■エリック・サティのピアノ音楽について

 
 よく、このクラシック・コーナーでは交響曲の投稿が非常に多いのですが、たまにはピアノ曲を・・・
 今回はフランスの作曲家エリック・サティのピアノ曲について書いてみます。
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 このCDはサティの代表的な作品を集めた2枚組のCDで、ピアノ演奏はジャン=ジョエル・バルピエと、ジャン・ウィエネ。他にも数枚のCDがありますが、代表的な曲が多いので、このCDで紹介しましょう。曲目もスキャンしました。
 
エリック・サティ(18661925)は、「ドレミファソラシド」の「調性音楽」を破り、「無調」といわれる音楽の先駆けになった作曲家と言われています。彼の音楽にドビュッシーやラヴェルが続き、さらに現代音楽のシェーンベルクの「十二音技法」という無調音楽につながっていったようです。
 
 さて、フランス音楽と言うと、フランス・ロマン主義の代表的存在として、ベルリオーズがいますが、正直、私はあまりベルリオーズの曲は好んでは聴きません。彼の代表作品ともいえる「幻想交響曲」や「イタリアのハロルド」「ファウストの劫罰」「レクイエム」「キリストの幼時」などを聴いただけで、私はお腹がいっぱい・・・何故かベルリオーズの音楽は私の性に合いません。私はサン=サーンスやビゼー、近年のオネゲル、メシアンなどもあまり進んでは聴きません。まあ、大のクラシック音楽ファンとして、これらのフランス作曲家の有名曲ぐらいは聴いておかなければ・・・という義務感みたいな感じでLPやCDを買い求め、多くの曲を聴いてきました。
 そのような中で フランス音楽と言うとグノーやフォーレ、ドビッシー、ラヴェルあたりを良く聴きますが、エリック・サティも最近は結構聴くほうでしょうか・・・・
 
エリック・サティは、「音楽界の変わり者」とよく呼ばれ、普段もかなりの変人だったようです。少し変わった自画像の絵を描いたり、曲に奇妙なタイトルを多くつけたり、楽譜に変な註釈が多かったり・・・と、彼の曲を聴き始めるまでは、相当前衛的で難解な曲なのでは・・・と思っていたのですが、意外や意外、何とも理解できない、奇妙なタイトルとはだいぶ違った印象の曲で、「癒しの曲」や静かなBGMとしても使える音楽が多い・・・というのがサティのピアノ音楽の印象です。
 
でも、これは今回のCDに収められたピアノ曲の一部の印象であって、サティの管弦楽によるバレー音楽「パラード」は、とんでもない曲!・・・管弦楽とは言え、サイレンや、ピストルの音、タイプライター、福引き用回転台、ラジオの雑音、空き瓶をたたく音・・・などなど、「騒音」とも言える音まで使った珍曲?です。しかし、この曲を聴いた後に感じる不思議な感覚は一体何だろう・・というような曲なのです。このバレエ音楽「パラード」は、他の管弦楽曲と共に「エリック・サティ管弦楽曲集」としてLPレコードを持っていますので、近いうちに紹介しましょう。
 
今回のCDの中の曲で「ジムノペディ」 は、ゆったりとしたテンポの曲で、簡素な曲調ですが、私にとっては「気分が落ち着く癒しの音楽」で緊張感のほぐれるBGM的な曲に感じます。とても心が落ち着く音楽です。
他の初期の作品である「4つのオジーク」「3つのサラバンド」「3つのグノシェンヌ」など1枚目のCDの曲は、違和感なく、す~っと心の中に入ってくるような音楽です。
また、2枚目CDの「ピカデリー」は軽快な親しみやすいケークウォーク風の曲です。
 
さて、ここからが問題・・・・
「犬のためのぶよぶよした前奏曲」、同じようなタイトルの「犬のためのぶよぶよした真の前奏曲」・・・何とも理解しにくい曲名ですが、この奇妙なタイトルは、題名によって作品を判断しようとする人々への皮肉や警告だということです。
 
「干からびた胎児」の3曲はそれぞれ「ナマコの胎児」「甲殻類の胎児」「柄眼類の胎児」と言った奇妙な題名と、サティ自身の註釈が書いてあります。なお、海の生物の卵や幼生の意味と思われるので、「胎児」という訳は適切ではない・・・という方もいるようです。
他の異様なタイトルの曲もすべてそうなのですが、どうしても私には、曲名と聴いた音楽とのイメージが合わない曲が多いのです。「甲殻類の胎児」はとても美しい音楽です。
ですから私はサティのピアノ曲を聴くときには、タイトルや註釈を無視して自分なりに音楽として聴くことが多いのです。しかし、「スポーツと気晴らし」の各曲については、サティ自身の各曲につけられた詩が重要な要素を占めている気がします。
 
まあ、時にはサティのピアノ曲をのんびりと聴くのもいいのでは。。。
 
では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。

 

 
【参考投稿記事】
この書庫には下記の投稿があります。
■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集
ウェーベルン:作品番号付き作品全集
■イタリアの名指揮者/カンテルリ
■カール・ベーム コレクション No3
■ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 「春
■カール・ベーム コレクション No2
■デニス・ブレインのホルン音楽