2A3アンプ回路集 その②
 
はじめに・・・・
 
 ヤフーブログのマイページを見ると「アクセス解析」というものがあり、これを見ると「記事アクセスランキング」を見ることが出来ます。私のブログでは真空管アンプに関する投稿をすると100件以上のアクセスがありますが、2、3日後にはランキングから殆んど消えてしまいます。
 ところが、クラシック音楽の記事の中でベートーヴェン、ブラームス、モーツアルト、シベリウス、チャイコフスキーの交響曲についての記事には、毎日数十件のアクセスがあり、毎日のランキングから全く消えることはありません。その中で真空管アンプの記事の中で最もアクセスの多いのが、「2A3シングルアンプ(回路集)」です。やはり2A3は人気があるのでしょうか・・・。
 私自身もこれまでに多くの2A3アンプを作っては壊し、作っては壊し・・・10台以上の製作経験があります。そこで、今回は前回に続き、これまで製作した2A3アンプの中から「2A3アンプ回路集その②」として投稿します。この中には現存しているアンプはもちろんありますが、すでに壊してしまったアンプも数多くあります。
 
「2A3アンプ」の回路設計等について
 
 2A3のアンプを設計するにあたっては、2A3の規格と動作例が参考になります。
 
■2A3の主な規格を次に示します。
  ・フィラメント規格:2.5/2.5
  ・最大プレート電圧(Ep):300
  ・最大プレート損失(Pd):15
■シングル・アンプのA級動作例として
  ・プレート電圧(Ep):250
  ・プレート電流(Ip):60mA
  ・グリッド電圧(Eg):―45
  ・カソード・バイアス抵抗(Rk):750Ω
  ・プレート負荷抵抗(RL):2.5KΩ
  ・出力(Po):3.5
 
 MJ誌などの2A3シングル・アンプの自己バイアスでの製作記事を見てみると、ほとんどが上記の動作例に倣って設計されています。
上記の動作例ですとプレート損失(Pd)は・・・
Ep250V×Ip60mA=15Wで最大定格とおりの動作になっています。
しかし、これは、あくまで動作例であって、最大プレート損失(Pd)をオーバーしないようにして、Ep、Ip曲線カーブから見たバイアス電圧が極端にズレていなければ、動作上は大きな問題はないと言う事になります。2A3アンプを設計する場合には、上記の動作例ぴったりに設計するよりも、プレート電圧(Ep)を少し低くする、あるいはプレート電流(Ip)を少し少なくするなどして、最大プレート損失(Pd)15Wより若干小さくした設計のほうが真空管の寿命も長くなります。多少、Epが動作例より低かったり、Ipが少なくても出力は大して変わりません。
 
回路例①
 この回路は、電源トランスのB電源の電流が不足しているため、2A3のプレート電流を50mAとした回路、そのためにRkは通常750Ωですが、ここでは800Ωとし、更にB電源の電圧を少し下げた設計となっています。そのためPdは、12Wと安全設計です。ハムバランサーは省略していますが、ハムはほとんど聴こえません。
 
このアンプの写真と詳細はこちら、ブログ記事につながります。
 
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回路例②
 2A3と言えば、ロフチン・ホワイト回路がよく使用されます。ドライバーに高μ管(μ=100)のGT管、6SF5-GTを使用した回路です。
低域、高域ともよく伸びた音が特徴でしょうか。このアンプのPdは13.85Wとなっています。
 
このアンプの写真と詳細はこちら、ブログ記事につながります。
 
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回路例③
 この回路は上記の回路例②と全く同じロフチン・ホワイト・アンプです。異なるのはST管で揃えるために、ドライバー管をST管の75に変更し、整流管もSTタイプのG管5V4Gに変更、改造したアンプです。電圧配分も回路例②と、ほとんど同じです。
 
このアンプの写真と詳細はこちら、ブログ記事につながります。
 
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回路例④
 この回路はフィラメント電圧の切り替えだけで、2A3300B兼用のコンパチブル・アンプとしたもの。
Rkが1KΩと高くしてありますが、2A3でも300Bでも挿し替えた場合の各部の電圧配分は、ほぼ同じ電圧となり、Ipも55mA弱と安全設計です。ドライバー管は、ここに示した高μ管(μ=100)の球なら、どれでもOKです。ややドライブ電圧が不足気味ですが、聴感上の不満はありません。
 
このアンプの写真と詳細はこちら、ブログ記事につながります。
トランスが違っていますので電源ヒーター回路が異なっています。
 
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回路例⑤
 この回路は上記の回路例④と基本的には同じで、こちらも300Bとの兼用です。回路例④より、ややEpを高くしていますが、2A3でもPdはオーバーはしません。前段は6SL7のパラとなっていますが、ここはSRPP回路を採用しても良いと思います。その場合は下記の電源では駄目です。SRPPとする場合には、出力管のフィラメントと供用は出来ません。
6SL7のヒーターは、独立した巻き線から点火しなければなりません。 
 
このアンプの写真と詳細はこちら、ブログ記事につながります。
 
 
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 その他、「トランス結合の2A3アンプ」も何台か製作しています。これらについては、また「2A3アンプ回路集 その③」で紹介したいと思います。
 
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参考回路
 ここからの回路は、アンプ作りのお仲間、ブログでもおなじみのKIYOさん2A3アンプです。大ベテランらしく、綿密な回路設計となっています。
 
参考回路①
 ドライブ管に12AX7の高信頼管、12AD7をSRPPで使用していますが、この球は入手が困難な真空管です。このままの定数で12AX7で構いません。
 
このアンプの詳細はこちら、KIYOさんのブログ記事につながります。
 
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参考回路②
 ロフチン・ホワイト回路ですが、ドライブ管に5極管の6SJ7を採用し、十分なドライブ電圧を確保すると共に、若干のNFBで周波数特性の改善を図っています。ツェナー・ダイオードで6SJ7のスクリーン・グリッド電圧の安定化を図っています。
 
このアンプの詳細はこちら、KIYOさんのブログ記事につながります。
 
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参考回路③
 出力管6K6によるパワードライブのアンプです。シングルながら芯のしっかりした音です。初段管にテレビ管の6BQ7Aをパラで使用しているところがにくいですね・・・
 
このアンプの詳細はこちら、KIYOさんのブログ記事につながります。
 
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参考回路④
 こちらはなんと2A3のパラ・シングルによる、ロフチン・ホワイト回路です。この回路はKIYOさんだからこそ設計できる回路でしょう。
 
このアンプの詳細はこちら、KIYOさんのブログ記事につながります。
 
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「2A3アンプ回路集その①」は、こちらです。
 アドレスをクリックすれば、記事につながります。
 
------- お願い --------
 このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。