指揮者チェリビダッケのブラームス交響曲
 
 セルジュ・チェリビダッケという指揮者、正直、良くわからない指揮者の一人です。人によって好き嫌いの分かれる指揮者でしょう。
しかし頭からチェリビダッケは受け付けない・・・というのはどうでしょうか・・・確かに晩年の超スローで異様な演奏の中には、私も違和感があまりにも多く、全く受け付けない演奏もあります。しかしブルックナーやブラームスの交響曲の正規盤では名演と言える録音も多くあります。
 
 多くの評論家の評価に惑わされながら、いつの間にかチェリビダッケのCDやDVDなどを買い求めていたら、120枚ちかくも集めてしまいました。
 その中で最も多いのがベートーヴェンとブルックナー、ブラームスの交響曲。正規盤より海賊盤的な音源も多いのが、私のチェリビダッケのライブラリーの特徴でしょうか・・・マイナー・レーベルの海賊盤的な音源は、ローマ放送管弦楽団、ミラノ放送交響楽団、スウェーデン放送管弦楽団などの音源や、シュトゥットガルト放送交響楽団の音源も多くあります。そのほとんどがプライベート録音?などのモノラルで音質は粗悪なものが多いのですが、正規の録音を嫌った彼の演奏を聴くのであれば、多少、我慢も必要かもしれません。中には放送局の録音からの流失なのか、あるいはFM放送からの録音と思われるものなどはステレオ録音もあり、聴きやすく感動する演奏も多くあります。
しかし、鑑賞するならやはりステレオ録音の正規盤でしょう。EMIからもミュンヘン・フィルハーモニーとのライブ録音がたくさん発売されています。ベートーヴェンの交響曲は、EMI正規盤では1番だけが欠損しています。(1番はボーナス盤として全集になるはずだったのですが・・・)私は、この1番もプライベートのステレオ盤で持っていますので全集になっています。ベートーヴェンやブルックナーについては映像も含め、機会を見て紹介したいと思います。
 
さて、前置きが長くなりましたが、私のチェリビダッケのブラームス交響曲のライブラリーは次のとおりです。
 
 
■交響曲第1番ハ短調 op68
  ・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1949)モノラル
 ・ミラノ放送(RIA)交響楽団 (1959)モノラル
  ・シュトゥットガルト放送交響楽団 (1976/10/21)
  ・シュトゥットガルト放送交響楽団 (録音年不明)
  ※USA  AUDIOR 1975年盤と同音源?
■交響曲第2番二長調 op73
・ミラノ放送(RIA)交響楽団(1959) モノラル
・シュトゥットガルト放送交響楽団 (1975/04/11)
   ・シュトゥットガルト放送交響楽団 (録音年不明)
  ※USA  AUDIOR 1975年盤と同音源?
■交響曲第3番ヘ長調 op90
 ・ミラノ放送(RIA)交響楽団 (1959) モノラル
  ・シュトゥットガルト放送交響楽団 (1976/11/19) 
■交響曲第4番ホ短調 op98
・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1945) モノラル
・ミラノ放送(RIA)交響楽団 (1959) モノラル
・シュトゥットガルト放送交響楽団 (1958)モノラル
・シュトゥットガルト放送交響楽団 (1974/03/23)
・ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
    (1986/10/16 東京文化会館ライブ)
   ・ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 (録音年不明)
   ※USA AUDIOR
 
 
 イメージ 1 RIAですが、当時はローマ、ミラノ、トリノに各放送オケがあり、チェリビダッケは全てのオケと関係していたようです。このCDのミラノ放送(RIA)交響楽団との演奏は、1959年の3月20、24日の2日間で集中的に行ったコンサート・ライブ録音。録音は良くありません。イタリアのオケですが、晩年の演奏とは異なり、重厚な響きをもった正統派のブラームスと言ってよいでしょう。
 
 
イメージ 2このCDは、1972年から77年まで音楽監督を務めていた、シュトゥットガルト放送交響楽団との演奏会ライブ録音。放送局の音源提供により、DGから正規発売されたBOXです。ここでも晩年のミュンヘン・フィルの極端ともいえる、超スローなテンポの演奏ではなく、適度な緊張感と、重厚な響きをもった正統派のブラームスだと思います。
 このBOXには第4番第1楽章のリハーサル盤が特典として入っていますが、聴いてみると、チェリビダッケが「重厚さ」と、「リズム」、「各楽器とのバランス」についての指示が多いことに興味を引きます。練習の厳しさが良く伝わってきます。
 
 
イメージ 3 この第4番のCDは、1986年10月に来日した際の、東京文化会館でのコンサート・ライブ。FM東京によるデジタル録音です。少し遅いテンポながら素晴らしい演奏で、特に第3楽章、第4楽章と進むにつれ、熱気が増して伝わってきます。ヴァイオリンは少し力み過ぎとも聴こえますが、かえって私には美しい音に感じます。
 
 
 
正規の録音を嫌ったチェリビダッケだけにカリスマ指揮者的に考えられ、演奏そのものが神秘的?なものとして扱われてきたことも否めないのですが、彼の全ての演奏が名演だとは思っていません。今後、機会を見て他の曲についても紹介できればと思っています。
 
【関連投稿記事】
この書庫の中に次の投稿記事があります。
下記のタイトルをクリックすると記事に繋がります。
■バーンスタインのシベリウス交響曲選集
■ネヴィル・マリナーのベートーヴェン交響曲全集
  (86種類目のベートーヴェン交響曲全集です)
  交響曲第9番「合唱」

では、今日は、このへんで・・・・HIROちゃんでした