■指揮者/パブロ・カザルス
前回はパブロ・カザルスのバッハの無伴奏チェロ組曲について書きましたが、今回もカザルス・・・ただし、今回は指揮者カザルスとして少し書いてみましょう。
カザルスがマールボロ音楽祭管弦楽団を指揮した録音は、交響曲としてはモーツアルトの後期6曲、ハイドンの第45番「告別」、第94番「驚愕」、ベートーヴェンの第1、2、4、6、7、8番、メンデルスゾーンの第4番「イタリア」などがあり、これらはすべてLPやCDで持っていて聴いています。(全てステレオ録音です)しかし、ベートーヴェンの「英雄」「第5番」「合唱」が無いのが何とも残念。
交響曲以外では、バッハの「管弦楽組曲」と「ブランデンブルク協奏曲」全曲があります。どちらも素晴らしい演奏で、特に「管弦楽組曲」はずっしりとした弦合奏が素晴らしいのですが、「ブランデンブルグ協奏曲」の4番、5番などは、チェンバロではなく、ピアノを使用しています。・・・ルドルフ・ゼルキンが弾いているとはいえ、どうも私には、聴いていて違和感があります。これはチョット残念・・・
(ヨゼフ・シゲティらと録音した1950年盤も持っていますが、ここでもピアノでの演奏です・・・)
指揮者カザルスの演奏は、個性が強く、アクセントの強いずっしりとした重々しい演奏が多いのですが、ヘルマン・シェルヘンのように特定のパートを大きくしたり、フルトヴェングラーのようなテンポのウネリなどはみられず、どちらかと言うと、インテンポで進んでいきます。
また、寄せ集めオーケストラということもあり、ベルリン・フィルハーモニーOなどのような洗練された重厚な響きではありませんが、とにかく重い・・・というのが私の印象。
人によって好き嫌いがあるかもしれません。

今回紹介するモーツアルトの交響曲についても同じです。どの曲を聴いても明るいモーツアルトではなく、重々しい演奏でモーツアルトらしくないモーツアルト。(変な言い方ですがモーツアルトがお嫌いな方には、お気に召す演奏かも知れません・・?)
時々、聴こえるカザルスの唸り声・・・重厚な力の入ったアクセント、時には荒々しくグロテスクに・・・モーツアルトの内面的なものを見せつけられるような感じになります。
「正に魂の演奏」・・・特に第38番「プラハ」などはモーツアルトの裏側を感じさせます。
第40番の第1楽章は、早めのインテンポで進みますが、凄まじい悲痛が伝わってきます。
第35番の第1楽章や、第41番の第1、第4楽章も堂々とした重厚な演奏・・・第36番や第39番も同様。モーツアルトの音楽をベートーヴェンに近づけた演奏と言ってもいいかもしれません。
強烈な個性の強い演奏ですが、何故か心の中を突き破ってくるような、重々しい迫力はカザルスでないと聴くことが出来ないかもしれません。
これらのモーツアルトは名盤です・・・!
モーツアルト交響曲の名盤は、こちらです。
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上記以外の交響曲についての過去の投稿は、右画面の書庫「交響曲」から見られます。
【参考投稿記事】
この書庫には下記の投稿があります。
■カザルス/バッハ/無伴奏チェロ組曲 全曲
■指揮者/エドゥアルト・ファン・ベイヌム
■ベートーヴェン/チェロ・ソナタ 全5曲
■エリック・サティのピアノ音楽
■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集
■ウェーベルン:作品番号付き作品全集
■イタリアの名指揮者/カンテルリ
■カール・ベーム コレクション No3
■ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 「春」
■カール・ベーム コレクション No2
■デニス・ブレインのホルン音楽
・・HIROちゃんでした。