■トランス結合シングル・アンプ回路集 その1
来年の「常陸管球の会」の試聴会のための、トランス結合シングル・アンプの製作を計画中です。今のところ古典管の45(245)を出力管として使用する予定です。
そこで今回は、使用予定のインプット・トランス、インターステージ・トランス(中間トランス)、出力トランスを使用した回路例(回路集)について投稿します。
まずは使用可能なトランス類は、電源部を除き、全てタムラ製を使う予定ですが、家にある買い置きのトランスや中古のもの、あるいは既存のアンプから壊して使えるものなどが、下記のとおりあります。
■入力トランス
・タムラTKS-50(600Ω、10KΩ:50KΩ) 中古品
■中間トランス
・A-351(既存アンプを壊して取り出し可能)
10KΩ:40KΩ (1次側10mA)
・A-343 (既存アンプを壊して取り出し可能)
5KΩ:20KΩ (1次側30mA)
・A-342 (新品2個あり)
5KΩ:5KΩ (1次側30mA)
・TN-351(新品2個あり)
10KΩ:40KΩ
・TN-347(新品2個あり)
50KΩ:100KΩ
■出力トランス
・A-4714(5KΩ:6Ω・600Ω)60mA 3W
(新品2個あり)
・F-475(5KΩ:4/8/16Ω)
(既存アンプを壊して取り出し可能)
これらのタムラ製トランスを使用したトランス結合の回路を考えてみました。
トランス結合に使用する中間トランスは1次側に電流を畳重出来るものと、出来ないものがあるようです。

1次側に電流を流せる場合には上記(1)のようにカップリング・コンデンサを使用しないためコンデンサによる音の色付けがありません。
しかし、1次側に電流を畳重出来ない場合には、カップリング・コンデンサをとおして、中間トランスの1次側につなぎます。そのためコンデンサによる音の変化や、容量によって周波数特性が変化します。コンデンサのつなぎ方は(2)(3)(4)のような回路がありますが、(2)または(3)のつなぎ方が多いようです。(2)(3)(4)の音の違いについては、実験してみましたが、私の駄耳では音の違いはわかりませんでした。
今回は、1次側に電流を流す(1)回路でのシングル・アンプの回路を考えてみました。回路は、これらの他にもたくさん考えられますが、ここでは9種類のアンプ回路について考えてみました。
【お願い】
この投稿では、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は事故等を含め一切持ちません。
特に今回のアンプ回路については、使用するドライブ管の種類によりカソード抵抗(Rk)やプレート抵抗の抵抗値が異なり、Ep(プレート電圧)、Ip(プレート電流)も異なるため、あえて抵抗値の定数や各部電圧は表記しておりません。もし投稿の真空管で製作などをされる場合には、ご自分で真空管の規格等を確認の上、定数等は求めて設計してください。
※2015/09/13 追加投稿
ドライブ管用B電源ケミコン部分に付けるブリーダー抵抗の回路
は、全ての回路案から省略しています。(本当は書き忘れです。)
■回路案(1)

今のところ、この回路が第1候補・・・ドライブ管は27、56、76のいずれかを使用すると、全てST管で見栄えもよくなります。また227などナス管を使用し、245と整流管に280を使用すれば、オールナス管のアンプも可能です。ただし27は、56、76と比べるとμが低いのでゲインが少し低くなりますが、入力トランスの1次側を600Ωで使用すれば問題はないでしょう。
■回路案(2)

ドライブ管に直熱管を使用した回路例です。A-351の1次側には10mAまでしか流せないので、それ以下になるようEp、Ip等を調整します。直熱管を使用するのでフィラメントはDC点火とします。3端子レギュレーターなどによる定電圧が望ましいですね。12Aだとパワードライブに近い感じになります。これもST管でまとまり、オールナス管も出来ます。
■回路案(3)

Ipが8mAくらいなら、小出力の5極出力管の3極管接続も良い結果が得られそうです。日本の6Z-P1と6G6Gの規格は、ほとんど同じです。
■回路例(4)

前記の(3)より、更にパワードライブを強力にしたいならば、中間トランスを30mAまで流せるA-343に変更し、6F6/6V6/6L6などを3極管接続で使用します。なお、真空管ソケットの1番ピンと8番ピンをつないでおくと、EL34も挿し替え出来ます。ただし、これらの球を、いろいろ挿し替えて使用する場合は、30mA以下になるようEp、Rk等を調整し、決定します。(回路図は6F6で表記)
■回路例(5)

こちらは出力管の代わりにテレビ用の偏向管を使用した例、6RA9などは純3極管で、かなり良い結果が期待できます。ただし、ここに紹介した球はMT管なので見た目のバランスを考える必要があります。この他にもMT管、GT管でも多くの3極偏向管があります。
■回路例(6)

この回路は、今回の中で最もシンプルな回路。ドライブ管にオーディオ管ではなく、テレビ用(VHS用)高周波管を1本だけでドライブします。これらの真空管は、高増幅率管(μ=72~78)でありながら、rp(プレート抵抗)は数KΩと低いためにトランス結合に使用できます。電流も多く流せる真空管です。高μのため、入力トランスは必要ないでしょう。ただし、これらは7ピンのMT管です。
■回路例(7)

12AT7、5965などもμが高い球ですが、rpは低く、また6R-HH8や6DJ8などもテレビのチューナー用などの高周波管ですが、これらもμが30以上でrpも低いのでトランス結合に使用出来ます。パラ接続がいいと思います。ただし12BH7Aや6FQ7の場合には、入力ゲインは入力トランスを使用しないので少し低くなります。この回路に入力トランスを付けるのもいいと思います。
■回路例(8)

入力ゲイン(感度)の高いアンプを好む方なら、こんな回路でしょうか・・・初段と次段は直結にすればカップリング・コンデンサは必要ありません。この回路ならA-351の2次側はパラとし、1:1で使用したほうがいいと思います。(回路図は1:2になっています)
■回路例(9)

入力感度を高めると共にパワー・ドライブを望む方は、テレビの偏向用複合管を使用する手があります。これらの球は電流も多く流せます。中間トランスは、A-343やA-342を使用しますが、30mA以下にして動作させます。A-343の時は2次側はパラにして1:1で使ったほうがいいと思います。(回路図では1:2になっています)
この他にも考えられる回路はワンサとありますが、これ位にしておきましょう。
次回は中間トランスにTN-351又はTN-347を使用した、トランス結合(クラーフ結合)の回路例を紹介したいと思います。今のところは、頭の中で回路を考えて妄想しているだけです。。。
最終的にはどんな回路になるか・・・お楽しみに・・・
※2015/09/12 23:15 追加投稿
入力トランスのTKS-50については、アンプ本体とは別にして、
小型のケースに別付けのほうが良いかもしれません。
そうすれば、パワー・アンプのゲインを改造なしでも外付け用に
しておけば、他のアンプや、ゲインを上げたい時に便利ですね。
1台は、10KΩ:40KΩの入力トランスで作ってあるので、良く
使用します。
では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。