ジャンク・コーナー/真空管編 その22
12BH7-A(12BH7)真空管
今回、紹介する真空管は12BH7-A(12BH7)です。
メーカーによって12BH7-A又は12BH7Aの2通りの表記があるようです。
真空管アンプのマニアの方で、「アンプには、テレビ用の真空管やラジオ用の真空管は大量生産された球で、ノイズも目立ち使い物にならない。オーディオ管でないとだめだ!」と言われる方がいました。その方は、「オーディオ管で12BH7Aという球は、馬力もあってドライバー管としては最高の球だよ。こんな球を使わないとだめだよ!」と言われたのです。
その方は真空管の製造メーカーにも非常にうるさい方で、例えば12AX7は、ダイヤマークのテレフンケンのECC83以外はアンプには使えないとも言われていました。
私から言わせれば笑ってしまう話ですね・・・・
実は、12BH7Aという真空管は、今でこそ多くのオーディオ・マニアからもてはやされてアンプに多用されていますが、元々はテレビ用の真空管として開発された球で、真空管テレビ受信機の水平偏向、発振や垂直偏向出力用として設計されたMT管です。
また、低周波電圧増幅用として12AX7や12AU7などより、最大プレート損失が大きく、A級動作例をみてもプレート電圧(Ep:250V)プレート電流(Ip:11.5mA)グリッド電圧(Eg:-10.5V
)増幅率(μ=16.5)と使いやすいためにテレビ以外にも多用され、アンプやテープレコーダーなどにも使われていたのです。
この12BH7Aという真空管は私にとって思い入れのある真空管です。真空管ラジオを作り始めた今から50年以上前の中学生の時に、電気屋さんの裏庭に雨ざらしのまま、捨ててあった壊れたテレビの裏側から真空管だけを抜き取ってきて集めた中で一番、嬉しかった真空管です。 というのも、その頃(昭和40年前後)に、この12BH7Aを出力管として使ったアンプが流行っていて、中でもパラ・プッシュで作ると5、6Wの出力が出る・・・と言うことで人気があったのです。
そんな中、同級生のS君が新品の12BH7Aを使ったパラPPのアンプを完成させ、自慢げに聴かされて、その時の大音響には羨ましく思ったのです。なぜなら同じ時期に作った私の12BH7Aのアンプは、電気屋さんから拾ってきた中古の球で、しかもシングル、更には電源トランスを買うお金も無く、古いヒータートランスだけ、100Vの半波整流というアンプでした。
その頃、集めた50年位前の12BH7Aが次の写真の球です。
中古品ですが、今でも大切にして使用している真空管です。

一番左はマツダ(東芝)の12BH7で、12BH7Aの原形の真空管です。12BH7Aと特性はほとんど同じです。
2番目は三菱電機、真中はシャープ(早川電気)次は松下(ナショナル)、一番右側が東芝製の12BH7Aです。プレートの大きさや形に違いはありますが電気的特性は同じです。

12BH7Aの規格はこちらです。
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12BH7Aは、もともとテレビ管なので、低周波電圧増幅回路におけるCR結合等のデータはありません。
この球はテレビ用ということもあり、パルス電圧を扱うので、最大プレート電圧がA級増幅動作では300V、発振回路では450Vと2つの規格が書かれています。
プレート損失(Pd)が3.5Wと、結構大きいのでパワー管としても使えるのです。12BH7Aを1本だけのPPだと約2W近くの出力のアンプが出来ます。また、2つのユニットをパラ接続にしてパラ・シングルのアンプや片チャンネル1本づつでミニワッターを作るのには面白い真空管です。1本で十分実用になります。
なお、6FQ7(8FQ7)、6CG7は、接続とヒーター規格が異なりますが、12BH7Aとほぼ同じ特性の真空管です。
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こちらは、12BH7Aと12AU7兼用のミニワッターですが、スピーカー用の他、ヘッドフォン・アンプとしても使用出来るアンプです。出力トランスにもっとコアボリュームのあるものを使えば、かなり特性の良いアンプになるでしょう。コントロール・アンプ兼用としても使用出来る面白いアンプです。
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近いうちに再度、12BH7Aを使用した、ミニワッターを作る予定です。上記のアンプより簡単で単純な回路で作りますので、お楽しみに・・・・
※過去に投稿し紹介したジャンク真空管は下記の通りです。
■ジャンク・コーナー/真空管編 21は、こちらです。
6DE7(10DE7・13DE7)真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 20は、こちらです。
6AU6(3AU6/4AU6/12AU6)真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 19は、こちらです。
6CB6、6DK6真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 18は、こちらです。
7AU7 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 17は、こちらです。
5670 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 16は、こちらです。
6AK5/5654/6096 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 15は、こちらです。
50EH5 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 14は、こちらです。
30A5、35C5 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 13は、こちらです。
4M-P12真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 12は、こちらです。
6U8(5U8/6U8A/9U8A)真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 11 は、こちらです。
6BX6真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 10 は、こちらです。
6GK5/(6FQ5A)/6HA5/(6HQ5) 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 9 は、こちらです。
6AV6/12AV6/3AV6 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 8 は、こちらです。
6AN8/5AN8 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 7 は、こちらです。
6Z-P1、3Y-P1 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 6 は、こちらです。
6J6(5J6)、6M-HH3(5M-HH3)真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 5 は、こちらです。
今後、紹介予定の主なジャンク真空管リストです。
■ジャンク・コーナー/真空管編 4 は、こちらです。
6CS7 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 3 は、こちらです。
6BN8 真空管
http://blogs.yahoo.co.jp/hirochan29dec2951/67482583.html
■ジャンク・コーナー/真空管編 2 は、こちらです。
6DJ8、6R-HH8、6R-HH2、6BQ7A 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 1 は、こちらです。
12R-LL3、12AV7、5965、5963 真空管
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。