケ気味なのが残念です。しかし、鑑賞には全く問題ありません。なお、デッカから第3番「英雄」が発売されたことがありますが、このEMI原盤と同一録音のものかどうかは不明のようです?
今日、あらためて全4曲を聴き直してみると、とんでもない名盤でした。いずれの曲も一言でいえば、「落ち着いた堅実で気品のある演奏」とでもいうのでしょうか・・・興奮したようなエキサイティングでスリリングな演奏ではありません。
この中でも第6番「田園」は、私にとっては、あまり重要なポジションにある交響曲ではなく、何となく心地よく流れていれば良いだけの曲なのですが・・・今回、聴いてみてびっくり・・・これは、かくれた名盤の1枚と言っていいでしょう。
「田園」というと、「児童文学と音楽の散歩道」のブログ名でクラシック音楽を紹介されている yositaka さんが「田園交響曲の部屋」という書庫に膨大な数の「田園」の演奏についての投稿があるので、少し書きにくいのですが・・・これはお薦めの1枚ですね。
名盤と言われるワルターやベームとは違った「味わい深い落ち着いた演奏」で、木管楽器の音は実に気品のある音で、弦も良く歌わせています。第1楽章は、どちらかと言うと、淡々としたインテンポで進みますが、始まりからなんと上品で美しい田園風景なのか・・・
第2楽章では最後のカッコーのさえずりからの木管と弦との演奏は絶妙・・・第3楽章も第4楽章も、ありがちな派手な表現音ではなく、自然な力感の演奏、終楽章もインテンポで進みますが、弦の音が美しい旋律を歌い上げます。この田園なら何度聴いても飽きがこないでしょう。
「田園」以外では第2番の第2楽章がなんと美しいことか・・・ここでも木管と弦とが絶妙に絡み上品さを醸し出しています。
第3番「英雄」で印象に残るのは第2楽章と第4楽章、特に、ややゆったりとしたテンポで朗々と歌い上げる第4楽章はすばらしいですね。
第7番は終楽章に向けて盛り上がりも見せ、熱気も感じられる演奏ですが、ここでも派手さはなく、落ち着きのある自然な力感です。第2楽章も味わい深い美しい演奏だと思います。
曲の評価や感想としては大したことが書けませんでしたが、何となく購入した昔のCDをあらためて聴き直すと、新しい発見をするものですね。
投稿文の中で紹介した yositaka さんのブログ
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