ヘルマン・シェルヘンの音楽
 (ベートーヴェンの交響曲と彼のCDライブラリー)
 
ヘルマン・シェルヘンという指揮者・・・ベートーヴェン交響曲のルガノ放送管弦楽団の1965年の放送局スタジオでのライブ録音を聴くまでは、全く聞いたことが無い指揮者でした。
 
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今から20年位前だったと思うのですが、何かの本で、このルガノのベートーヴェン交響曲全集のライブCDが凄い!という記事を見て、CDを探したところ山野楽器のレーベルで国内盤があることを知りました。当時、通販で山野楽器から購入した5枚組のCDが写真のBOXです。この全集は、いろいろなレーベルから発売されたようですが、現在でも、第5番のリハーサル特典盤付きの6枚組のものがMemories盤で入手できると思います。山野楽器のBOXにはリハーサル盤が無かったため、リハーサル盤1枚のためにMemories盤も昨年購入しました。
 
 さて、このルガノ放送管弦楽団によるベートーヴェン交響曲全集ですが、1964年の1月8日から4月5日までの、わずか3か月の間に集中して放送されたスタジオでの観客を入れたライブを録音したもの。ステレオ録音で全曲拍手入り、音も悪くありません。
 
この演奏ですが、シェルヘンの亡くなる1年前の最晩年における録音ですが、「とにかく凄い演奏!」というのが第一印象・・
どのように凄いのかって・・・とにかくオーケストラはヘタクソでメチャメチャに近くテンポも異常?・・シェルヘンの指揮が、とにかく力が入っていて、本番なのに指揮をしながら号令と怒鳴っている声が随所に大きく聴かれます。楽団員が必死に演奏しようとするのですが、バラバラ・・手に汗握るようなヒヤヒヤの演奏です。アンサンブルも関係なし、変なところで第2ヴァイオリンやヴィオラの音が極端に大きくなったり・・・休符が長すぎたり、逆に短すぎたり・・この全集は、よほどベートーヴェンの交響曲が好きなマニアでなければ推薦は出来ません。
 
そのような演奏なので、聴く人によって評価は大きく異なると思いますが、出来不出来はあります。しかし第3番「英雄」、第6番「田園」、第7番、第8番、は一聴の価値ありです。
とにかくオケはヘタクソでも迫力が凄い!・・・この4曲中で一番まともなのは「英雄」でしょうか。第6番の「田園」ですが、これもどちらかと言うと普通の演奏ではありません。特に嵐の迫力は超凄い!こんなにど派手な演奏の第4楽章は他にありません。第7番の第2楽章、第4楽章での怒鳴り声と、ど迫力!・・第8番の第3楽章にいたっては超スピードでシェルヘンが怒鳴りながらオケを引っ張りますがテンポがついていけず、メチャメチャ。第8番は全曲でも21分位で演奏が終わってしまうとんでもない演奏。
 
こんなハチャメチャな演奏でありながら、なぜか感動する不思議な演奏です。
これらのベートーヴェンの演奏に刺激を受け、ウエストミンスターなどに録音を残した何枚かのCDを購入しました。末尾に掲載したライブラリーがそれです。
正直、ウエストミンスター盤のウィーン国立歌劇場管弦楽団やロイヤル・フィルとのベートーヴェンを聴くとルガノ放送管弦楽団の感動は全くなく、別人のような演奏で1958年の「英雄」などは、デフォルメ的な部分が多く、癖のある演奏。違和感さえ感じるところがあります。
とは言っても、その他の曲の演奏も、もう一度、聴きなおせば何か新しい発見をするかもしれません。
 
 私のヘルマン・シェルヘンのCDライブラリーは下記のとおりです。(順不同です)
 
■ベートーヴェン
・交響曲第1番 ハ長調 
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1954
ルガノ放送管弦楽団(1965/01/08ライブ録音)
・交響曲第2番 ニ長調
ロイヤル・フィルハーモニーO(1954
ルガノ放送管弦楽団(1965/01/08ライブ録音)
・交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1951
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1958)ステレオ
ルガノ放送管弦楽団(1965/02/12ライブ録音)
・交響曲第4番 変ロ長調
ロイヤル・フィルハーモニーO(1952or54
ルガノ放送管弦楽団(1965/02/26ライブ録音)
・交響曲第5番 ハ短調
ロイヤル・フィルハーモニーO(1954
ルガノ放送管弦楽団(1965/02/26ライブ録音)
・交響曲第6番 ヘ長調「田園」
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1951
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1958)ステレオ
ルガノ放送管弦楽団(1965/03/12ライブ録音)
・交響曲第7番 イ長調
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1951or52
ルガノ放送管弦楽団(1965/03/19ライブ録音)
・交響曲第8番 ヘ長調
ロイヤル・フィルハーモニーO(1954
ルガノ放送管弦楽団(1965/03/19ライブ録音)
・交響曲第9番 ニ短調「合唱」
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1953
ルガノ放送管弦楽団(1965/04/05ライブ録音)
・レオノーレ序曲第1番、第2番
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1960
・コリオラン序曲
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1954
・オラトリオ「かんらん山上のキリスト」作品85
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1962
■ブラームス
・交響曲第1番 ハ短調
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1953
・交響曲第3番 ヘ長調
ルガノ放送管弦楽団(1962/04/25ライブ録音)
■モーツアルト
・交響曲第40番 KV550
・交響曲第41番 KV551
・フルートとハープのための協奏曲
Orchestre du Theatredes Champas-Elysees(1953)
・ピアノ協奏曲第15番 K450
ミケランジェリ/ルガノ放送管弦楽団(1956 ライブ録音)
・レクイエム K626
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1953
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1958)ステレオ
■ハイドン
・交響曲第100番 ト長調
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1958
■シューマン
・ピアノ協奏曲 イ短調
ミケランジェリ/ルガノ放送管弦楽団(1956 ライブ録音)
■ドヴォルザーク
・チェロ協奏曲作品104
フルニエ/ルガノ放送管弦楽団(1962/04/25 ライブ録音)
■マーラー
・交響曲第1番 
ロイヤル・フィルハーモニーO(1955
・交響曲第5番嬰ハ短調
フランス国立管弦楽団(1965)
※なんとこの録音はバロックが多いハルモニア・ムンディです。
・交響曲第9番 ニ長調
ウィーン交響楽団(1950 ライブ)
・交響曲第10番 アダージョ
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1952
■ベルリオーズ
・幻想交響曲
ロンドン交響楽団(1954
■チャイコフスキー
・序曲「1812年」
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1958
■ヒンデミット
・ヴァイオリン協奏曲作品36-3(1964)
ゲルレ他
■クルト・ワイル
・ヴァイオリンと管楽のための協奏曲
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1952
■ストラヴィンスキー
・組曲「火の鳥」
ロイヤル・フィルハーモニーO(1954
■シェーンベルグ
・弦楽器のための組曲
ベルリン放送交響楽団(1959)
■レゼニック
・ドンナ・ディアナ序曲 
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1957
■オルフ
・エントラータ
ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1960
 
では、今日はこのへんで・・・HIROちゃんでした。